第50話
その悲痛な叫び声はその場にいる人達全てを凍りつかせた
「うちの子が猿に拐われたわ!誰か!誰かぁあ!!!」
先程までモナと一緒にお遊戯をしていた小熊の母親獣人が助けを求めつつも、猿に向かっていっていた。しかし猿はそこそこ重いはずの小熊を抱えながらヒョイヒョイと全てをかわしていく。
「ちょこまかとおおお!うちの子を返しなさい!猿ぅぅぅぅ!!グァルルルルルル!」
熊獣人のお母さん目が血走ってコワッ!いや、言い直そう。本気で向かっているのが良くわかる。子供を奪われたのだ。顔が狂気を孕んでいてもおかしくない。
「猿はサルでもあれって、に、ニホンザル!?」
少し茶味のかかった毛、真っ赤な顔に、真っ赤なお尻。日光猿軍団!を思い出す身のこなし。まてまてまてまて。ココは異世界。何故にニホンザル。
猿はサルでもテナガサルとかアイアイとかメガネサルとかマーモなんとかとか、オランウータンもサルの仲間だっけ?あれ?ゴリラはゴリラゴリラゴリラっていうのが正式名だからサルではない、よね?ってホラ。
猿っていっても色々いるハズなのに、ニホンザルさんこんにちわ。いやまだおはようございますの時間だな。
「きゃーーー!」
「な、なんだこいつ!うちの子を離せ!サルめ!」
他の参加していた帰り際の親子達にも、次々と子供を拐おうと猿達の手が伸びる。まってなにこれ!?猿が次々と増えていく。どこにこんなに潜んでたの!?
あっという間にその場が猿だらけの光景に早変わりしてしまった。私達は端側にいたので身を守るには適してはいた。
「ワンッ」
おろおろしている私とアンドレそしてトウシャくんの前には3人を守るようにハジーさんとテンクウちゃんが。何て頼もしい。格好いい。でも、ココにいてはいつかは捕まるかもしれない。しかしココは端、そして壁。花壇ついでにフェンスみたいなのと石造りの壁が後ろに控えてる。逃げづらい。
この公園はかなり広い。入り口だけだとそんなに感じなかったけれど多分、葛飾の水●公園とか所沢の航●公園とかぐらいの結構な広さがあると思われる。勝手に動いたところで迷子になることうけあいだ。
区画分けをされててちょうどボール遊びに適している場所だったのだ。だからこそ、お遊戯に向いてると騎士団の人が勧めてくれた。
「って、あっ、ミギィさん達は!?」
「うす。アッチは大丈夫。」
ハジーさんの見た方向を見てみるとミギィさんが得意な風魔法を使っていた。
ええっ風で地面あおって土ボコりで壁みたいなの作ったよ!?ナニアレ!?今度は葉っぱ巻き上げて小熊を拐おうとしてる猿の目隠しに!?
すかさず近くにいた騎士団の人達が猿から小熊を救出と攻撃。連携よ。すごい!すごい!すごい!
本当に大丈夫そうだ。ミギィさんの近くにはユーグリッドさんリネアさんとクリストファーさんとトウシャくんのお父さん。あれ?リネアさんが離れていくどこにいくんだろう。なんかリネアさんが動きすぎて忍者みたいに見えてきた。そっちに行ったら猿が。 リニアさん猿をホイホイとかわして行ってしまった。凄い凄すぎる。
「とうちゃ・・とうちゃ・・」
「ワフッワフッ」
「あそこにいるよ!」
「とうちゃんっ!」
トウシャくんのお父さんとユーグリッドさんは・・・戦いながら何か話してる?どちらも苦虫噛み潰したような顔だ。って2人ともこっち来た、と思ったらユーグリッドさんだけ猿にどんどんどんどん引っ付かれて。
「うわぁ、猿でできた・・わたあめ」
「モナ、気持ち悪いことを言うな」
「クゥン?」
アンドレに怒られたけど仕方ないじゃんんん。ユーグリッドさんの上半身が猿まみれになってるんだよ。わたあめだよ見た目。じゃなければチュッパチャプス。じゃなければアメリカンドッグ。じゃなければりんご飴。ていうかユーグリッドさんその状態でまだ立ててるんだけど、ドンだけ足腰強いの。
異様な光景にトウシャくんのお父さんも周りの人達も固まってますけど!?
「じゃあカリフラワーかブロッコリー」
「もうそれ、例えるなら木でいいんじゃないか」
「アンドレは夢や発想が薄いぞ!全くもう!木じゃつまらないでしょ」
「「えええ」」
アンドレとハジーさんにえーって言われた。なんでや!(エセ関西弁)
「アンドレ様、8歳でしたよね。祝福は受けてますか?」
「す、すまないハジー。まだなんだ。」
「?」
ハジーさんとアンドレの会話はその後も少しかわされたが私にはちんぷんかんぷんだった。
「とうちゃんっ!」
「ワフッワフッ!」
ユーグリッドさんの異様な光景は続いていたがトウシャくんのお父さんは呼ばれたことによりハッと覚醒して、トウシャくんのもとにかけよって抱き締めた。
「守っていてくれてありがとうございます。この子は私が守りますので、そちらの2人をお守り下さい」
「うす。」
「お兄様は?」
「ディオさんは・・あ、いた!えぇ!あのお付きの人、すごっ・・・!」
「ワフッ」
ミギィさんと比べると地味だったので気付くのが遅れたが、あのチェルキョという人、盾のようなもので弾いて攻撃している。よくよく見ると縦の形が丸、正方形、長方形など変化している。
色が濃くなったり薄くなったり。薄くなるのはもしかして透明になろうとしているのだろうか。武器ではないのに武器のように振り回していてあの細い身体からそんなに振り回す力があるのかどうか。あの人も身体強化の魔法を使える部類なのだろうか。俺俺〜とオレオレ詐欺っぽいことを言っていた人のようには見えなかった。
銀さんぽい顔だと思ってたけど、銀さんあんな動きしてたら糖尿も悪化しつつついでに腰を痛めそうである。その背にアンドレのお兄様のディオさんがいた。
ほぼチェルキョさんがどうにかしてしまっているが取りこぼしを対処しているようだった。本来守られるべき人が戦いに身を投じていた。魔法で投石のようなものを時々出してはいるが基本的に剣術のようだ。
「戦ってるのに優雅」
「ふふん!お兄様は無駄などないのだ!踊りを舞うように戦うぞ」
そこに痺れる憧れるぅ!!!・・・ってやつだね。わかりみが深い。しみじみ。さすがディオさん。っと。あちらにも騎士団がいる。スミコットさんはそっちに守られているようで、心配はご無用といった感じだ。
「あっ」
「え?」
「クゥン?」
「うおおおおおおおおおう!!」
「うわっ」
パーンと破裂音が鳴ったが破裂したわけではない。力業で吹っ飛ばしただけだ。しかしなぜだか破裂音。どういうこっちゃいユーグリッドさん!?
「猿のわたあめ花火だね。」
「きたネェ花火だ」
「きちゃないの?」
「クマの子。多分その・・真似したらだめだと思う。わたあめ以外の表現なかったのかモナ。当分俺はわたあめをまともに見れなさそうだ・・・」
ブロッコリーとカリフラワー却下されたからだよ?
「トウシャ、俺が悪かった!汚くない!汚くなんて無いぞ。ただ、猿が弾かれただけだ!な!」
「だけね!俺わかった!」
ふんす!ふんす!している。お父さん大好きなんだろうな~。
「そこにも熊のガキがいたかぁ!!」
弾かれてこちらに来てしまった一部の猿達が私達のほう、いや、トウシャくんに狙いを定めて襲ってきたのだった。
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不定期更新が多い作者なのでブクマしておくと便利ですよ。ふふふふふ怖腐。とうふメンタルな作者が嬉しさに舞い上がって更新頻度が増えるかもしれませんよ~~
( ノ^ω^)ノ
更新頻度は皆さんの応援の賜物です。ほんとに。まじで。最近↑↑これ書いてなかった。お読みに来ていただいてまことにあざざます。あなたが神だ。
予定を書き忘れて急に更新止まったらきっとそれは作者の私が
次回は7日の予定です。