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第428話

「テンクウちゃんやビャッコくんが言ってた、地下のダンジョンってこういう部屋があったって言ってたよね!?」


「んえ、どーだったかなぁー??」


「あったにゃ。というか、多分この部屋はその部屋だと思う。」


「「「え?」」」


「そこにょ神官。1回みんにゃ扉から廊下に出て、神官がドアを閉め直してみる。んで、次はモナが開けてみるのをやってほしいにゃ」


「・・・どゆこと?」


とくにテンクウちゃんが首をかしげ度合いがグルンとなっている。私はなんとなく今の説明で、何が起こるのか少しだけど予想がついた。


「ビャッコは実は青い猫だったのかも!?」


っていう、独特な呟きをこらえきれなかったスズちゃんの意見には吹き出しそうになった。ビャッコくんは毛根の方までしっかり白い毛だからあの青い猫じゃないよ!!


「しめてー、あけるぅー?モナママー出番だよ〜」


「はぁい」


全員出たのをフテゥーロちゃんが教えてくれた。


ドアを開けるのにギリギリの身長なのが憎らしい。引っ張って下に下ろしてしまえばこちらのものだ。バーハンドルが間違って私の手からガチョンと離れないうちにドアを開けてしまわねば。


ギイ・・と開く音がなった。無駄に力が加わったからドアに負担がかかったせいできっと音がなったんだろう。それと油を差すようなメンテナンスをあんまりしていなかったのかもしれない。


しかし今はそこは重要ではない。


目の前に現れたのは先ほどのホコリが被った本だらけの部屋・・・などではなく、掃除用具入れとかちょっと手狭な駅のトイレ並みに狭いなにも無い四角いだけの個室だった。


個室と言っていいのだろうか。大人2人入ったらそこそこにぎゅうぎゅうになってしまうような、土壁の狭い空間だ。


「えええええええ!?!?なんですかコレぇ!!!?」


私達より神官のククリさんが1番驚いていた。


「んだよ。知らにゃかったのかにゃ?」


「こ、こ、こんなことなったことないですよ!?」


「お前しか開けたことなかったのか?」


「そんなわけ無いじゃないですか!単なる神殿の施設ですよ!?先輩方も普通に開けていつもの場所を開けてますよ!こんなの見たこと有りません!!」


「神官さんはきっと、契約してるのよ。」


「「「え?」」」


「タイモちゃんなにか知ってるの?」


「知らないけど、今のモナが開けた時、空気がどよーんって変化したのが見えたのよ。昔ね、人間と暮らしてた時に仲間とか家族が助け合ってた時のキズナみたいなやつ見えたことがあったのよ?それとちょっと似てるのよ。だからきっとその神官さんはこのドアと契約みたいなことをしてるかもなのよ。」


「なるほどな。多分神官の着てる服とか、魔法とかでなにか鍵になるものがコイツの身についてしまっていて、あのドアを開けると、そこに行けるようになってるって寸法かにゃ。いやー、なかなか見れる光景じゃないにゃー。」


うおおお、異世界っぽいのキタァー。


そしてそれを説明してるヒツジとネコのシュールさよ。


「おもしろーい!もっかい!」

「もっかーい!」


テンクウちゃんとフテゥーロちゃんはなんだか楽しそう。


「キュキュンキューキューン、キュキュン」

「ポコポコポコォ」

「ぽっぽん、ぽぽこん」


あっ、早くさっきの部屋に入りたいらしくて、テンクウちゃんとフテゥーロちゃんに3匹が抗議してる。


なんとなくわかるぞ。3匹は「こういうことはあんまり遊んじゃダメなんだからね!」みたいなお兄さんお姉さんムーヴ的なお叱りモードになっているんだね。可愛い。


ここにお父さん連れて来たい。絶対うちのお父さん、『なにこれ絵本みたい!可愛い、激写、あっ今撮れるものが無い!』とか騒ぎそう。うんうん。


ツキノさんとタイモちゃんは騒ぎから遠くにいる。ツキノさんってウサギだけど本当にクール系だよねぇ。


・・・私、今更だけどこの世界来てからこういう子たちと関わり合いになるようになって、お父さんがこういう、動物のこと好きだっていうのがよくわかるようになった。


この世界に来る前は、そこまで嫌いじゃないけれど、興味があるかと言われれば、別にそこまでじゃなかったはずなのだけれど。


ハッ・・・そうだった。


「ククリさん、あのっっ」


「はい、どうしました?」


「私、精神世界に入りたいんです」


「どういうことです?」


3匹がテンクウちゃんとフテゥーロちゃんを切々と話し合いしてるその横でさっさとさっきのドアを閉めて、もう一度開け直しているククリさん。マイペースか。


やっぱりククリさんが開け直したら本だらけの部屋になっていた。ククリさんがそのまま入ってるから、私もそのまま続いて入った。ツキノさんとタイモちゃんが私に引き続き入っている。


「私、こないだ倒れたの助けてもらったじゃないですか。あの時は本当にありがとうございました。」


「いえいえ」


「その時に精神世界に飛んだんです」


「は?」


「実はそこに行くと私、潜在能力が引き出されてパワーアップできるみたいなんです」


「は?」


「寝たらまた行けるかもと思ってたんですけど、行けなくて。ククリさんがこういう扉とかの鍵になっているんなら、もしかしてククリさんがなにか私に魔法とかかけてくれれば、精神世界に行けるのかな!と、思いまして!」


「は?」


「・・・ククリさん?」


なんか知らないけど、さっきから固まってない?アレぇ?


「モナさん!!」


「はへぁ!?!?」


両肩ぐわっし掴まれた。いや、ちょっと少し、痛い!えっえっククリさん、目が、グルングルンしてない!?こ、こわっ!?ヤンデレじゃなくてクーデレじゃなくて、なんだっけこういうなんかこう、ヤバそーーな空気出すキャラいたよね!?そういうのあるよね!?えーとえーと。


「モナさん!いいですか!」


「肩!肩イタイですっ!」


「あっ!すすすすすみません!!じゃなくってですね!」


肩からは手を離してくれた。


「自殺、したいんですか!?アナタは!命を大切にして下さい!」


えっ・・・


「精神世界というものは、魂が離反・・・離反だと意味わからないかな。えっと、魂が体と離れてしまって死にかけている状態なんです!つまり、あの時は、私もギリギリだったんです。そんな大変な状態にまた、なりたいですって!?」


ククリさんの熱がどんどん高まっていって顔が真っ赤っ赤になっていっている。目に涙が溜まって・・・。



心配してくれている。


2回しか会ったことないこんな得体のしれない子供の、嘘みたいな話に、必死になって。


「いのぢを、ムダにするようなことを、そうだんだなんて・・・・私は、私は・・・」





あーーーー、やっちゃった。



やらかしちゃった私の後ろ姿を“なんだなんだ”と見つめている目線にもいたたまれなくなる私だった。






モナ、なかなか深層心理の奥底に2度目がいけない。という悲しい状態。


ジュンル様「実は待ってます。」


モナ「んなーーーー!?!?」


似たような話が続いて申し訳ない。



次回は、21日予定です。


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