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第6話

ゴールデンレトリバーみたいな犬はとっても大人しかった。レフティさんが見つけた時にはもう足を怪我してフラフラと無理やり歩いていたのだとか。とくに気にしないようにしてたけどレフティオバチャンってば力持ちぃ。


「いっつもこの辺をウロウロしとる犬だでな、休みたいならウヂ来るか?っつっだらホントについてくるから抱っこしたんだべ。もどもど吠える奴じゃなげってけど、なにかの争いに負けたんじゃろーて。」


「そっかぁ」


「あ、2人共ここに居たんかぁ今日は大入りだで、早う手伝ってくれ」


ミギィさんが人を呼びにきた。スミコットさんはそのミギィさんの様子を見て慌てて食堂に向かって行った。


「薬草も揉んでつけといたし、こりで大丈夫じゃろ」


「あんれ、それってテンクウだて?」


ミギィさんがワンちゃんの存在に気づいたようだ。


「んだ。テンクウだ。」


「誰かの飼い犬なんですか?」


「いんや、気づいたら(みぃんな)テンクウのことは、テンクウって呼んどったなぁ?な?」


「街の誰かが名前つけたんに、皆それでピッタリだぁ言うてテンクウテンクウって呼んどっただけで飼い犬んなったのは見たことないなぁ」


レフティさんもミギィさんもテンクウってワンちゃんは野良という認識で間違いないということだった。


「アタシ達店に戻っからぁモナちゃんテンクウのことを見といてぐれねか?」


「わかりました」


こんな可愛いワンちゃんほっとけるわけないです。ミギィさんとレフティさんはお店に戻っていった。


「テンクウくん~テンクウちゃん~テンクウさん~」


床に布を敷いている上に寝かせているのを私はしゃがみこんで呼んでみるがテンクウちゃんは疲れているのか目を閉じたまま動かない。“ちゃん”付けが私的にしっくり言いやすかったのでオスメス確認してないけど、テンクウちゃん呼びしてみた。


「あっそうだ、水とか持ってきてあげたほうがいいよね」


怪我している時は熱が出やすかったりするから水は用意できる時に用意しておくのがいいと、どっかで聞いたことがある。周りを見渡すも休憩室には水差しとコップはあるものの犬にコップは使えない。厨房に行ってスープを入れるような皿を貰って休憩室に急いで戻った。


「ってあぁ!テンクウちゃんヤメテヤメテ!」


テンクウちゃんはレフティさんがせっかく付けてくれた薬草を剥がして足を舐めていた。


「せっかくの足の薬がぁぁ」


床に落ちてぐちゃぐちゃだ。動く方の足で踏みつけたりしたなコレは。うーん、つけ直すには汚い。目を離したばっかりに・・。とりあえず舐めるのを止めさせた。止めれば止まった。


「メッだよ!舐めたらダメ、わかった?」


わかったのかわかってないのか、鳴き声すら聞かせてくれないテンクウちゃんはまた目を閉じてしまった。その態度は犬っぽいってより猫っぽいぞ。猫並みのしたたかさだな。本当にゴールデンレトリバーなのだろうか。異世界だしなぁ。


テンクウちゃんの目の前に水を用意した。


「喉渇いてたら、飲んでね。」


チラッと水皿を見てくれたがそれ以上のアクションは見せてくれなかった。猫もそうだったけど警戒してるんだろうなぁ。レフティさんに抱っこされたのはきっとレフティさんをよく見かけた人間だと認識して、だろうし。


テンクウちゃんからしたら私なんてポッと出の知らない子供だろうし警戒するのも無理はないよね。なにで怪我したのかもわからないからな。地元の子供がイタズラで・・・とかじゃない限りは時間が警戒をといてくれると思うけど、もしそれが正解だったりしたら、私にお世話はテンクウちゃんのストレスになるはず。


なにで見極めればいいのやら・・・。


うんうん唸って考え込んでいるうちにまた目を離してしまった。また怪我舐めてる!!


「ああっダメだってば!すぐに治る怪我ならレフティさんが薬草なんて塗らないんだよ。舐めて治らないから~のヤツなのよ。もし悪化したらどうするの!」


ダメって言ってる時は舐めるのを止めてくれるのになぁ目を離すとまた・・・。舐めて治る時もあるけど、場合によっては雑菌繁殖するとか何かで読んだことあったと思うんだけど詳しい処置とか知らない。


「もし、私の目の前で怪我が悪化なんてしたら、私、私、泣くからね!?」


昔飼ってた金魚の「ボス」も小学生の時に友達と怪我していたのを拾った「スズメのスズちゃん」も元気にしていたのに急にポックリ逝ってしまったのを思い出してしまった。


こんな昔の事で涙が出てしまうなんて、5歳だからか?涙腺こんなに緩かったっけ私。涙がぼろぼろ落ちてきて、テンクウちゃんがギョッとして固まってしまった。驚かせたかった訳じゃないんだ。出ちゃっただけなんだよ。泣くつもりなんて毛頭なかったんだよ。


「ドア開けていいか~お嬢ちゃん」


「どーぞ、グスッ」


この声はユーグリッドさんだ。後ろから騎士さんも入ってきた。


「うおっ?泣いてたのか。どーした?」


「テンクウちゃんが足舐めちゃうんです」


「「え?」」


「私の足じゃなくって!怪我の足!」


なんで舐めるで幼女の足を見るかな!?失敬な!!これだから男は全く!もう!もう!


「す、すまん」


「し、失礼しました」


おどおどしながら謝られると余計に恥ずかしい!


「テンクウちゃんのせいだからね!」


え!?って顔をしてたけど、いや、ほんと、テンクウちゃんが悪いです!



お読み頂きありがとうございます!もしよろしければブックマークや☆を押していただけると嬉しいです。


作者が嬉しさに舞い上がって更新頻度が増えるかもしれませんよ


更新頻度が今のところ一定感覚なのは皆様が見にきてくれてるお陰です。ありがとう~。


騎士さんのセリフがちょこちょこ増えてるので名前決まりましたが当分名前は出なさそうです(せっかく決めたのに・・・)

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