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第436話

毎度毎度遅くなりました。ねっむい。

キャラバンの光が瞬く公演の主役は思ってたんと違った。


「おじいさん?」


「ビランバ様の物語だよ?お姉ちゃん知らない?」


「うーん?聞いたことあったかなー?」


キラキラと奏でる魔法で彩られているはずのストーリーの内容はというと、何とも地味とも取れるような旅人のお話。


嫁と子供に先立たれ絶望の後に世界を旅するというどこにでもありどこでも聞いたことがあるような、ありふれたような物語。


聞いたことあるようなないような?


「ビランバ様の話ならアタイ達が生まれる前からずっとあったお話だべ。子供に寝る前に聞かせたりするけんど、モナちゃんには話したこと、ねがったっけ?」

「あ、レフティさん。レフティさん達からは聞いたことないよ?」


「ん、明日にでも教えるな。」


「わぁい」


おじいさんは行く先々で色々な人間では無いものに出会って別れてを繰り返していく。


人間でも無く動物でも無く悪魔でも無く天使でも無く木でも花でも無く、精霊とでも言えばいいのか神と言うにはおどろおどろしいようにも見えるし、妖精と言うには可愛くもない。


そんな不思議な者たちと出会う。別れる度に次にはどんな者に出会うのだろうとワクワクする。


しかしながらキャラバンのこの公演では物語の語り部的な役割の人間はいない。ショーでしかなく、説明が挟まるわけではないのでおじいさんの出会った者達がどういう者達なのかわからない。


わからないから面白いと言うことも言えるけれど、その辺りはレフティさんが教えてくれるだろうか?


ちょっとだけ明日が楽しみ。


この「ビランバ様の物語」の終わりは世界を巡ってビランバ様が亡くなるまでの話だった。ビランバ様が亡くなるシーンはとても穏やかで幸せそうに眠るように亡くなる。


光で彩られたストーリーは暗闇で幕を閉じるのだ。


大きな拍手が鳴り響いた。


いやぁもう本当にね、キレイだった。素晴らしかった。語彙力なくなって「ヤベーー」しか言えなくなりますよ?


キャラバンの人達さすが過ぎる。異世界劇団四季って感じ。最アンド高なんだが。・・・・なんだ、が。


この後・・・この大盛りあがりのこのあと。歌うってマ?マジのマ?


おうっふ。


お祭りの委員会だか役員だか分からないけど、この順番にした人、キャラバンのショーさあ大トリの最後の最後で良かったんじゃない?コレからスタートするの?


めっちゃ盛り上がり過ぎてこの後出るの勇気いるよ?


プロが前座しちゃった感がありすぎるよーーー。


「モナちゃん、あんまり気をはんなくてもいいべ。この後出るみんなは、お祭りで歌いたいだけの人、とにかく踊りたい人、年に1回だけでいいから目立ちたい人、とかでな、続く人達はみぃんなこの街に住んどる人達だべ。」


「ほえ?」


キャラバンのショーを見ていたその後ろに私達が歌う後にステージに上がる予定の人達が待機していた。


あ、たまに“ともだち食堂”に食べにくる人もいる。目を引くのはレフティさんの知り合いの顔の濃い3人組のオジサン達だ。さすがに子供っぽいのは私達だけのようだけれど、誰も悲壮感とか漂ってなさそうだ。


むしろキャラバンの公演を見てだからなのか、テンションが上がっているように見受けられる。


「そっか」


裏で私達が話している間にもステージ上では司会者が観客に向けて喋っている。キャラバンの人達についての称賛とかをひと通り話し終えたら、私達の紹介に移ったようだ。


「もにゃ、出番、こあい?」


小熊達が私を見あげてきた。


少しばかり言い淀むと、小熊達は言う。


「なでなでなでなで、なーでなで」

「いたいのかゆいのとんでいけー」

「ムズムズイライラとんでいけー」

「こあいのワルイのとんでいけー」

「たのしいうれしい変わっちゃえー」


おおう。よくわからない歌みたいな掛け声みたいなそれをみんなが言いながら、私の体をよしよしするように、多分、撫でてくれている。


ほっこり。とでも口から出そうな空気になっている。うん。可愛い。


「んんっ!元気出た!ありがとねっ」


「「「「「やったぁー!」」」」」


そんな事をしていると、もう出番らしく司会者がこう言っているのが聞こえた。


『では皆様、拍手でお迎えください。“モナお姉ちゃんとプリプリコグマーズ”の皆さんです。みなさーーん、こちらにどうぞーーー』


このチーム名は小熊達が考えてくれた名前だ。異論?知らない。私も納得済みである。・・・いや、ちょっと恥ずかしいけどね!?


「モナちゃん、観客側でみんなで見とるかんな〜!いってらっしゃい!」


「うん!いってきまーーす」

「「「「「まーーーす!!!」」」」」


ステージにみんなで上がり司会者の方へ駆け寄った。歓迎の拍手が思ったよりも大きい。司会者が私に話しかけた。


日本でもこういうステージ系統にはほとんど上がったことがないので、やっぱり緊張する。


前もって歌う前にかるーくこういう話を振られるからと聞いていたから、返事はすぐに返せる。


2曲披露するっていうことと、歌う前に私のスキルを発動するので驚かないようにっていうお願いを投げかけた。


私、“深層心理の奥底”に行くに行けない事を最近ずっと悶々と考えて考えて考えたじゃない?え?しらない?そうなんだよ?


で、今回のステージで歌うことにして、それと掛け合わせて思いついたの。そう。“深層心理の奥底”っぽいことを現実にも似たようなことが出来ちゃうスキルを私は持っている。


神様とは会えないけどね。全く違うけれど、この5歳姿になってから、やっぱりコレは得意なんだと改めて思った。


私の得意なやつ、つまり十八番(おはこ)ってこと、な、スキル!そう、大乱闘スマ●シュブラザーズ的なこととか出来ちゃったアレ。


「スキル〈大童(おおわらわ)〉発動」


さっきのキャラバンの人達のほうが絶対凄かった。別に諦めてるわけじゃない。


お?よっと?いけるか?いけいけ。観客側のみんなをスキルで包み込む。範囲広くてもネズミ騒動の時の魔法より全然疲れない。


みんな、目でも楽しんでくれるといいな。さあ、コグマーズ、一緒に歌おう。



ちなみに今回急に出てきた「ビランバ様」はこのモナの物語にはだいぶ前から出ています。名前の記載は、してなかったはず。


ビランバ様が出会った者達のキャラバンが作り出した描写のイメージとしては、トレーディングカードゲームのマジック・ザ・ギャザリングのような、そういう写実的な絵柄っぽいイメージがキャラバンのショーで繰り広げられてたと、思っていただければ。


絵画とかっぽいって本文に書こうか悩んだんですが、どうしてもファンタジー寄りの表現のみにすると、ファンタジーの漫画イラスト方面の想像のほうがしやすいだろうなぁとおもうし、『絵画・・・絵画?』ってなんかこう、気持ちがもんにゃりしてしまったので、表現自体はふんわりしたのでとどめとこうという結論に達しました。


あ、グインサーガ(小説)の絵柄とか写実的な系統のファンタジー絵柄ですよねー。


次回は20日ぐらい予定です

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