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第420話

アンドレの手紙を開いた。


ーーーーーー


モナへ


まず別れの挨拶ができなかったのを詫びる。手紙ですまない。俺としては会ってお別れしたかった。時間が無いから手紙で済ますことになった。


モナはスゴイ。俺は出会ってから驚かされてばかりだ。何がとかわからないけどお前はスゴイやつだ。


だからかな、俺は色んな所に療養に行ったけれど今回の療養が1番元気になったし、1番楽しかった。


ミギィさんとレフティさんにもお礼を言っておいてくれ。多分お兄様がおふたりに手紙をしたためているはずだから、お兄様からはお礼書いてるかもしれないけれど、俺からはココにしか書けないから、モナに頼んだからな。わかったな。


本当に楽しかった。こんな場所ならずっとずっと居たいと思った。


俺の家はここのよりもどこよりもなによりもデカいんだ。でもな、楽しいと1日だけは思えても次の日には消えちゃうような、そういう変な場所なんだ。


だから毎日楽しいと思えるこの場所が大好きになった。大変なこともあったけど、なんていうか変かもしれないけれど、ようやく自分の足で立った気がしたんだ。


お兄様が今度ここの領主の息子になるらしい。お兄様、そのうちここの領主になる予定なんだ。すごいだろ。


俺とは兄弟じゃなくなるのかと思ったけれど、お姉様達も“他国に嫁いでもお姉様のまま”と言うのを聞かされたので、お兄様もこの領主の息子になっても“お兄様のまま”なんだって。


でももっといい方法思いついたんだ。俺も出来ることならそれについて来たいと思っている。俺も領主の息子にしてもらうんだ。


だから待ってろ。すぐ戻ってきてやるからな!


なかなか帰ってこないからって泣くんじゃないぞ!


アンドレより



ーーーーーーーー







「・・・・」


うわあ。めっちゃ子供っぽーーーい。


いや、子供だが。


8歳だが。


いやいやいや、もうちょっと書き方あるでしょーよ。書き方。


読めたけど、子供が背伸びしながら書いてる感が字に表れてる。


わざと難しい言葉を選んだりしてる部分は、書きなれないのか字がキッタネェ。


・・・ごほん。


汚いと言うより、たどたどしいが正解かな。ガタガタ。


それにしても内容よ。


え?執事さんが添削とかするもんなんじゃないの?


フリーダム過ぎない!?内容!?


いいのこれ!?


ドヤァ・・してそうな文面。アンドレよ。


でもたしかプントさんがわざわざ持ってきてくれたとか言ってたよね。プントさんも中身把握してないわけは無いよね。


・・・可愛いけどね。可愛いならいいか。


というか領主の息子・・・。ええと、ディオさんは求められてなったという感じの経緯があったはずだよね?おやぁ?


アンドレぼっちゃんのはさー、この手紙書いてる時か、その直前に思いついた感じがあるよねーーー?


・・・無理では?


んー。


んーーーー。



んんん。


思いつきに成功は全く無理そうだけど、アンドレの事だ。どうにかこうにかして、このロッテリーに戻ってくるんだろうな。


この書き方だと、ワタシ、アンドレの妹的立ち位置ってことなのかな。ふふふ。前回と逆かー。新★鮮★だね!


「モナちゃん?なんて書いてあったの?」


とか考えてる場合じゃなかったぁ。テンクウちゃんを筆頭にこっちをみんなで見つめていらっしゃる。


「ごめんごめん、アンドレがね、戻って来るから待っててくれって。戻ってくるのがいつかは書いてないけど、さっき話ていたことはアンドレが戻ってきてからで大丈夫だと思うよ」


泣くなよ!的な文面は伝えなかった。


「用事が終わったらディオさんと戻ってくるって。」


「・・・なあ、モナ。聞きたいんだが」


ハムスターのゲンブが口を開いた。


「かしこまってどうしたの。」


ハトとハムスターが2人の名前を聞いて固まってる?ように見えた。聞きたいってなになに。


「その2人の名前をもーーいちど言ってくれ?」


「アンドレとディオさん?」


「それは!我が!神!」


ハムスターのゲンブが神!って叫んだ。


「あ、あ、あ、(あるじ)!?(われ)のこと置いてくんじゃ!?」


こっちはハトのタイインさんがアルジアルジ言ってワタワタしてる。


ハムスターとハトがワタワタバタバタしてる。ちょ!ミギィさん起きてくるから静かにしてくれないと困る!!


「「ぷぎゅっ」」


「おおっナイス!ええと、」


「トロキだナァ」


ありがたやぁ〜!










その頃・・・






アンドレが夢を見ていた。






知らない歌が流れる。


アンドレにとって聞いたことのない、やたらとテンポの早い曲だ。


知らない女性がいる。


かなり年上の女性だ。


今のアンドレからすると自分の母親ぐらいかさらにその上か。


上の更に上の方のいつもは会うことが出来ない兄と同じくらいかもしれない。


自分を産んだ母親は、いつもは会えない1番上の兄と同じくらいの年齢だったはず。


そんな年上の女性が困った顔をこちらに向けている。


野原に寝転んでいる彼女はこちらを見つめながら困った顔をしている。


どうして立ち上がらないんだろう。


周りが野原だと言っても、辺りがスス焦げている。


服や髪が汚れるだろうに。


いや。


自分もおかしい。目線がいつもよりも高い気がする。


横になって寝転んでいる彼女に近づいた。


あれ?


体が震えている気がする。


寝転んでいる彼女の顔を両手で包みこんでいる。



・・・どうしてこんなにも手が真っ黒なんだ?




こんな手じゃこの女性の顔まで黒くなりそうだ。手を離さないと・・・。


困惑していた彼女の目から涙があふれてきた。


だから、離そうとしていた両の手は、顔から離せなくなった。


やっぱり震えが止まらない。


どうしても手が離せない。


彼女はとても大粒の涙を流しながら、笑顔になった。


胸が締めつけられる。


苦しい。どうして笑えるんだ。


こんなにも、こんなにも、冷たくなっていっているのに。


『モナは・・・・死んだ』


誰かがそう呟いた。



はっと気づくと



夢だと、真っ暗な天井がそこにあるだけだった。





アンドレは、夢を見ていた。


ただそれだけだった。


明日も更新しますぅ

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