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私はテイマーではありません~ナゼか周りにもふもふがいっぱいな件~  作者: 沖宮途良
第3章

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第429話

びぇあ・・・ずぴーーーっ


人の為に泣ける人は素敵な人だ。と、私は思う。でも泣きすぎじゃないかな。この世界、鼻用ティッシュは存在しない。紙はまあまあ貴重だ。では何を使用するかというと。


急だけれど、コレを思い浮かべれば、みんなわかってくれると思う。


そう。


ヤンチャで公園や運動場が友達過ぎて服とか土で汚れても全く気にしない系統の少し女子が嫌がりそうな小学生男子を想像して欲しい。小汚くてもカンケーねーぜ!みたいな。鼻タレ小僧。ずびっ


ヤンチャな彼は、ティッシュなんて持ち合わせていない。そう、長袖だったなら、袖で拭くだろう。ずびっ。ずるるる。もしくは直接手で。ゴシゴシ。半袖なら、肩辺りで。もしくは服をみょーーーんと伸ばしてヘソを出しながら服の下の方の布で。


この世界、けっっこう、こういうことをしているのが多い。手は洗えば綺麗になるっていう理屈。布も洗えば綺麗になるっていう理屈。しかし、紙は水につけると汚れごと混ざってしまって、きれいにならない。


現代日本ならきっと、専用の薬剤とかあったりするんだろう。なんせ、リサイクル紙に変なゴミ付きのものなど見たことあるだろうか。無い!何かしらの技術がそこにある。というか鼻用の紙はまずリサイクルなんてしないけれど、、言いたいのはそういうことではなくて。


この世界にはそんな技術無い!!のだ。


汚れたら燃やして捨てるものになってしまう。機械が無いし、私が知っている限り、この世界の製紙自体ここ20年ぐらいでかなり進化しているらしく、会社自体が大きく成りつつあるものの、まだ農業の片手間に手伝いが少し入る程度ぐらいの認識が強い。まだまだそういう世界なのだ。


話を戻そう。


つまり、鼻が出てしまったら、(ぬぐ)うのは(じか)で手か、布系のもの。なのだ。


「もうハンカチがない・・・・」


(むしろハンカチがあって良かったよ・・・)


机に直接ではなく、汚れ物類を入れておく用の桶みたいな物に濡れハンカチが山になっていた。ポケットにハンカチ入れ過ぎじゃなかろうか。普段もそんなに使うの?ポケットがハンカチまみれでモコモコして邪魔じゃない?


ハンカチはハンカチだけれども、この世界のハンカチは少し大きめの手ぬぐいとハンカチの“あいのこ”みたいな感じ。小さめの手ぬぐいみたいな素材と大きさ。


ハンカチって聞くと私としてはタオルハンカチ常用者だったので、こういうのみると“これじゃないんだよなー感”がどうしてもある。


・・・・あの山になってるハンカチ、あとでククリさんが自分で洗うんだろうなぁ。びっしょびしょ。


「きっともう泣いてはならないと、神の思し召しかもしれない」


(単純に色々ドバーっと出やすい体質無だけだと思うよ。)

「泣かせてしまったようですみません。あの場所があまりいい場所ではないということをはじめて知ったので。」


「・・・・そうでしたか。知らなければ仕方のないことかもしれませんね。」


無知は罪。この街のことも、王都のお城の周りのこととかも、多少の知識は思い出した。けれど、あのIFな10年後の過去の私は、神殿に深く関わったことはなかった、はずだ。


少なくとも、神様に会いに神殿へ・・・なぁんてことは1度もなかった。神様自体が神殿にいないから。


精神世界のことの話なんて、神殿の理念とかそういう感じの常識の中の話だろう、きっと。子供の頃から言い聞かせる、あの場所には鬼が出るぞーみたいな。そういう系統の常識。


だから、私は知る由もない。話せば、わかってくれると、勝手に思っていた。手伝ってくれると思い込んでいた。


魂と体の繋がりが切れそうになってるとか、まさかの。だよねー。


止めるに決まっている。私だって、もしそれを知っていて、ククリさんの立場なら、まあ、泣くまでは無いにしろ、そんな事言う子供に対してきっと叱るだろう。


『危ないことなんだよ』


大人として、危険なことに足を突っ込むのを止めない人間でありたくない。


ククリさんは泣き腫らして、なんだか情けない感じの人ではあるけれど、とても親切で優しい人だ。


「で、どうするにゃ」


「いやぁ、ほんとそれ。」


人柄とかいい人を目の前に、本当にココに来れば解決すると思っていた私がいた。崩れ去ったけど。だからこそ、手だてが見当たらない。


「モナ、モナ」


「ゥッケルニョラーセーラー、ルクァッリ、セイルテェ、マッハリカー」


「えっなになに、どうしたの?」


タイモちゃんとツキノさんがコッチに来た。


「ヒマならコッチくるのよ。ツキノちゃんは面白いもの見せてあげるから早くおいで的なこといっているのよ?」


ヒマて。あ、はい。

ククリさんは放置でいいですか。そですか。

はい。私の悩みも一旦放置ですか?うん。


「シュギョーだって。」


シュギョー?しゅ・・・ああ、“修行”のことかな?


え?修行?誰が?


天井を見上げる姿勢で目をつむるセイリューちゃんとまめタヌキのぽん吉。


ていうか、セイリューちゃんなんかこう、少し光ってる?光ってるよね?


粒子の粒みたいな、なんて言ったらいいだろう、リトル・マーメイドの声が戻るシーンみたいな風と光が体の周りくるくるしちゃうやつ。


アレっぽい。


となりのぽん吉は逆になんか黒っぽいような紫っぽい炎みたいな煙みたいな・・・昔駄菓子屋さんに売ってた『ようかいケムリ』っていう駄菓子屋オモチャのケムリのようなタバコのケムリとも違う、独特なねっとりしたような蜘蛛の糸が唐突に現れたようにも見えるケムリ。


アレっぽい。


並んで瞑想してる感じなのかな。コレが修行?


少し見ていたらさらに変化が現れた。


天井がキラキラとし始めた。


キラキラと言っても魔法少女が放つようなのじゃないし、最新のプリクラのように肌が真っ白にキラキラしちゃうとかそういうのでもない。


キラキラと1言に言っても光がガラスを通り越すようなキラキラだ。


語彙力がないので、この状態の適切な単語が見当たらない。


言うなればジブリ作品でいえばハウルの動く城で多かった表現方法のキラキラかなぁ?うーん、説明難しい。


独特なキラキラ。


でも、それを、むしろ、それ、だから。


「キレイ」


目がそれを追ってしまう。


天井の絵は宝石だ。キラキラと光が瞬くように何度も光が過ぎていく。するりするり。きらきらり。その光は単なる石ではないんだということがわかる。宝石にしか出せない、独特なキラメキ。


踊るように瞬くように跳ねるように、輝きが行ったり来たり。


粒のひとつひとつからその石ひとつひとつと同じ色のオーラみたいなものが溢れ始めた。


これ、私の目にだけ見えている幻じゃあないよね?


さっきまで顔がぐしゃぐしゃだったククリさんも天井を見上げている。白昼夢とか幻じゃない。現実らしい。




ラーァッ


フェイラッティース


ミメカ


エイヤッティム


レリカ


ファタヘッハン


メイメ


タラティッカン


アリヤ


マリヤ


トットッティカン




ツキノさんが(うた)った。


ただ歌ったんじゃない。


まるで神聖な。


何かを讃えるようなといえばいいのか。


キレイな音だった。鳥肌がたった。


だってさっきのツキノさんのよくわからない言葉と同じなのに


全然全く違うんだ。


「大きい力が集まってる」


私の肩にいるスズちゃんが呟いている。フテゥーロちゃんも魅入っている。


「あっ」


セイリューちゃんの体を包んでいた光にオーラの柱が流れ込む。


ぽん吉のケムリみたいな物にも同じくオーラの柱が流れ込む。


「すごぉい」


フテゥーロちゃんは目がキラキラ。


「ふんっ」


「うわー、ボクはこわいなー」


ビャッコくんとテンクウちゃんは面白いーって感じで別段鳥肌とかは立ったりしてなさそう。モンスター界隈でよくあるやつなの?ふたりとも平静すぎない?通常運転すぎません?


そんな事考えてたら、オーラの柱はそのままの状態なのにセイリューちゃんとぽん吉の様子がなんだか苦しそうになってきた。


「大丈夫「ダメなのよ」」


心配して声をかけようかと声を出したら、即座にタイモちゃんに怒られた。


「シュギョー。なのよ」


「・・・あ、そっか。」


ククリさんも動こうとしてくれてたみたいだけど私が止められているのを見て、ククリさんも止めに行くのをやめてくれたようだった。


・・・まって。どのくらい時間かかるんだろう?


終わるまでずっと苦しそうなの見てないとダメなやつ?


今度は心臓バクバクしてきたかも・・・・・

え?まだ神殿の中の話終わんなかったの?


はい。まだ終わりません。





次回は、28日予定です。


最近仕事忙し過ぎてってのもあったんですが、今またちょこっとだけ漫画かいてます。それに集中したいので間がまた空きます。申し訳ありません。月末までのやつなんだ。


28日ぐらいまでには終わるはずなので更新はその辺りの予定です。


今回、慣れないものというか、ほぼ初めての試みなのですんごい時間かかってます。


ほぼ読まないジャンルを描きたくなった私。不思議なこともあるもんだ。ではまた次回。

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