第66話
★モナ、出てません★
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そこには髪が白い人がいた。男性のような体つきをしているが両性のようにも見えるその人は不思議な空気をまとっていた。
「ごめんね、接続がどんどん悪くなっているみたいだ」
目の前の画面に話しかけている。
「いいや、我々があなたと話が出来ることが不思議なことなんだ。普通はこんな出会えることも無いし会話なんて出来ない。」
画面から男性の声が白い人に話しかけていた。画面越し同士の通信だった。白い人に相対するは黒い人だった。といっても肌は黒くも白くもなく通常の人間の肌で、白い人とは違い生きている感が見てとれた。単に服や髪、頭に生えている角、全体的な雰囲気が真っ黒だった。
「そしてすまない。この通信手段ももうすぐそちらには完全に繋がらなくなってしまう。」
「そうか、それはとても残念だ」
黒い人の隣にはモナ達の知るよりも少し年がいっているが見慣れた顔があった。ディオールウェリス。通称ディオ。アンドレの兄が画面の先に写っていた。
「彼女は無事かい?」
「ごめんね。映りが・・。まだ接続出来てないんだ。しかしそちらでも一年ほどは平和に暮らしていただろう。」
「ああまあ、結構図太いからな、姉上は。」
黒い人はディオと話をしてはにかんだ。
「アンドレ、それを聞いたらきっと彼女はぷりぷりと怒るよ」
「ははっそうだろうな」
真っ黒い人はアンドーレリユース。アンドレの大人の姿だった。しかし、もう子供の時の面影がほとんど無いぐらい、黒い空気をまとっていた。
「っっ・・・」
「お兄様、また足が痛むのですか」
「ああ、もう大丈夫。すまないな。アンドレ」
「・・・・なにか私に力が貸せたら良かったのだけれど・・・なにも出来ずに本当に申し訳ない。特にその足・・・。」
「いいえ、この動かない足は私の不徳の致す所であなたが気にやむことはなにもありません。」
画面越しにいる年を重ねたディオは、両足が使えない状態、下半身不随に近い状態になっていて車椅子で生活をしていた。
「そんな顔をしないで、アンドレもだよ。」
アンドレは泣きそうな顔をしていた。
「神様。」
「なんだい?」
「彼女をよろしくお願いいたします。」
「見守ることしか出来ない不甲斐ない存在だよ」
「それでも彼女をよろしくお願いいたします。次元が違うのもありますが、私達にはもうには会うことも叶いません。彼女を不幸にしてしまったのは我々だから。会う顔すら持ち合わせていないのです。」
「姉上はそちらで幸せになってくれたら・・・と、願っています。ただ・・・テイマーには・・させないで下さい・・・」
「最後に本人が望んでいた事だからね、多分魂に刷り込まれてしまって無意識のうちに避けている・・はずだよ?」
「「それならよかった・・・」」
ディオとアンドレの2人は顔をホッとさせた。
「ねえ。」
白い人、神様と呼ばれた人の後ろから人間の子供サイズの白い塊がしゃべりかけてきた。
「ああ、待たせてすまないね。」
「その子はもしや」
ディオが画面を覗き込む。
「うん、前に話しただろ?彼女を気に入って、彼女とこの画面越しに喋ってこの子は彼女を気に入ってしまった。」
「カノジョ?」
「うん、彼女さ。この目の前にいる男性はね、君のお父さんになる予定だったんだよ」
「あっ!モナが言ってた人!パパになるって言ってた人!・・・・えっとぉ、ディオ?」
画面越しのディオは目がうるんで泣きそうになっていた。
「顔はないんですね」
「お腹のなかで形成されるからね、この世界の状態の魂には顔はないんだ。」
「そうでしたか。」
「ねえ。まだモナがうつってないよ?早く見たい!」
「もう1日ぐらいかかるかもねぇ・・・」
「えーーーーまた同じこと言った。」
人間の子供サイズの白い塊の魂は膨れてないのに声だけは膨れっ面な声だった。
「約10年分の誤差は埋めるのに時間がかかるだろう。もう少し待ってあげなさい」
アンドレが画面越しに白い魂に話しかけた。
「うーん。そうだね。まだ待てるよ。モナが心配だけど、いつか見れるから!」
「その10年の差が吉と出てるか凶と出てるのか早く知りたいものだ。」
「モナは強い。」
「そうだな。私達兄弟もかなり助けられた。」
「あのモナの事だからもう街を救っていたりしてな。」
「5歳の体になってしまったんだ。さすがにそんな・・・いや、でも彼女色々よくわからない行動を急にするからなんとも言いがたいな。」
「モナ、スゴいヒト!」
「そうですね」
笑いが起こった。ほほえましい空気が流れた。
「ああ、そろそろ限界のようだ」
「そうですか、この通信も有意義でした。少しだけ希望を胸に生きていけます」
「ディオ、彼女が君を選んだんだ。命を無碍にあつかってはいけないよ。彼女の為にも。」
「もう2度と通信は出来ない、ということでいいんでしょうか?」
「わからない。でもね、アンドレ。私は君がその姿になってしまったからこそ、彼女が時も次元も越えられたということを忘れてはならないよ。君には無限の可能性がまだまだあるはずだからね。」
「2人とも、ばいばいね?」
「ああ、彼女の事を頼みますよ、神の子。お父さんになれなくて、申し訳なかった。ん?どうした?アンドレ」
「お兄様、俺研究をもっと進めます。この通信を最後にしたくありません。」
「そうだね、やってみようか」
「神様、またいつか、あいましょ―――――――――」
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「消えちゃったね」
「あの2人ならきっとやれる、かもしれませんね。」
「モナ、見たい。」
「そうですね、私もモナが心配です。」
神様と神の子と呼ばれた2人はお互いの手を繋ぎあってその画面とは違う砂嵐にまみれた別の画面の前に立った。
「あの2人が決めた約10年前のロッテリーの街。あの殺伐とし、荒廃を極めてしまったあの街・・・・のまだ綺麗だった街並みだった頃に落とされたモナ。無事だといいですね」
「モナ・・・・」
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★主人公不在の為、明日も更新されます★
モナ「次回はちょっとだけ出番ある?ほんと!?でも待って、ちょっとって!?ちょっとってどういう!?あっ逃げた!」
更新増量中になってますー。作者のテンションもここ最近高めなのと、ストーリー展開がサルのところで間延びした感じになった感があったので、くわしくは活動報告にでも書こうかな!?
ではまた明日!