第70話
神様と魂ちゃんのオーディオコメンタリー風③。今回でラスト~。
真っ白な神様と呼ばれるその人と神の子と呼ばれる魂の塊の2人は未だに画面にかじりついていた。モナがおままごとセットを見つけたあと辺りを見ていた。
「モナ、ともだちできた。よかった。」
「この子達はミリーちゃんとユリウスくん。こう・・モナちゃんと並ぶとモナちゃんがませてて大人びてしまっているのが浮き彫りに・・・。」
「んー?この子たち見たこと無いね」
「この2人は亡くなってますからね。10年後には居ませんよ。」
「モナ、知ったら悲しむね」
「そうですね。ただまだなにも起きていませんし、モナちゃんと会うことで何かが変わっているかもしれません。」
「変わってたらいーな。」
「・・・はい。」
「モナお手伝い、たのしそう。お?おお?」
「まだ幸せだった頃の家庭だね。」
「お医者さん?」
「そうだよ。」
「しあわせそうね。」
「まともな頃はこうだったのですね。」
「まとも。なんで?こわれた?」
「子供が死んでしまったんです。動物に襲われて追いかけられ、にげて、にげて、崖から落ちて死んだ・・・そうです。このお二人にはさぞお辛かったことでしょう。」
「つらい、やだねー。」
「転落死。事件はだいぶ後ですけど、そうならないように願うばかりです。」
「お医者さんたち、怖かったね。」
「え?ああ、あの世界では動物実験の鬼と言われてましたからね」
「おに。モナがきっとならないようにしてくれる。はず。」
「小さくても1つ1つ色々なことがこの時代に積み重なって、あの10年後が出来上がったのですね。」
「つみかさね?・・・・モナ、このまま大きくなったらまたママになってくれる?」
「・・・それは、どうでしょうね」
「なってほしいな」
「今のところは無理ですね」
「ママにはなれない?」
「お友達とか仲間とか、そういうものにはなれると思いますよ」
「他のにはなれる?そっかー」
「・・・」
目の前にはモナが体験した映像が流れ続けていたが2人共考え事をし始めてしまったのか、無口になり、長いこと沈黙のまま時間だけが過ぎていった。そしてその沈黙を破ったのは神様だった。
「ね」
「うん?」
「今君たち、私たちが、のんびりまったりやっているその裏で、平行線の別の世界線では、苦渋を飲み泣き叫び命乞いを毎日するような、そんな世界が広がっている。可能性だってある。あのロッテリーの街の10年後の世界のような」
「・・・」
「だからね、一瞬でも笑えるのなら、ちょっとでも好きなら、例え嫌いな事がとても多くてもひとつだけでも救いがあるのなら。その今いる世界をとにかく・・・とことん・・・・・大事にして欲しいんだ。」
「だいじ。」
「選択を決めて転がるのは神には出来ない。キッカケを降らせてしまうことはあるかもしれないけれど、行動を起こせるかは地上に住んでいるモノ達だけなんだよ。」
「そーなのー。ふぅーん。」
「そうなんですよ。そうそう、地上の人間達の教えにもこういうのがあります。“生まれた落ち時から周りに迷惑をかけているのが人間の常なのだから、常に周りに恩を返すような人間になりなさい”ってね。」
「おんがえし。」
「“迷惑をかけないように生きなさい”っていう教えもあるそうですが、それこそ、引きこもっても誰かがどこかで働いているから食べ物や生活の起点となるものがそこにあるわけで。それを実現させるには本当になにもない場所で人間が誰もいない場所で自給自足をするところから始めなければ。ほらね?あちらの方が合理的でしょ?」
「ごうに的?うーん。わっかんない。」
「まあ、これもただの極論ですけどね。あはは。難しかったですかね?」
「難しい。けど、言いたいこと。わかる。」
「・・・わかりましたか?」
「うん。」
「そうですか。・・・・・では君もあの街に行きましょうか」
「・・・・?」
「・・・」
「んえ???」
「どうしました?」
「えっ?いま?行くって言った????」
「言いましたよ」
「たましい、無理、言った!お腹に入らないと、土、地面に、溶けちゃう!」
「そうですね。でも、行きたくありませんか?モナちゃんに会いたくありませんか?」
「・・・けど!溶けちゃう!消えちゃう・・・。ぼく、わたし、いなくなる。やだ。」
「消えなければ、行きますか?」
「消えない?」
「はい」
「溶けない?」
「はい」
「モナ・・・モ・・ナ・・・会え・・・る?」
「君が行きたいと望めば」
「行きたい!でも、だめだったのに。行けるようになった?」
「君という魂の塊が、カケラが育ってしまったからですよ。この部屋この画面がずーーーっと続いていて、ほら、あの辺り、君と同じ魂がいるでしょう。」
「うん。あっ。消えた。」
「誰かの子供になったようですね。」
「・・・」
「・・・ふふっ。わかっちゃいました?」
「ココ居たらだめだった?」
「本来はここに長居する魂はいないはずなんです。で、なければ、君たち魂がいっぱい集まっている部屋に戻されるんです。でも君はなぜか進めなくなったはずなのに、戻れなかった。だから私は見守るしかなかったんですが、さっき気づいたんですよね。君はもう君だけの魂として完成してしまったのでは?と。」
「かんせー?」
「そう、モナちゃんの所に行きたければ行けますよ。」
「モナ」
「会えますよ」
「行きたい」
「行けますよ」
「ママじゃなくてもまたお喋りしたい」
「できますよ」
「うああぁぁぁぁぁ」
目はないのに涙のようなものが魂からポロポロと溢れだした。その声は喜びに満ち溢れていた。
「さて、溶けないように形を変えないといけません」
「なんでもなれる?」
「なれますよ」
「うーん。どしよっかなー。どしよっかなー。うーん。うーん。うー・・・あっ。決めたっ。」
「教えてもらってもいいですか?」
「見てのお楽しみだからだめ~~」
「ふむ。それもそうですね。恐いのですか?可愛いのですか?」
「んーーー、こわくはないよ!」
「そうですか。では楽しみにしておきます。」
「どうやったら変わる?」
「私が形が変わる力を降り注ぐので、変わりたい姿になると力強く思い描いて下さい。」
「思ってるだけでいーのー?」
「はい。それだけで変われます。じゃあ・・・・うーん、ささっと手をかざしてしまうだけで変わってしまうのももったいない気がしますね。滅多にない君だけの儀式みたいなものですし。・・・・あっそうです。呪文唱えましょうか?」
「じゅもん?」
「そうです。魔法の言葉を呟きながら変えましょう。なにがいいですかね?」
「それならね、前にね、モナがねー!前に言ってたやつがいいなー!」
「ああ、言ってましたね。えーと・・・2個あるけどどっちかな?マハリクマハリタ?」
「そっちじゃないほうー」
「わかりました。じゃあかけるよ?」
「うん」
「チチンプイプイ、君のなりたい姿になぁれ~」
シャラシャラと宝石の粒のようなものが降りかかると、魂の塊の子は形を変えた。
「それが一番なりたい姿?」
「うん!あのねーケセランパサランって言うんだってー可愛いでしょーモナがね、前にね、言ってたんだ~」
「とても素敵だね。さて、これから君はモナちゃんの元に送ろうと思っているが、少しだけ時間がかかるよ。なぜだかわかるかな?」
「うーんと、あのねー、さっき言ってたでしょー?ぼく、わたしのいる、ココはモナちゃんのところと違うってー。だからかなー。」
「よくわかったね。偉い偉い。」
「んへへー。どのくらい時間かかるのー?」
「もう受信出来たからね。あの世界で1日か2日ぐらいで着けると思うよ。」
「そっかー。だいじょうぶ、そのくらいならがんばれるよ、ぼく、わたし。」
「行っておいで。私はここで君がまた戻ってくるのを待っているから。」
「戻らないかも。モナ好きだもん。」
神の子と呼ばれていた子はケセランパサランになってモナのいる土地に送られるのだった。
はい!皆さんご想像が途中から、②ぐらいから、最初から、わかってたかもしれませんが!魂の塊であり、神の子って言われてた子が、ケセランパサランちゃんでした~~(わ~パチパチパチパチ)
モナの所に向かいます。
次回、モナ登場!(ようやく。)更新は明日です!!(作者はもう力尽きてます。死亡フラグ)
今日も仕事で明日も仕事~ふっふい。もう未完で終わりでいいんじゃないかな、この作品。( ´△`)って言いたくなる感じにはお疲れ(笑)ちゃんと終わらせる!ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
「筋ト令嬢クーラ様」読んで爆笑して寝よう。おもろい。悪役令嬢もの!?って色々あるなぁ(遠い目・爆笑)