第83話
「お兄様の一人目の婚約者はお家との繋がりとの為に行われた、王族としては通常の政略結婚だったそうだ。お兄様もとても小さかったが他の王族の兄姉達も同じ事をしていたので、周りを気に止めることもなかったという。しかし」
「しかし?」
「一人目の婚約者はあろうことか、同門の下位貴族の1人と駆け落ちしてしまった。」
「えええええっ」
「結婚が迫ってからその2人は恋に落ちたらしく、親・家族すべてに黙って夜逃げ同然の駆け落ち。新聞のゴシップには格好の餌食。お兄様の名前は使われていないが、似たような物語の悪役と同じ事をしていたのでは?とも最終的には噂されるようにまでなった。」
「ちょ!それは酷すぎる!!」
逃げられたからなにか悪いところが?って発想は出てしまうかもしれないけど、単にお相手達の熱が燃え上がり過ぎて駆け落ちしただけらしい。変な火の粉被らされた形!噂流した人達ヒドイ!
「数年が過ぎ誤解も解かれ、また婚約の話が舞い込んだ。その時には俺やお姉さまがお兄様の世話になっていた頃だった。」
人の噂も75日ってやつだね。誤解なくなって良かったね。
「ん?アンドレって兄弟多いの?」
「え?ああ。当時は俺が一番末だった。んー、今は弟が1人いて・・・・一番上の大兄様は今年34歳だったはず。お姉さま達は俺と同じ第8王女までいるから、えっと、8と9でじゅう・・今は17人兄弟だ。お母様達は全員で4人だ。」
雷に打たれた衝撃が走った。王族スゲェ。王様頑張り過ぎ。
「話がそれた。それでな、当時お兄様の下には俺と、第7王女のお姉さまと第8王女のお姉さまの3人がとても大事にお兄様にお世話になっていたんだ。兄弟が多すぎると、年が離れすぎてしまう。すると兄弟より他人に近いというか、離れすぎて親みたいな立ち位置になってしまうとも言われていたので、年の近いもの同士で助け合っていた、とも言う。のだが。」
「そこで次の婚約者?」
「うむ。ディオお兄様の2番目の婚約者は、同じ家庭教師をもつご学友とのことで選ばれた女性だったらしい。しかし何を吹き込まれたのか、その女は婚約者に正式になった後、お兄様の醜聞をあることないこと広め始めたのだ。」
「えええええっ」
「一番酷かったのは、『ロリコン・ショタコンを患っている第6王子。』とゴシップに売り込んだというものだ。ただただ弟妹を思ってしていた行動を醜聞に変えられてしまった。事態を早急に重くみたお父様や大兄様達がその女性を罰したと伝え聞いた。詳しくは知らない。もしかしたら死罪になっているかもしれないが、俺は何も聞いてない。お兄様は婚約破棄になった。とだけ。」
「うわぁ・・・」
「いまだに、時々来るんだ。お兄様はやっぱりそっちなのですか?ってな。だから今は婚約者はいない。」
「そう。・・・・・。」
今更だけれども、コレ聞いちゃダメなやつでは?
「ほとんどの大人が知っている。な、プント」
「はい。まあ。」
その後に、わざわざ話すべき事でもなかったのでは?っていう言葉が飲み込まれた感がする。
「モナは、そういうことお兄様にはしない。そうだろう?」
じっと見つめられた。一連を聞いて私がどんな反応になるのか知りたかっただけなのかもしれない。
「そんなの!もちろんだよ。」
ふんすっ!
「よし!ではこの後、お兄様と会ってくれ!」
「・・・・・・・はい?」
「お兄様がな、モナと2人きりで話がしたいと仰せだったのだが俺がいいと言うまで待ってもらうことになったのだ。今日がダメなら明日。明日がダメなら明後日。今日も一応近いところで馬車で待機してくれている」
「!?!?!?お子さまランチ食べてる場合じゃなかったんじゃん!!!!!??」
護衛の人が目を真ん丸くしてたけど、プントさんとアンドレに軽く説教をかました。アンドレの目に涙がたまっていったけど、そんなことより待たせてしまったディオさんを呼んでくるように3人とも外に出した。
一旦私とテンクウちゃんとコエキちゃんだけに戻った。そういえばリネアさんが気付いたらいなくなっていた。あの人も自由だなぁ。
「あの男の子目がうるんでいましたニャ。王族にあそこまで言ったら、不敬罪で訴えられるのでは??」
「外で何時間も待たせるほうが不敬罪極まりないと思うよ」
実際、1時間もアンドレ達はいなかったハズだがそれでも今日はディオさんも一緒に来ているんだよ。ぐらいお子さまランチの前に話せたはずだ。
「ニヤッははは」
「アンドレのお兄さんってサルの時もいた人だよね?モナちゃんに何の用だろう」
「・・・・2人きりで・・・わかんない。何の用だろう。やっぱり不敬罪関連かなぁ。・・・・ハッ!もしかして私が異世界から来た人ってどこかからバレたとか?ほら、私、一時大人になったり、中学生ぐらいになってたりしたからそれを見られた可能性も・・」
「あっ、もう来たみたいですニャ。見たことある男も一緒にいますニャ」
コエキちゃんは窓から外を覗いて教えてくれた。ドアがノックされた。うう、開けたくない。さっきまで知らなかったとはいえアンドレのお兄様を放置していたとか申し訳無さすぎる。お子さまランチ美味しくいただいたりしてたし。
顔が百面相しながら渋々ドアを開けた。
「よー、お邪魔していいかー。」
「あっ銀さん。」
「ギンサンじゃなくて俺はチェルキョ。チェルキョ、チェルキョ、チェルキョをヨロシク!」
なんか選挙演説みたいな解説?ありがとう。チェルキョさんの後ろにはディオさんがいた。
「どうぞ、お待たせしてしまったみたいで。中にお入りください。」
ついぞ口がモゴモゴしてしまう。緊張してると受け取ってくれたのか微笑みを返してくれた。で・・ディオさん!イケメン・・・!まぶしぃ!推してもいいですか・・・!くっ5歳の体がニクイっ!
テンクウちゃんとコエキちゃんに冷たい目線送られてそうな気もするけど気にしない。だってイケメンはまぶしぃものだもの。
チェルキョさんがディオさんの護衛ということなので入ってきたのは、ディオさんとチェルキョさんだけだった。アンドレとプントさんがさっきまで座っていた場所に2人を誘導して、私も私の座っていた所に戻っていった。ふう。いつもの席は落ち着く。
「あっ、私お茶とか、身長足りなくて入れられないんです。なにもお出しできずすみません。」
おままごとな、おもてなししか出来ない。
「ああ、お構い無く。リネアに頼んでありますのでもう少しすればお茶は届くハズです」
いつの間に。
「それで、その・・・・・私と2人きりで話がしたいとアンドレから伺ったんですけれど・・・」
最初からチェルキョさんいるから根底覆されているけど、それを言いたいんじゃなくてだな。
「俺は護衛なんで数に入れなくていっすよ」
「それじゃなくて、聞きたいのは、私・・・・あの、不敬罪で捕まるんですか??」
「「えっ?」」
きょとんとされた。おっと誰か来たようだ(誰も来ていない)。逃げの口上がこれしか思い付かない、私は、テーイマ・モ・ナです。(泣)(←原●泰造です!風)
〈オマケ〉
★二番目の女性の心境
弟妹に愛を注いでいるだなんて私が婚約者になったのだから止めてもらいます。しかし婚約者になるまえから当人に言っても聞く耳を持ちそうにありません。なので周りから埋めていきましょう。私だけを頼るように。私だけを愛すように。他は要らないと言わせなければ・・・。
という女でした。ヤンデレだかなんでれだかしらないけど、周りからは普通の女性に一応見えるように気遣えるサイコパス的な女性。本編に詳しくをのせる予定なし。
◆最後のはネプチューンのはーらだ!たい!ぞう!です!のネタ風。
19日からの体調不良がようやくなりを潜めたので、ちょっと元気。喉風邪怖い。治ったから良かったものの、喉から血を吐くのかと思う程度に痛い思いをしたのは人生初めての経験だった。