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第63話


「あのモナって子、なんでポーションにわざわざ魔力のせてたにゃ〜?」


「え!?」


「な!?トカキ、それは本当か」


「死にたがりですかにゃ?」


「バカーー!止めてよ!そういうの見えてるんなら」


テンクウが吠えた。


「でも止めてもあげるってあの子が言うかも」


「かもも、もしもも、聞いてないのに決めつけたのかっ」


ビャッコから猫パンチがトカキの頬を打った。


「にゃっ!?りーだー!?」


打たれた頬をトカキは肉球で押さえてびっくりした顔でビャッコを見つめた。


「オマエはホントに、俺様より優秀なのにいっつも口にせず1匹で、心のなかで勝手に決めようとする。悪い癖だって言ってんだろ。いいか、トカキ。俺様に報告は絶対だ。」


「りーだー!」


「わぁ。」


頬を打たれたトカキの目はキラキラしていた。それを見てテンクウは引いた。


「一生ついていきます!」


「あっズルい、私もおやびんについていく」


「俺も俺も!」


「むにゃむにゃ・・・」


人の声に猫たちは身をビクッとさせた。


「テンクウ」


「ん?あれ?行っちゃうの?みんなが起きるの待ってればいいのに、サルのこととかモナちゃんのこととか一緒に説明してよ。モナちゃん、君たちが連れてきた野良猫たちにもポーションあげてたから、あの子達もそろそろ起きるよ」


「あいつらは起きたらすぐ戻るから大丈夫。まだサルを倒しきれてないし、その、モナの不思議な感じにモヤモヤっていうかムズムズするからにゃ・・。人間との関わりはまだ保留にゃ」


「むずむず・・??それって・・・」


「じゃあまたにゃ!」


「ああーー・・・・。もう。行っちゃった。」


テンクウの足元にはアンドレの隣でモナが眠っていた。テンクウはモナの体に寄り添ってその場に座り込んだ。


「ボクの魔力がモナちゃんの足しになるといいなぁ」


「ぱんけぇき~むにゃむにゃ・・・」


「ぱんけーきってなんだろ?」


その数分の後、モナ以外の倒れた者たちがみんな起き出し、サルが倒されている状態に驚愕するのだった。







「ニゲロ」

「ニゲロ」

「イノチアッテノ モノダネ」

「コワイ」

「ナンダ」

「イミワカラン」


サル達はモナに怯えた。あの魔力が見える灰色の猫のトカキでさえ見えていなかったものがあった。モナがフィールド内で作り出した遊び道具のことだった。


2種類の道具には一切当たらなかったが、3個めの水風船には当たってしまった。


「ナンダアレ」

「スワレル」

「ハジケル」

「ヒサンスル」


そう、あの水風船にはゴム風船部分にかすかな魔力が乗っていた。もちろんモナの魔力だ。そしてその水風船が対象のサルに当たると、ゴム風船部分がサルの魔力を即座に少量吸い取り破裂とともに、魔力を消し去っていた。


ちなみにこの現象は大童の特性がバグってしまったがために起きていたことだったが、そんなことやってたモナにもやられていたサルにもわかるわけがなかった。


本来は頭上か、下部にメーター、もしくは残基設定、そして魔力ではなく体力値をそいでいき遊びの勝敗をわかりやすくするという機能、とどのつまり、ゲームのHP表示の役割をするはずの機能だ。バグっていたため魔力吸い取り爆弾と化していた。


むしろ今回に至ってはバグのお陰でサル達をとても倒しやすくなったので、モナたちにとってはとてもラッキーだったことは間違いない。


「シッパイ」

「クヤシイ」

「ツギコソハ」


「お前ら、もどて、きたのか」


サル達は巣穴に戻ってきた。


「すくない、どした、仲間、ない」


目の前にはサル達の3倍くらいの大きさのボスザルが鎮座していた。サルなのだがゴリラのようにたくましく声もひどく低かった。


「話せ、きく、オレ強い」









「あれ?ここどこだ?」


見覚えのある場所にモナは座っていた。


「あっ最後の記憶の神社じゃん。・・・・あれ?今までのは夢?」


5歳に退化して異世界転移・・・そっかただの夢だったか。


「・・・・って大人・・・じゃないぞ私。」


よくよく見てみれば景色は知っていた場所だがモナの姿形は異世界転移した世界での5歳の姿だった。


「どゆこと?」


立って辺りを見回してみた。


『こっちにおいで』


「?」


鈴のようにリンとしたか細い女性の声がした。


「だれ?」


『こっちにおいで』


「あっ!?」


とっさに隠れた。声のする方へ流されるまま歩いていたら目の前に“大人の帝麻萌那(ていまもな)”がいたからだ。そしてその“大人の帝麻萌那(ていまもな)”は声に誘われ神社裏の狭い空き地に吸い込まれていく。


「あっ見えなくなっちゃう」


曲がり角からモナが飛び出すとそこには不気味な黒い鏡のような形のブラックホールみたいなものがそこにあるだけだった。“大人の帝麻萌那(ていまもな)”は居なくなっていた。


「私・・・・・ここから異世界に行ったってこと・・・・?」


モナには全く記憶に無かった。神社の中で休憩がてら座った所までしか覚えていなかった。だから勝手に思っていた。その瞬間に移動をしたと、思い込んでいた。だからその先の出来事があるとは思いつくことさえしたことはなかった。


なのに今目の前で、モナの想像もつかなかったものを見てしまった。


「ああ、これも夢。それとも・・・・」


うっ、と頭を抑えこんでモナは倒れてしまう。倒れたモナは砂煙になってその空間からサラサラと消えた。


『たすけてほしいの』


リン、となる女性の声がすると、鏡のようなブラックホールのような物体は、中央から反対側の空間に引っ張られるようにして、しゅるりと縮んで消えた。


モナがもしそれを見ていたら「箱ティッシュの裏側ってこんな感じだよね」と言っていたことだろう。


これはモナの過去の映像だったのだが、モナ本人も、モナの守護霊のスズちゃんも欠き消えた記憶だった。


モナは過去を覗いたに過ぎない。


そしてそれがどうして現れたかと言うと、モナの魔力が一時的に復活したからだと言うことをモナはまだ知るよしもなかった。

次回は15日予定です。



モナ(;・ω・)「私主人公だけどなぜかそろそろ出番が減る気配がするよ」


モナが出ない回があれば次の日も更新されます。(予告。)


モナ「よ、予告!?Σ( ̄□ ̄;)」


(;・ω・)へへへ


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