第80話
名探偵など呼ばなくても当事者から話はつらつらと聞けたわけなのですが。
「ーーーというわけでにゃ、アイツがあんまりにも褒めちぎり、褒めそやし、褒め称え、さらに、自慢とドヤ顔と向けて、神でも崇拝してるのでは?と不安に駆られる程度には、いろいろ聞かせてもらったわけで。」
「テンクウチャン・・・?」
カタコトになるくらい恥ずかしかった。ホメホメ3段活用ありがとう。しかし意味も重みもほぼ一緒。ただただ恥ずかしいだけである。話が聞きやすいようにか、ビャッコくんがテーブルの上で話してくれているから余計にいたたまれなさ倍増中。
「えへん!」
えへんじゃぁぁないよ。ビャッコくんの眼差しを見なさい!呆れてるよ!?昨日ふたりで何話してたのかと思えば私について切々と聞かせてただなんて・・・。
「なんか、テンクウちゃんがご迷惑をかけたようで・・・ごめんね?」
「んでだにゃ。むしろ興味が湧いたからいつも一緒にいれる証だって聞いたからにゃ。首輪ほしくにゃったんにゃ。」
「あーーー。あ?」
納得したような、そうでもないような??
「今朝もコエキがにゃんか、ここから通いたいっていっててにゃ。ほかのやつらも居心地は悪くなかったって、じゃあ俺も、じゃあ俺も・・・ってさすがに昨晩みたいに押しかけるのは、って話し合ってな。最終的に俺様とコエキが代表で!と俺様が決めたら、どうぞどうぞ。とみいぃんな諦めたわけよ。そんなわけで俺様達が来たにゃ」
なにそのかわいい猫のダチョ●倶楽部・・・!?
「だから首輪ほしいにゃ!姉さん!」
ね・・!?ねえさん!?・・・いやまてまて。ツッコミを常に返してたら話が進まない。コエキくんのこれについては後回し。
「あげるのは私としては構わないんだけど、あれは買いに行かないと行けないんだよね。手元には無いんだ。サイズとか色とか。あと、ネームタグの部分の装飾とかあるから・・・。」
「めんどくせーにゃ。」
ビャッコくんは眉間にしわが寄り始めた。
「ずっと身に着けるものだから、気に入った物を選ばないとね。テンクウちゃんも選んだもんねぇ」
「うん!ボクこれお気に入りだよ!自分だけの特別なんだ!」
「おやびん!特別だって!」
「・・・・ふん。それはあれか。テイマーの特殊な首輪じゃにゃいだろうにゃ?」
「ちがうよ!」
テンクウちゃんが即座に答えたけれど・・・。
「テイマーの特別な首輪なんてあるの?」
「「「・・・」」」
黙られてしまった。聞き方が悪かったかな。
「知らないのも当然かもな」
「・・・?」
ビャッコくんはふうとため息をついてテーブルから降りた。
「そうだよ!今やテイマーギルドも冒険者ギルドも撤退したからね!」
「えっ!?撤退??」
テンクウちゃんの鼻息が荒い。ふんすふんす。ギルドって撤退ってするもんなの?物語だとどこかしらに在るようなイメージなんだけど。
「だから首輪もテイマー仕様はなかったよ!ビャッコは心配性だなぁ。ボクが着けてるってことはそういうことなんだよ!」
私にはわからないけどそれでビャッコくんの決意が固まってしまったようで。
「今すぐ買いに行くぞ!モナ!」
「今日は外出禁止だから無理です!!」
「はぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!???」
ビャッコくんの怒号。いや。ね?急に来て無茶言わんでください。昨日高熱出したからと数分に渡って説得。怒りは鎮まり給うた。
「2階に行っちゃった・・・」
「大丈夫だよモナちゃん!多分いつものふて寝!」
「ふて・・・。」
いつもしてるのかーーふて寝。
「おやびんいつもああなんで、気にしないでくださいね!」
「コエキくん・・いい子。」
「モナちゃん?コエキはメスだよ?」
「!?ごごごご、めん!ハスキーっぽかったから、てっきり。コエキちゃん!コエキちゃんね。覚えた!」
「いいんです!私オス社会に揉まれてこんななったんで、後悔も悲観とかもしてないんですにゃ!」
おおお、漢らしいカッチョいいメスだ・・・!!惚れてまうやろー!
「テンクウはちゃん付けなのはこだわりかにゃ?」
「うん!ボクはちゃんのままでいいからね!呼び名は可愛い方が好き」
「わかった~」
暇だ。いや、手は動いてるよ。文字の練習しつつ時々ステータス見たりしてさ。でもさっきまでワチャワチャしてたらこう、緩急激しすぎて心が風邪引いちゃうよねって感じ。話題が途切れたから急にシーンとしたけどまあ、むずむずする。あ、そうだ。
「あのさ、さっき言ってた」
テンクウちゃんとコエキちゃんに街のことについて聞いてみた。ミギィさんとレフティさんからは日常生活についてとか魔法とか、そういうことしか聞いたこと無い。だから街の現状って見た限りのことしかわからない。私、今5歳だから行動範囲狭いし。
そう言うことも踏まえて聞いてみるとこの街の現状は結構ヤバいという認識らしい。
街という大きなくくりから、小さい町もしくは市や区のように、領主ではなく、町長・市長・区長ぐらいの役職をつけて、街のくくりを落とすことがほぼ決定しているらしい。猫さん調べ。
街自体は昔のまま大きく、住む家もいっぱいあるけれど王都に行ってしまった若者が後を立たず過疎化が進んで空き家がかなり多いらしい。
んえ、異世界でも過疎化か。どこもそういうのはあるんだなー。まあ川の流れも時代が進めば細くなったり太くなったり変化するし、人の流れも変わらないようには出来ない。どう付き合って行くのかがキモだよね。
「領主、頑張ってたんだけど色々妨害があったから仕方ないにゃ」
「妨害?」
「領主達は気づいて無いみたいだけど人間同士の争いっぽかったにゃ。」
世の中うまくいかないよね。ここに住み始めて一週間過ぎた程度だけど商店街の人達とかに悲観的な所は見えなかったなぁ。私にもなにか手伝えることがあればいいなー。
あ、借金の金策。その辺りで考えてみるのもいいかもしれないなぁ。
街について大体のことは話終えてしまってまた静かになった。カツカツ・・・カリカリ・・・
「んんーーーっ・・ふう!飽きた!」
勉強に。伸びをして溜め息をつくと、やり尽くした気分。ステータス画面もまだまだ読むところいっぱいだけど、さすがにつかれてきた。気分転換にキョロちゃんの絵描き歌でもやるか。
「天気がいいね~絵でも書きたい~何書こうかな~~~。まるかいて~まるかいて~まるかいてまるかいて、テテンテンテン。中のまるを黒く塗り、三角帽子を被せたらぁ~長いまるで包みます。アンテナ2本たてちゃって~、くるっと回してくるっと滑って、あっら、これは~~キョロちゃんキョロちゃん、キョロキョロキョロキョロ、キョロちゃん。キョロちゃん!なんだか楽しくぅ~なったよ。チャンッ!」
細かい模様とかはアトガキです。歌の中には無いから付け足し付け足し。あと歌を間違えてるかもだけど気にしない。何年前のアニソンだ?という。私が好きだったから覚えていた部分だけでも一応絵は成り立つし。ヨキヨキ。
「なにかいてるの~?トリ?」
「チョコ食べたくなってきた。」
「チョコってなんですかにゃ」
そんなおり、家のドアがノックされた。
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