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第9話

モナは泣きつかれたのでお休みです(物理)その代わりようやくメインヒーロー2人登場です。状況分かりやすい説明できるのがお兄様なので、お兄様のターン。がんばれ第8王子。

「王子様方、そろそろロッテリーの街です」


「わかった」


王都から数日。そう遠くはない位置にその街はある。ただし“遠すぎない”というだけで近いという訳でもない。


「お兄様はこのあとすぐに馬車を替えて領主の元に向かわれるのですよね」


「お前は療養だけれど私は視察だからね」


馬車には2人の王子が乗っていた。1人は18歳で成人を済ませている第6王子。1人は8歳で身体が弱いとされている第8王子だ。2人ともロッテリーの街は初めてだ。


「昔はかなり繁栄していた街だったようだが年々人口が減っていってて、今の領主も頑張っていたみたいなのだが一向に改善が見えないので、また領主の交代をするべきかとお父様が仰っていたのだよ。もしもの話ではあるが、私が領主代理をやるという案もあるようだ。」


「お兄様が領主代理!?素晴らしいです。それが現実になったのなら俺はお兄様のいる場所で療養したいです」


弟である第8王子がキラキラとした目で見つめてくる。毎回毎回知らない人しかいない土地での療養に飽きてきているなコレは。


「まだどうなるかとか決まってはいないからね。この事は秘密だよ?」


「はい!」


秘密を守れるかはさておき、釘だけ刺しておく。


「でももしどこかの領主や代理なりなるのでしたらお早くなって欲しいです。」


「なぜだい?」


「誰にも言っていませんが俺のこの病気は“魔力(ガン)”だと思うのです。」


弟はとても真剣に、深刻そうに語った。気を引きたいがために語っているのではない。弟は本気でそう思っているのだろう。


「魔力(ガン)と言うと、勇者の孫娘がかかって亡くなったというあの?」


「はい。その魔力(ガン)です。身体を調べても出てこないと報告されましたが絶対俺を安心させようとする嘘に違いありません。そのうちきっと体がむしばまれて俺は死んでしまうのです」


「調べたのに嘘はいわないんじゃないか?本当になんともないかもしれないぞ?な?その病気だとは言い切れないだろう?」


「いいえきっとそうなのです」


この第8王子たる弟はガンなどわずらってはいない。私は知っている。これは王族特有のうつ病である。王城内では多大な大人達に囲まれ日々王子王女として勉学に励もうとも出来が良ければ妬み嫉み過度な期待度重なるプレッシャー、出来が少しでも悪いと奇異の目で見られ蔑まれ嘲笑され追い詰められる孤独感。


王族とは奇特な人生を生まれた時から背負わされている。私も一時期部屋に籠もっていた。私は私の弟妹が生まれたことによって大事に思いそしてこの存在を守ろうと思えたからこそ、うつ病を克服したのだ。


「わかった。今はお前を信じるよ。でもね、これだけは覚えていて欲しい。心を強く育てるんだ。どんな強く恐ろしい病も強い心さえ持ち合わせていれば生き抜けて行けるのだと。」


「・・・・はい。」


弟は納得行っていない顔をしていたが返事をしてくれた。陰鬱いんうつとしているしまだ年端も行かない。理解できないのだろう。


「王子様、合流地点に到着しました」


いつの間にか馬車が止まっていた。


「お兄様・・・」


この馬車での時間が楽しかったのだろう。


「行かないで欲しいと顔に出ているよ?」


「・・・ごめんなさい」


私こそ離れなければならないのはつらい。だが領主邸には連れては行けない。私も初めて訪れる場所だ。歓迎されるとは限らないしもし小さい王城のような場所なら、うつを悪化させる原因になるかもしれない。


「・・・いいや私こそ済まない。当分は領主邸にお世話になるがそれが終わったらお前のいるやかたに向かうから待っておいで。早ければ数日、長くても1週間の(のち)にはそちらに行けるはずだから。」


「はい。お兄様!」


「世話役のプントはいるか?あとリネアも」


「はい。こちらに。」


プントは初老の男性だ。弟の世話を長年勤めている。


「わたくしもこちらに。」


リネアは私と同い年ぐらいのメイドだ。2人は弟専属の世話役だ。


「伝えていた通りこの子と馬車を共にして話し相手になってくれ。やかたに着いてからもよろしく頼むぞ。もしわがままを言うようならしっかり叱ってやってくれ。」


「お兄様ぁぁ!」


「ははははは。」


弟のことは気がかりだったが私は領主邸に行く馬車に乗ったのだった。






「お兄様・・・行ってしまった。」


「坊ちゃま」


「わかっている。館に走らせてくれ。ここから近いのか?」


「いいえ、少しばかり離れています。」


馬車が再び走り出した。


「プントはこの街に住んでいたこともあったらしいな?」


「はい。だいぶ昔のことになりますので、街の様相も変わっていましょうが、知人に連絡を取ってみた所、昔から無くなっていない店などもまだまだあるようなので、着いてから確かめようと思っております。」


「そうなのか。昔馴染みに会えるといいな。俺も良ければ街を散策してみたい。その時は案内してくれるか?」


「ええもちろんですとも。私の知人の1人に食堂を営んでいる者が居ります。確認をしてからになりますがこの街では有名な美味しい料理屋として栄えていた食堂です。今でも人が入っているらしいので、今度そこに是非坊ちゃまを案内しとうございます。」


「そうか!それは楽しみに待つとしよう。相手の都合もあるが、療養期間はそれなりに長い。1度くらいは入れるだろう。プントの故郷の味か。楽しみだな。」


「いいですね。その時はわたくしもお供させてくださいませ。ちなみに何と言うお店なのですか?」


「“ともだち食堂”と申します」








お読み頂きありがとうございます!もしよろしければブックマークや☆を押していただけると嬉しいです。


作者が嬉しさに舞い上がって更新頻度が増えるかもしれませんよ



主人公のモナが次回も寝てるので明日も更新されます。


あとがき


ちなみに王家のご兄弟人数は全17人(嫁いだり死亡した人数も含む)。のうちのお2人。王族での役目とか色々考えていったら17人って少ないかもなとマヒしつつあります。設定は設定なのでそれこそお蔵入り案件ですWW


いつか何人か出せるかもですが、このあとがき内の内容は忘れてもらって大丈夫です。


*オマケ*


プント→点


リネア→線


イタリア語で、点と線。

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