第59話
「行ったか?」
「はい。もう大丈夫そうです。領主様はもう少しだけここで待機を。安全確認ののち移動しましょう」
「わかった。」
低樹が密集するその場で領主様と領主が連れてきた護衛と騎士団の若手と馬車を扱う御者との四人でカメーリャのことを待った。
補足〈✳カメーリャは領主様と一緒に公園に向かっていたところ身を隠したよ。〉
「領主様。確認してまいりました。公園を中心に被害が出ているそうです」
「おお、他の騎士団員と会えたのだな。」
カメーリャの隣に先程まで居なかった騎士団員が居た。
「はっ。ご報告申し上げます」
ー数分後ー
「むむむ・・・」
「ですので館にお戻りになるのが先決と判断いたします」
「な、ならん!」
「え」
「私は頼りない領主だ」
「そんなことはありません」
「いいや、私は前領主の行動を止められなかった罪もあり、罪を償う気持ちを持ちながらこの街に尽くそうとしてきた。全く上手く行った試しがないが・・・。」
「領主様、私達はちゃんと知っています。だからこそ御身を大事に・・・」
「それに、そのうちに領主交代をしなくてはならない。王から何度も通達があったのは皆も知っているだろう。死にたくはない。だけれども、もしこれが領主としての最後の大舞台なら、きちんと現場を見ておきたい。」
「領主様」
「どうしたものか・・・。」
「あれ?ココドコだ?」
ここは・・・あっなぁんだ、さっきと同じで上から落ちて・・・落ち・・・・落ちてないよね。これ。ううううう、浮いてる??浮いて・・・あああ!?
「これ私!幽体離脱だ!!!!!!」
んぎゃーーーす!!!わわわわわ!!!うぇうぇうぇうぇうぇーーーーっ!?!?!下にっ!下に私が倒れてるるるるるるるるるるるるるるぅぅぅぅぅーーーーーー!!!
「なんでこんなことに!?」
下の私の体からはパリパリと美味しい海苔のいい音!みたいな音を出しながら、トウシャくんの青い稲妻に包まれていた。はい!原因完全に私です!自業自得でっす!
「ぎゅっと握った私のおばかぁぁぁ!」
泣いてても仕方ない。とにかくこの幽体離脱状態をどうにかせねば。なんかもう下の戦闘が私のせいなのかめちゃくそ激化しとーよ。うぇっへふん。ごめんちゃい。うへーん。うなだれうなだれ。
「どうにか、どうしたら。うーん。」
5歳の体の私を上から見るとあんな感じなんだな。小さい。子供だ。ホントに。髪の毛ツヤツヤだし、ほっぺたぷにぷにプリティーだし。膝小僧ってどうして子供のはあんなにトゥルッとしてるんだろうか。自分で言うのも変な話だけど、子供だから全体的に可愛いと言いたくなる。
「あ、この幽体離脱状態の魂も5歳だ。」
手が同じサイズである。私、魂までちゃんと5歳ってことは大人に戻れないんじゃ・・・。絶望のフチに足を入れそうになる。
「うぁ?ちょちょちょ!幽体離脱中なのにこっちにもパリパリくるの!?」
手を見てたら手にまで青い稲妻が巡ってきた。
「やだー!えっ!こわいいいい!!なんとかなぁれ!なんとかなぁーれ!神様仏様、どっかのしらないあなた様!私死にたくないです!怖いのどっか飛ばしてくださいっ!」
お祈りポーズで神頼み!んもぅ目をぎゅーーーーっと真剣にね!目を閉じててもよくわかる。
「パリパリ音がバリバリ音になっていらっしゃる!!!」
目、開けるの恐くなってきた!!!
あれ、でもなんだろう。段々心地よくなってきた気がするぞ。ぽかぽかする。あ、あれか?電気マッサージ的なアレかな。
「気持ちくなってきた気がする・・・。」
ちょっとバリバリうるさいけど、ミギィさんが言ってた身体強化の効果って体に、こう、力がみなぎる系てことだよね。うん。それっぽい。レフティさんがいつも使っている身体強化もこんな感じってことかな?
パリパリ、バリバリ、ビリビリ、むずむず、どきどき・・・・。あれっ心臓がバクバクしてきた。
〈ドクン・・・・ッ!!〉
ついつい目を大きく開けてしまった。あ?え?ウィ!?
「やっ、はっ・・・!ゆびがっ」
魂なのに心臓がバクバクしているという摩訶不思議な現象を体感した。
「手が!」
魂の私の体が
「大きく成長していってる!!!」
どゆこと!!!???
「ちょ、うわわわわっわわわっわわわ!!!うんむぅぅぅぅぅぅ!うやぁぁぁ・・・!!」
「ああ、なんてことだ」
「私の同胞がごめんなさい」
熊獣人がクリストファー達騎士団に謝り倒していた。先程逃げていった母親の熊獣人のことで謝っている。
「反省しているのであれば、謝るべきはトウシャとヨコシャルに、だろ」
サルとの攻防を繰り返しながらも話を聞いていたユーグリッドは口を挟んだ。
「・・・っ」
「・・・」
「みなさん・・・」
「それはしたくない・・・か。情けない。オレもお前らも、アイツらも同じ熊だっていうのにな。」
その時ユーグリッドの体がぐらっと傾いた。
「ユーグリッドさん!!」
「サルの近くの空気に毒でもあったかな?しまったな。足が震えやがる・・・。」
「カカッタ」
「カカッタ」
「カカッタナ」
「イイキミ」
「ネムレ」
「クマ モラウ」
「オマエラヨワイ」
「イマナラバ」
「ワレラハ ムテキ」
「シニサラセ」
「サル・・・どもめ・・・・・・・・」
まず初めにユーグリッドが倒れた。ほどなくして戦いの前線に立っていたものは続々と倒れた。遠くに居た者たちは予防を張ろうとした時にはすでに遅く、1人1人と意識を失い、集まった野良猫たちも例外なく倒れることとなった。
そしてその公園の一角にはモンスターと呼ばれるものだけが立って残っていた。
「テンクウ」
「な、なんだよ。ビャッコくん」
「足震えてるにゃら逃げてもいいぞ?俺様がやっつける」
「そうですにゃぁ!かしらが最強ですにゃぁ!」
「んえ、逃げません?もうこわいにゃーー」
「きっと、勝てる。・・・たぶん。」
「無理っぽい気がしなくもないナァ。」
「ふるえてんの、なさけない、ですにゃっ」
「いや、お前は腰が引けすぎてるからにゃ?」
「もう!なんなの!うるさすぎー!ビャッコくんボスでしょまとまらせてよ〜!」
「静かにしやがれにゃぁ」
「「「「「「はいっ」」」」」」
「カカカカカカ」
「ケケケケケケ」
「テキイナイ」
「ムダナアガキ」
「ワレラムテキ」
「シッポマイテ」
「ニゲロ ジャクシャ」
「言・ん・わせておけば〜〜〜」
「ビャッコ、落ち着いて!!」
「ン」
「ナンダ」
「ヘンダ」
「ナンダ」
「ドウダ」
「ヤバイ」
「マズイ」
「ワレラノ チカラガ」
「急にあいつらどうし・・・・」
大きな落雷がモナに落ちた。
「モナちゃん!!!!!」
シュウウウウウウウ・・と煙を生んだそこには、1人の女性が立っていた。
「あちゅい・・げほ・・・目にもホコリがぁぁ・・」
「だれ??」
テンクウは目を真ん丸くさせてそちらを見つめた。
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