第84話
「と言うわけでして。」
アンドレと喧嘩したことやさっきの説経まで、話さなくても良さそうな所まで話した。これで首を切られるなら本望です。
「ぶぁはははは」
「チェルキョさんの笑いって下品ですね」
「あんだと!?」
「っっ・・・ふっ・・ふふっ・」
ディオさんがこらえきれなくて笑ってる。
「そうか、アンドレの時もこういう感じなんだね?・・・うん、大丈夫。不敬罪になるようなことだったらプントやリネアがモナちゃんに言っているはずだよ。」
「そーそー。大丈夫だ。俺が保証する」
チェルキョさんに保証されるのは不安しかないのは何故なんだろう・・・・。
「実は馬車で待つつもりだったのだがともだち食堂の方々に気を遣って頂いて先程までお店の方に滞在させてもらっていたんだ。アンドレはその事を知らなかった。あまり責めないでやってくれ。」
「そうだったんですか。」
半泣きにさせてしまったよ。後悔先に立たず。え?リネアさんは知ってた?リネアさーーーん!!!おのれ(ぎゅちぃ・・・)多分プントさんからリネアさんにお怒りがあるとのことだ。アンドレにはあとでちゃんと謝ろう・・・。
「今日私が来たのはね、モナちゃんにありがとうと言いにきたんだ。改めて、つたない言葉だが、ありがとう。」
「え!?えっえ・・!?」
ディオさんが椅子から立ち上がり頭を下げた。
「なぜ言われるのかわかりません!顔あげてください。うわわわわわわ。」
隣のチェルキョさんは机に頬杖ついたままディオさんをニヤニヤ見ている。おのれもディオさん止めんかい!
「これは兄として、だ。」
顔をあげてくれた。って、うわわわわわわ。ディオさんが目に涙たまってるし、顔赤い!?えっえっ!?
「アンドレがココに来てこんなに元気になったのは、ここの人達のお陰だと聞いた。特にモナちゃん、君がアンドレの一番の友達になってくれていると聞いている。ありがとう。」
「ケンカともだちですけど。」
おっとこの物言いだと私、ツンデレみたいになっているではないか。
「これからもアンドレと仲良くしてやってくれ」
「そんなの当たり前です!」
「ふふっ。」
気合い入れて答えたらディオさんは心底安心したとでも言うように笑ってくれた。ディオさんって本当に優しい人なんだな。アンドレのことこんなに気にかけて。泣けてしまうほど心配していたんだ。
まあね、あんな顔真っ白な弟が身近にいたら、心配だよなぁ。
「モナちゃん。」
「っはい!?」
不意打ちに声をかけられて声がうわずった。
「・・・これは、強制ではないんだけれど。」
「はい。??」
なんかディオさんが言いづらそうにしている。どしたどした。
「私と、も。その。友人になってはもらえないだろうか」
!?!?!?衝撃が走った。え。乙女か。相手(不肖わたし。)は5歳ですよ。そんなことってある!?
「むっむっむむむむ、むしろ私のほうこそ!お友達からヨロシクお願いしまーーーす!!」
素敵なお誘いはがっちりマンデー!じゃなかった・・がっちりとホールドしておかなければ。逃がさへんデェ・・・。喜び勇んでキャラブレを起こすモナだった。
「アンドレとディオさんと私とで一緒に遊びましょう!あっそういえばディオさん達はお昼は済んでますか?私とアンドレはお子さまランチ食べてたんですけど」
「ああもう済ませてからこちらには来たよ」
「チェルキョ!アンドレ呼び戻して!遊ぶから!」
とっさに出た呼び捨てため口。チェルキョにはこれでいいのだ。・・・たぶん。
「ういういー。ってなんで君の言うことを聞かねばならんのだ」
「チェルキョ!走れ!」
「君、俺の扱い酷くない!?」
でもまんざらでもなさそうだから、チェルキョさんのことはこれからは、チェルキョと呼び捨てため口でいこうと思う。
「チェルキョ、頑張って~」
「ディオさんまで!?くぅっ」
ダッシュしてくれた。護衛ってなんだっけ。まあアンドレと違ってディオさんはサルの時も戦闘出来ていたし離れても大丈夫なのだろう。走れとか言っといて、今更心配が少しだけよぎったけど、この辺り、周辺一帯治安は悪くない。
「アンドレが来たら何をするんだい?」
「遊び道具がないので、作りながら遊びましょう」
「えっ??」
すごろくというか人生ゲームというか。紙とペンと沸き立つ想像力さえあれば出来る遊びは無限大である!
紙とペンがあれば手作り迷路も書けるけど、時間がかかりすぎるので今回は人生ゲーム。グニョグニョ回り道とかも作りたかったけど凝り過ぎると遊ぶ時間がなくなるので極力シンプルになった。
そして。
「ああ、しまった。金貨3枚の借金だ。借用書がたまってしまったなぁ。ははは。」
「お兄様に借金だと!?うぬぬぬぬ、お兄様にあげたくても俺も銀貨5枚しかない」
「きゅんきゅーん」
「やりました。“海の怪物を倒して賞金”白金貨1枚!」
「わふっわふっ」
「プントさんが今一番のお金持ちですね。やりますね。次は私です。ああっ、1しか進まないなんて!このサイコロ作り直した方がいいのでは?」
「リネアさん、1ばっかりでなかなか進まないね。」
「おっし、次は俺ー!」
「うにぁ~お」
わいのわいの・・・。私、アンドレ、ディオさん、チェルキョ、プントさん、リネアさん。この6人で作って遊んだ人生ゲームは白熱したのだった。テンクウちゃんとコエキちゃんとセイリューちゃんも観戦にくわわってワチャワチャだった。
気付けば日もくれかかり。
「今回の大富豪はチェルキョ~!」
「アザす!アザす!」
「次こそは勝つ!」
アンドレはビシィとチェルキョに言いきった。
「楽しかった~。皆さん今日は来ていただいてありがとうございます。」
ぺこりーな。
「まさかこの年で遊び道具を一緒に作るとは思いませんでした」
と、プントさん。そりゃそうだ。初老のプントさんにはそんな経験そのお年でなかなかないだろう。
「坊っちゃま、館にあったサイコロ、モナさんにプレゼントしては?」
「サイコロなんて館にあったか?」
「遊戯室に転がっていたかと存じます」
「あるなら見繕って持ってこよう!貰ってくれるか?」
リネアさんに言われアンドレが提案してきた。
「いいの?」
「ああ。それがあれば次は俺が一番かもしれないからな」
「では私も一緒に見繕ろおうかな。次は商人になれるかもしれない」
サイコロひとつでそこまで希望が叶うかはまた別の話だが、2人はとても楽しそうな兄弟だった。王族だの貴族だの、関係なく。
「夏期療養もあと数日で王都に帰らなくてはいけないなんて寂しいですね」
「リネアさん・・・今、なんて?」
えっえっ!?
最近お仕事残業続きです。
Σ(p´;Д;`)qがんばるぞいっ
〈問題です〉ちゃらっちゃちゃっ♪
Q.最後モナは驚きました。さて、何にでしょう。
→→→答えは次回の冒頭のモナのセリフで明かされます。
ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
明日から12月とか早くね・・・・。