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私はテイマーではありません~ナゼか周りにもふもふがいっぱいな件~  作者: 沖宮途良
第3章

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第433話

遅くなってすみません(定期)



急いで家に戻った。もうとっくに夕方になってしまっていて本当ならお店は閉まって今頃ミギィさんもレフティさんも家にいるはず・・・なのに、家の前まで近づいたら、家ではなくお店の裏口から光が漏れているのが遠くからでも見て取れた。


「モナちゃん、まだお店あいてるね」


「よく見ると裏口あいてる?」


「どうしたんだろー」


「家には光がついてないから、まだミギィさん達みんなお店やってるってこと?」


「あっビャッコ!」


私を筆頭にザワザワしていたらソレ自体に面倒になったんだか、しびれを切らしたように、ビャッコくんがビュンっと素早く飛び出してお店に駆けていった。


それを見て私達はそれに追いつかんと追いかけた。お店に近づくと、料理の音や匂いはしない。いつもはフライパンから上がる蒸気や油のパチパチ弾けるような音、ジュージューという音に、食器が踊るようになる音がするけれど、そういう音は全くしない。


その代わり、人がまだいるのかガヤガヤとした人が多くいるような音があり、なおかつ気になったのは1人の男性の声が響いたことだった。


「だから!もっかい言うぞ!?あの夫婦はやべぇんだって!唯一の医者ってわけじゃねぇんだ!この店のお前らみんなのかかりつけだって言うんなら、もう今日から別の医者をかかりつけに変えることをオススメするぜ!?」


え?


・・・まあ、あの夫婦はなんかちょっと変な人達だとは思うけど、あの知らない男性に言われてミギィさん達は「はいそうします」と言うだろうか?


でもココからじゃみんなの姿がまともに見れない位置だ。ビャッコくんがお店にスルスルと入っていく。


・・・ついて行っちゃおう。テンクウちゃんもフテゥーロちゃんもスズちゃんも中が気になるらしい。タイモちゃんは男性の声を聞いて入りたくなさそうだからココで待っててもらおう。


「ちょっとまっててね」


「わかったのよ」


よしっ


「ミギィさぁん」


「あり!?ああ、もう外真っ暗じゃあないか。その話はまた今度に」


「お!?例の女の子だな!なあ、お嬢ちゃんも毒は怖いだろ!?」


ミギィさんは男性を帰らせようとしたけれど、その男性は私の方に話を振ってきた。何の話か知らなけいけれど、ひとりでも同意する人間を増やしたいっていうのがニヤニヤした顔から伺いしれた。


今来たばっかりで内容も知らないからキョトンとしとく。


「毒?毒は怖いけど、きのことかは触らなければ大丈夫だよ」


「きのこ!ははっ!きのこだったら触らなきゃいいけどなー、俺の言いたいのはちょっと違うんだよなぁ」


男性をよく見てみると、常連さんの1人だったような見覚えがあった。


昔のアメリカドラマに出てそうな上半身だけムキムキで下半身ゴボウみたいな、形だけ繕ったチンピラみたいな男性。そして顔がヒゲモジャ。・・・世紀末にもいそうだな。ジョジョとかにもいそうだな。


なんかこの街顔が濃いの多くない?今更か。


「お?聞きたい?聞きたいならしょうがないなぁ。」


何も言ってないんだけどなあ。まあ説明してくれるならそのまま話してほしい。


「リュウケン!いい加減にしな、子供にする話じゃないべ!?」


「いいや、レフティ!しておくべきだ!知らないで近寄ったら危ねえだろうが!」


リュウケンと言われた男性の言葉は正論だった。


「レフティさん、私何の話か聞きたい」


これ以上何を言っても変わらないと感じたのか、レフティさんはあっさり折れた。


「・・・モナちゃん。わかった。リュウケン、話してぐれ。」


「どっから話すべきかな。んーー・・・こないだ、騒ぎがあったろ?ネズミの。あの時にな、この辺りで有名な医者夫婦がやらかしたんだよ。毒をまき散らしたのさ。ネズミを虐殺するためだけにな!」


この話はテンクウちゃん達からも聞いたしミギィさんや特にレフティさんからも聞いてる話だから今更な気がする。とくに反応が私からなかったからなのか、リュウケンの話に熱がこもってくる。


「あの夫婦、昔から怪しいと思ってたんだ。しかしだ。このあたりに住んでる奴らはあの夫婦はいい医者だと言いやがる。あんの気味悪い笑顔の男に、妙にやたらと美人な奥さんだぞ!?怪しすぎるだろ!?あ!?」


あ!?と同意を求められても困る。


「騎士団の奴らがあの夫婦の後始末をしてくれたとか言ってたが、あの夫婦の毒が強すぎたんだろう。処理したって言ってた場所から気味悪いもんが出てきちまったんだよ。いいかー、よーく聞け?」


なんだなんだ。


「毒を豊富に含んだ芋があの一帯に生えてきちまったんだ。いいか、お嬢ちゃん。祭りのあった辺りで変な芋を見かけたら、ぜーーーったいに近づくんじゃねぇぞ?あの芋はな、きっとあの夫婦に毒に侵されて恨みに恨んで生まれた、ネズミ達の恨みの塊なんだからな!」


う、恨みのこもった芋・・・!?ふぁ、ファンタジー!!


逆に気になる。芋に呪いのこもった顔でもついてるんだろうか。スズちゃんも私と同じくファンタジー!?って目をキラキラさせてるけど、フテゥーロちゃんはよくわかってなさそうでキョトンとしてる。


ワクワクしてる私の横でテンクウちゃんが「毒ー?うえー」って変な顔してる。ビャッコくんはそういう変な話はいつもどこかで聞いているのかほぼ興味がないみたいで、耳をクシクシかいている。


「いいかお嬢ちゃん!そういう事をしちまう奴らなんだよ。今後関わらないほうが身のためだ。あの夫婦に関われば、そのうち毒の実験とか体に勝手に入れられちまうかもしれねえ。な!?こええだろ!?俺の言う事聞いて、近づかないことを推奨するぜ」


「はいはい、今日はもう店じまいとっくに終わってるんだよ。アンタの大声のせいでみんな店にとどまって帰れなくなってたんだかんな?」


店の方を見ると今更だが、野次馬がいっぱいいてこっちを静かに見ていたようだった。


「ホーラみんな解散かいさーん」


「ほら、ほら」


「「おー、おしまいかぁ」」


ガヤガヤ・・・


「・・・出てくれ」


「「み、みんなー!引き上げだーー!」」


スミコットさんとナカバちゃんが先頭を切ってお客さんを入り口に誘導し始めたら、2人の後ろから護衛のような威圧をかましながら、ハジーさんがついていく。


スミコットさんとナカバちゃんだけでもワイワイと簡単に出ていきそうなのにハジーさんの威圧のおかげで人の足も素早くなる。ふふ、コントみたいで面白い。


「モナちゃん、すまんかったなぁ。なかなか帰ってこんから心配になったんだろう?もう、片付け終わっとるから、さっさと帰ろうな」


「うん!・・・遅くなったのって全部さっきの毒が怖いぞー!って言ってたおじさんのせい?」


それにしては、今の短時間だけでもわかりやすくて、時間もそんなにかからなかったような気がするんだけどな。


「アイツは最後の方に来たやつだべ。最初は別の事で別のやつがちょっと騒いでたんだ。ほら、最近事件多いべ?みんな不安らしくてな、ほら、レフティはその辺の男より強いべ?昼間に何かあったらココに駆け込んでええかー?って相談とか色々なー。こないだの集まりでも言われてたらしいけんど、“うちは食堂の人間だ。そういうんは騎士団頼れ”つってなー。断ったっつってたらしいんだけんど、やっぱり騎士団も住んどるやつも、1枚岩なわけじゃないかんなぁ。小さな村とかと違って、色々あんのよ。」


あーーー。まあ、そういう話にもなるか。


毒の芋も不安助長のひとつになってしまった、と。


「あー、そうだモナちゃん」


「スミコットさん?なあに?」


「後夜祭歌うことにしたってホントぉ?」


「うん」


ナカバちゃんから聞いたのかな?


「そっかー、みんな楽しみにしてたよ。」


みんな・・・?みんなの部分の言い方が少し困り気味って言う感じの言い方。みんな?って思ったら、レフティさんの顔が一気に曇ってそっちを見てしまった。


「みんなっつーのは、今のいた奴らのことだべ。はーーーー・・・まったく。出禁にしたろーーか。」


あっはっは。みんなってそっちか。


不安が私の歌で吹き飛ぶように頑張るしかない。


「モナちゃん、歌決めたんか?」


「うん、ナカバちゃんに相談したら決まった」


「うちエライわぁ〜」


「ナカバ流石だべ」


「家帰ったら練習するからミギィさんもレフティさんも練習聞いてね」


「わふっわふっ!!」


テンクウちゃんが抗議に鳴いた。テンクウちゃんもビャッコくんもフテゥーロちゃんもスズちゃんも、そしてきっと外で待機してるタイモちゃんも私の練習を聞いてくれるのだろう。


「テンクウちゃん達も絶対聞いてね」


みんなニコニコでその日はその場で解散になった。



次話は後夜祭の日になってます。ココまでの1日分がなげぇな。っておもったけど、事件起こるたびに1日分長いからそこまでじゃないか??わかんなくなるねぇ。


最近の作者のハマっているものはアマゾプライムで視聴出来る海外ドラマの「ボーンズ」です。やっぱり男女バディものイイね!職場の人に勧められて見始めました。全然見るの進んでないけど・・・。


次回は9月10日予定です。



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