第52話
「つまり、猿に戦争を仕掛けようとしていたら先を越されてしまったと。」
「なんてこと」
「っっ・・・」
「うす。これは騎士団に言ってしまって・・・いいか?」
ヨコシャルは首を横に振った。騎士団の人達は近くにいる。が、今はこのグループでの話を聞かないように配慮され少し離れた場所にいてくれている。
「ユーグリッドには身内だからという理由で話したが、騎士団に話を通さないと約束してくれている。」
「ユーグリッドさんがそう言ってんなら俺達も喋るこたできない。」
「でもこの後話を・・・事情聴取されることになってるわぁ」
知らぬが仏・知らぬが花などとはよく言うもので、知ってしまった後ではもう遅いこともある。
「しまったな・・・」
「ぽろっと言わないように気を付けないと・・・」
「う・・・・・ん」
「あらっモナちゃん?起きた?」
「モナ!」
「あれ?ここは・・・あっ!テンクウちゃんは!?」
モナが起きたのとほぼ同じタイミングで離れた場所がざわついた。
「とうちゃん、あっち。」
「そうだななんだかあっちが騒がしいな?」
「え?」
「あっ」
「ミギィさん!テンクウちゃんも!」
ミギィさん・ディオさん・チェルキョさん・テンクウちゃんがこちらに合流できたようで、その中に1人第6王子が混じっていたので少しざわついていただけだった。
そりゃね、視察に来た人が戦ってたら護るハズの騎士団は慌てるよね。ざわつかないほうがおかしい。アンドレがディオさんのもとに速攻かけよっていた。なんかまた騎士団がざわついてる気がするけどスルー。
だって私はもちろん。テンクウちゃん。テンクウちゃんに寄り添いたい。
「テンクウちゃん、テンクウちゃん・・・良かった。大怪我してたら私・・・私・・・」
「クゥン・・・」
起き抜けで近づいてきたテンクウちゃんをぎゅーっと抱き締めた。戦った後だからかなんかこう・・・血の匂いとかがする。涙が勝手に出てしまう。じわり。じわり。ああ、元気で良かった。
「小さい怪我とか今、治してあげるね。」
常にポケットに入れて毎日持ち歩いてますとも!
「モナえも~ん!てれてれってれ~!高級ポォショォオン!」
「「え?」」
「え?」
ん?なんの『え?』かな?え?え?やっぱりダミ声は可愛くないか。
「え?」
そっちもか
「高級ポーション・・・だと!?」
ヨコシャルさんの顔に無駄に陰影ついて、世紀末覇者みたいになって固まらないで欲しい。ははは。高級ポーションですよ!って、あれ?
「ヨコシャルさんがユーグリッドさんの親戚なんじゃないんですか?」
「一応親戚っちゃ親戚だが、かなり遠縁のだ。ユーグリッドがよく言う親戚、それはバーちゃんの事だ。ポーション作成できる凄腕のな。避難テント俺達とは離れてたハズ。」
「おお、そうだったんですね」
当のユーグリッドさんは、と周りをキョロキョロリ。ユーグリッドさんとクリストファーさんも戻って来ているがこちらには向かわずに各所に指示を出しているようで、忙しそうなのが見てとれた。
「獣人の小熊が2人連れ去られてしまった」
ディオさんがとても悔しそうに呟いた。
「そんな」
「クゥンクゥンクゥン・・・」
「っだら悲しい顔すっなテンクウ。お前はよっく頑張ったで。猿どもをボロボロにしたお陰で3人も助けられたんだがらな。」
「テンクウちゃんスゴい!」
「ワンッ!」
テンクウちゃんは褒められたヤッターって感じで吠えた。ってそんなことしてる場合じゃなかった。と、高級ポーションをテンクウちゃんにあげた。お口にあーん。スポイトになってるのほんと便利。あっという間に治ったようだけど、血とかはさすがに拭かなきゃね。
他にも怪我してる人居たらこういう時に使わないとって、勧めてみたけどテンクウちゃん以外はほぼ無傷。おんw・・マジか。みんなツヨツヨですね。ちょっとホッとした。
ホッとすると周りが見えてくるもので、アンドレがディオさんの服をぎゅっと引っ付かんで子供らしい面を見せていた事に気づいた。お兄ちゃん大好きっ子め。うらやましい。ディオさんの服私も引っ付かみたい。(謎の対抗心)
とかこうテンクウちゃんにぎゅっとしながら、ジーーーッとそっち見てたら、おわっえっ!?ディオさんこっち来たぁぁぉぁぁぉああ。心の声が裏返るよ。おああ。
「無事で何よりです。小さなレディ。」
おおお。そんなセリフさらりと吐けるの凄いな。うわぁうわぁ。なんか、恥ずかしくなってきた。ディオさんあんなに戦ったあとなのに爽やかスマイルハンパない。
「あの、えっと、はい。無事です。」
顔私、赤くなってないかな?うおお、なんか、モジモジしちゃう。トゥンクしちゃう。
って、アンドレめっちゃこっちみながら睨んでる?睨まないでくれまいか。
「なぁにアンドレ。テンクウちゃんは渡さないよ?」
多分違うだろうけどけど。牽制です。けどけど。むふん。
「受けてたつ。お兄様は渡さん」
アンドレはディオさんの腰にムギューッと抱きついた。おのれ。萌えか。これは萌えなのか。ちゃんと子供っぽいぞアンドレくん。可愛いって言ったら否定するんだろうなぁ。にやにや。
「ふふふっ楽しそうで何よりです。」
ディオさんにニコニコされてしまった。うっ笑顔が100万ボルトだ!眩しいっ!
とか言ってたら不穏な話が小声なのに耳に入ってきた。神様のイタズラだろうかと思うくらい、よく聞こえたなと思う。
「ではそのトウシャくんは、本当のお子さんではなく、迷子を保護したと・・・?」
「ああ、本当の親を探している途中なんだ」
「ぱぱちゃんとままちゃんのトコロね、そのうち帰るの。でもそれまでは俺はね、トウシャはね、とうちゃんと一緒。大好きなの。だからいるの。」
「猿の狙いはトウシャらしい。俺はこの後仲間を連れて猿達に打って出る。なのであんた達は関係がない。どうせ火災の避難の支援だろ。話したことを黙ってくれるならこのまま帰ってくれ。今日のお礼は後日させて頂く。」
そんなことをのたまったヨコシャルさんの近くに猫が現れた。
「ンナァァァァォァァァァァゴォォオ~~」
「なんだ!?」
それは黒い猫だった。見てるだけで朝なのに夜を思い起こす黒。
「猿どもはかしらがどうにかしますんで、みぃんな闇にのまれててくださいにゃあ」
そう猫が言うと猫が巨大に膨張し始めた。猫型のブラックホールのようなソレは辺り一面全てをを飲み込もうと覆い被さってきたのだった。
ディオさんが眩しいとかのたまったから次は闇だなんてなんの冗談ですか。
†┏┛墓┗┓†∴( ・ω・)∴ボコォ
毎日眠い。冬眠したい。秋眠?眠い。ここの作品書くので手一杯なう。他なにもできてナッシング。オーノー。
次回更新は12日予定です