第61話
「ビャッコー」
「なんだにゃぁ」
「さて、テンクウちゃんがいってくれてるうちに・・・っと。」
《スキル・大童を使用しますか?》
❲保留❳ ❲使用❳ ❲スキル削除❳
もちろん使用をポチっとな。使用しますか?って聞いといてスキル削除が並んでるのが物騒である。間違えてそっち押してしまったらどうすんねん。
「おおっ」
大童が発動すると遊●王とかプリキ●アとか仮面ラ●ダーとかでよくある特殊フィールドが展開された。特殊フィールドってあれだよね。床からオーロラ発生装置だよね。きれーい。
「コムスメ」
「ナニシタ」
「ヤッツケロ」
「デラレン」
「イヌネコ」
「ハッタオセ」
「ワメクナ ワレラハ」
「サイキョウダ」
サルがうるさい。ウキウキ、キャッキャッ、キーキーと耳障りに甲高い声を上げている。この世界にも可愛いサルだっているとは思うけれど、今目の前にうん十匹いらっしゃるサルに一切可愛げはない。
テンクウちゃんが白い猫こと、ビャッコくんに説明を終えたのか“猫8匹とテンクウちゃんの合計9匹VSサル”の戦闘が開催された。一部逃げようとしていたのもフィールドに取り込まれた。
このフィールドが“遊ぶ相手”と“モナ”以外の邪魔が入らないように出来るのだ。モナが遊ぶ気がなくなった瞬間にスキルが解け消える。らしい。説明にはそう書いてあった。なのでフィールドが展開されている間は邪魔者が一切入らないし、入れることもできない。
「逃さんよ」
そして溶けてしまえば次いつ使えるのか皆目検討もつかないスキルなのでなのでとにかくスキルを長く使えるように自己暗示することにした。
サルは遊び相手。サルは遊び相手。サルは遊び相手。サルは遊び相手。
「準備は整った!」
きりっ。
「さーあ、みんなで遊ぼうか!!」
大童のスキルでモナがまず取り出したるは
「たらたったら〜♪けん玉〜〜!うおっとっとっ・・ちょい重いってかおおきい!?」
フィールドが展開されている間はモナは遊び道具が好きに出せる。らしい。いや、出せたから間違いなかったんだなぁ・・・と、目の前のけん玉を見て感嘆する。ただし、サイズがおかしい。ふつうのけん玉の約5倍サイズだ。
「でもこれなら攻撃しやすいね!とーーいやっ!ふりけん!!」
“ふりけん”とはけん玉の技である。ブオーン。すごい音。残念ながら大きすぎる音と存在感で、サルには当たらなかった。そのまま玉が戻ってきた。
「おっとっと。」
ガチン!!ちゃーんと“ふりけん”を完成させるのは忘れない。
「うっしゃーー」
完成すると、フィールドの光が強まった。
「なぁに遊んどるにゃぁ・・!?」
ビャッコくんがこっち見て呆れてる空気が出てますね。
「次は」
手からけん玉が消える。
「ムーンティ●ラアクショーーン」
まあ、あれは出現しないです。気分です。気分。投げたのはおもちゃのブーメランである。私の創造したのは投げやすくて戻ってくることを想定して作られている現代日本でも売っていたプラスチック製品だ。
これまたさっきと同じく5倍ぐらいのサイズ。きっとこれが通常ってことなのだろう。ヒュンヒュンヒュンヒュン・・・。またサルには当たらなかった。くっそーー。戦力になって無くないか。
戻ってきたのでキャッチ!またフィールドの光が強くなった。
「モナちゃん・・・」
テンクウちゃんがサルと戦いながら哀愁を向けてきてる。ご、ごめん。戦力になってなくて、ごめ・・・
「これが落ち着いたらそれのこと教えて!僕それで遊んでみたーーーい!!」
違ったようだ。ワンちゃんはフライングディスクに目がなかったようだ。尻尾の振り具合がヤバ谷園。ブンブンブンブンしてる。
「おっけーー!!」
グッ!
なんかテンクウちゃんが戦いどころじゃなくなりそうだったから、キャッチ後にすぐ消した。テンクウちゃん、顔がガーーンてなってる。可愛いけど。ガーーンて。あとでね。ちゃんと教えようと心に誓った。作るのはレフティさんに話せば作ってもらえるかなぁ?
「いでよ!」
次は戻ってくる系はやめだやめ!
「水風船爆弾〜!!」
両手に1個ずつ。これも5倍サイズなう。結構重い。
「フッフッフッ〜」
「モナちゃん悪どい顔してる。」
「だって水風船はこんな顔になっちゃうもんだよ」
ていやっといやっ!今度こそと投げた。バッチーーーーーーン!!という音と共に風船が弾けてぶしゃぁぁぁーー!と水が辺りに巻き散らかされた。
「当たった~~!わーい!」
それを皮切りにフィールド内に床にも空中にも水風船が出現した。
水風船で遊ぶのは1人じゃできない。相手が居なければ成立しない遊びなのでサルや猫たちやテンクウちゃんが遊べるようにとフィールドさんが出してくれたのだ。足元が水風船だらけ、空中もだらけだらけ。多すぎてちょい邪魔ですよ。
「ナンダコレハ」
「キミワルイ」
「ヨケロ」
「ニゲロ」
「チカズクナ」
サル達には怯えられた。お陰でサルの動きが鈍った。
「鈍ったにゃぁあーー今だ!かかれーーー!」
「「「「「「「うにゃにゃにゃにゃにゃーーーーーーーーー」」」」」」」
援護のつもりで水風船爆弾を空中のとか何でもかんでもと、投げつけまくった。
「たのしーーぞっっと!!」
大童は大人になっても童戯心も捨てられないモナだからこそ現れたスキルだった。大雑把に説明すると、コロ●ロコミック等で行っているような戦いを行える技になっている。
5倍のサイズなのは無意識にモナがそのサイズを指定していたからに過ぎないのだが、本人の無意識下によるものなので5倍が通常だと勘違いしていた。
邪魔なくらい水風船が出てきたのも理由があった。それは最初と2回めの遊びが成功してフィールドの力が増したことによる。
これはモナの読んだ説明書に力が増すことが明記されていたからモナは知っていたが、邪魔になるくらい風船をだすつもりは無かった。出したのも無意識によるものだったからだ。
「おいっしょーー!」
ばちこーーん
「ていっやーーー!」
ばっしゃーーーん
「結構重いから腕が疲れてきたぁぁぁ、でもこんだけあれば、いくら投げてもなくならないね」
どばしゃーーー!
「ふははははははははははは!!!!!!」
モナは最高潮にテンション高くなって水風船で遊びまくる、もとい、サルの恐怖を煽ったのだった。