第419話
毎度毎度遅くなって申し訳ない(通常営業)
言う所によれば、布に見えるけれど布というよりクモのモンスターの出す魔力の糸から作られた物に近いらしい。まじかー。
神様が作った私専用の盾というか防具。肌着として着ていたから私は守られていた。真実は覚えていない。
深層心理の奥底に行ければ、きっとあの真っ白い神様である順流様に聞けるはずだけれど、睡眠をとっても行けない。お昼寝しようが夜に寝ようが、私がどうやってあの場所に行けたのかわからない。
うーーーん。
「どうしたの?考え過ぎてちっさいモナなのに、眉間がぎゅわっってなってるよ。わかんないことあったらスズも考えるよ。聞いて聞いて!ねっ!みんなあわさればモンジャの知恵だよ!」
「モンジャは食べ物だよ。それを言うなら“文殊の知恵”だよ」
「ところでモンジュってなあに?」
「なんだっけ。うーん・・・ふふっ」
「モナ?」
「いや、私ちょっと最近色々考え過ぎだなって。今更気づいた。さっきもキジンさんに言われたのに、懲りてないし、スズちゃんの言う通り助けてもらえるときは助けを求めるべきだよね。・・・だから笑えちゃった。ありがとうスズちゃん。」
「どーいたまして。」
「どういたしましてだよースズちゃんー」
「フテちゃんっいいのー!」
フテゥーロちゃんにも言い間違いを指摘されちゃうけど、今のは言い間違いって言うより照れてしまってわざと言い間違えた感じだった。スズちゃんいつの間にやらツンデレ属性取得した?ふふふ。
「モナママあのね、」
「あ!みんな!静かに!シーーッ」
フテゥーロちゃんが何か言いかけた時、テンクウちゃんが声をあげた。訓練もしていないのに空気が急にピリついて、みなまで言うこともなく部屋は静寂になった。
何が起きたのか分からないけれど、声をあげず、最小限の息をして、身動ぎひとつしないように努めたけれど、大した時間ではなかったはずなのに妙に長く感じた。
「うん。もう大丈夫。喋っていいよー」
テンクウちゃんの声にみんながホッと息を漏らした。
「下の階だな?」
コウチンさんがテンクウちゃんに向かって言った。
「うん、ミギィさんがちょっとだけ起きたみたいだったから騒いでたらこっち来ちゃうと思って。みんな静かにしてくれてありがとうね」
「さすがテンクウちゃん」
「えへへー」
「フテゥーロちゃんはさっき何をいいかけてたの?」
まっしろふわふわ毛玉ボディがフワフワふるふるしているフテゥーロちゃん。
「あ!あのね、ぼく、わたしもね、スズちゃんと同じだよーって言いたかったの。モナママはニコニコが似合うの。」
スズちゃんもフテゥーロちゃんも天使だったようだ。いや、知ってた。
「実はまだ話してないことがあってね。ネズミ騒動の時に私は神殿で倒れたんだけど、その時に私の心の奥の奥のさらに奥、心の中と言ってもいいのかな。私は“深層心理の奥底”って名前を付けたんだけどね、そこに神様が来たんだ。」
ハムスターだけはテンション上がりまくりで私の話を遮るが如く「おおお!?」とか騒いでたけど、話が進まなくなるからってキジンさんとコウチンさんに静かにするように止められてた。
いや、体格差ありすぎて過剰戦力過ぎる止め方でヒヤッとしたよ。プチッと死んじゃうかと思っ・・・はい。気にしたら負け。うん。話を続けますね。
「その神様は、一応このロッテリーの土地神様なの。私が未来で出会った神様の弟神。本当の弟ではないらしいんだけど、まあ、そういうことは一旦置いといて。でね、私、その神様に寝ればまた会えると思っていたんだ。その“深層心理の奥底”に寝ればいつでも行けて、いつでも過去の記憶を思い出していけると思ってたんだ。そうすれば、毎日ちょっとずつ、過去を思い出して、魔力回復していけるかもって。でも、なぜかあれから全く神様にも会えないしその“深層心理の奥底”にも行けないんだ。この、ぞうきんのこともさっきの話をきいてその神様にどうして私がこんな大層な物を身にまとっていたのか聞けるのになって、少し、悔しくなっちゃってね。だから私眉間にシワが寄っちゃってたんだ。どうやって、もう1度神様に会えるか、誰か知ってる?」
ちょっと長くなっちゃったけれど、そう。聞きたいこと。誰かが神様へのコンタクトの仕方を知っていればなあという期待。
「よくわかんねーんだが、オレだったらまず、同じような状況をもう1回やる。」
そう言ったのはオオカミのコウチンさんだ。
「具体的にそれは何日前の話ですかん?」
「ん?ええと、ネズミ騒動のその日だよ。騒動が起きる少し前だからお昼ぐらいだったかなぁ?」
まだ夏祭りの初日だったから、アレもこれもまだ楽しむ気満々だったのに、結局お祭りの3分の1も回れてない。
とくにレフティさんが設営を手伝った顔の濃いオジサン達のライブパフォーマンス的な舞台は結局何やったのかすら見てない。
キャラバンの人達のショーが見れたのはよかったよね。そう言えばあのキャラバンの人達はケガとかは大丈夫だったのかな。あれだけ魔法が使えれば戦ったりしたのかな?
「なるほどなるほど。納得いきましたわん」
「ああ、オレもガテンいったぜ」
「ほほう!と言うことはあれですか?」
「我のこれもか!つまり・・・神の使徒?」
キジンさん、コウチンさん、ゲンブくん、タイインさんがそれぞれ納得した〜ってうんうん首を縦に振ってる。
「なにが〜?」
そこにツッコむ強心臓ちっくなフテゥーロちゃん。
「多分あれだろ?俺様達も薄々気づいてたけどにゃ、この辺り一帯、多分ロッテリーの街のほとんどで起こってる」
そう言うのはビャッコくん。え、なに?意味深過ぎない?
「あのね、みんな言わなかったけど、言ってるから気づいてても今更かなって誰も言ってなかったんだけど・・・」
って傍観していたヒツジのタイモちゃんまでも補足し始めた!?
「だけど?」
え、何そこで言葉切らないで。で、タイモちゃんの言葉をテンクウちゃんが続けた。
「モナちゃん気づいてた?モンスターみんな人間の言葉をずっと喋っているんだよ?一切隠すことなく。」
・・・・あれ?
え?
「そのモナさんが倒れている時になにかあったようですわねん。なにか力が解放されたとか、詳しくはわかりませんが、特別な力が働いている気がしますん」
うせやろ!?
・・・・ホンマや!!
特別な力とやらがどんなもんか分からないけれど、というか自覚すらないけれど、え!?
「倒れる前、なにかやってたか?」
「えーとえーと、あ!アンドレと祝福ごっこ!」
これかーーー!!??
・・・・ってもしかして今まで言葉喋ってなかった星タヌキくんと豆ダヌキくんとセイリューちゃんとツキノさんとも人間と同じ言葉で会話出来る!ってこと!?
「年齢か魔力量かわかりませんが、ある一定を下回ると喋ることはまだできませんでしたけども。」
あっ(察し)・・・ガッカリんちょ・・・。
「モナさん」
「ふへはい!?」
「その祝福ごっことやら、またアンドレさんとやらとご一緒にもう一度やってみてはいかがかしらん?」
「んえっ」
「また倒れる可能性があるかもしれませんが、そのモナさんが求めている神様に会える可能性はそこにありそうな気がいたしますん」
まじか。
「そ、それは、当分無理・・・かなー。明日の明朝にアンドレは王都に向けて出発しちゃう予定らしいんだ。祭りの前には本当は行かなきゃ行けなかったのを引き延ばして今の今まで居着いちゃってるから、さすがに・・・」
まだ開けてない手紙までもらったからには、今更こんな検証のためにまた数日行くのを引き延ばしてとか言った所で、周りの大人に止められるだけだ。なんせ、もしかしたら私がまたぶっ倒れる可能性が高いのだ。
私がもしこの5歳児の保護者なら止める。絶対止める。大人ならまだ考える余地も無くはないけれど、どうしたって5歳児は子供。
幼児ようやくご卒業して子供と呼べるようになったところの可愛らしいボディ。が、ぶっ倒れるとか、ホラーだよ、サスペンスだよ、もうホント恐怖しか無いよ?打ち所悪かったら死んじゃうよ?
「ボク説得してこよーか!?」
「ああ!ダメダメダメダメ!テンクウちゃん勝手に行こうとしないで!むしろアンドレを今回ちゃんと見送っておかないと、いつかまた来る時に“足止めする厄介な人間がいるからあの街にアンドレをいかせられません”とか周りの人間が言うかもしれないから、ダメ!」
次アンドレがいつ来るのか分からないけれど、あのIF世界でアンドレはミギィさんとレフティさんをお師匠様だと言っていた。
つまりIF世界で毒事件があったあとも、何度かこの街で療養の滞在はしていたはずなんだ。
夜中に説得しに行きたがっているのはテンクウちゃんだけじゃなくてリスもネコも窓辺をチラチラしていて危なっかしい。
私はみんなと話すために起きてるけど、アンドレはもう寝てる時間だからね!この世界の早朝ってつまり、私がこの世界で毎朝起きてる時間より少し早いって聞いたよ!?つまりほぼ夜中だよ!?新聞配達の人間でしょうかね!?
決定打にかけることばっかりだから、もうそこになにかこの場の攻略の糸口がないかとアンドレの手紙を開くことにした。
文殊とは何ですか?
菩薩の一。 サンスクリット語マンジュシュリーMañjuśrīの音訳〈文殊師利〉の略称。 〈妙吉祥〉と意訳する。 もと実在した人らしく,《文殊師利般涅槃経》にその伝が述べられている。
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文殊とは? 意味や使い方 - コトバンク
《補足と書いてなかったIF世界のちょっとした話。》
キャラバンの人達は戦っていません。魔法と言えど戦闘訓練をしていなければ、どんな強い魔法でもおもちゃ振り回してるのと変わらずに、力にならないし、戦闘ができる人達のジャマになってしまう可能性のほうが高いと理解していたからです。間違って味方を傷つけてしまうこともあります。
キャラバンの人達の魔法は戦闘訓練さえしていれば戦闘に使える魔法では一応ありますが、キャラバンが使用している魔法はショーの為の機材と同等の使い方しかできません。
対人戦闘は習っています。剣術や体術はちょっとかじっている程度です。旅はしていますが冒険者ではないので基本的に人間が多く行き交う道や、街にしか行かないのでモンスターとは戦えません。
ちなみに《IF世界では》キャラバンの人が数人行方不明になり、ネズミ騒動で負傷者が多数出て、2度とロッテリーでは公演をしないと領主と約束を交わします。
IF世界ではユーグリッド自体が行方不明になってあの地下に埋もれたダンジョンで数日過ごして死亡します。
IF世界では少し順序が違います。
ユーグリッド行方不明→祭り開催→開催途中でネズミ騒動→大量行方不明者発覚が今回の街の流れですが、IF世界では、ユーグリッド行方不明→祭り開催→祭り終了後から数日経過してから大量行方不明者発覚→さらに数日後ネズミ騒動。
と言ったように、ハムスターのゲンブがレフティさん達に現在の街で協力を仰いでいたのは、祭り後の騒動の沈静化をみんなに手伝わせる予定でした。
なのになぜか全部まとめて1日2日でドバーーーと来てしまったのでハムスターのゲンブとしては「あれ!?」ってなっていました。しかも、ゲーリーやゲイリーマリー夫婦にも会ったりなかったりラジバンダリだったもんでね。
ゲンブくんとしては「わっかんね★」ってなって今回、モナちゃんのお部屋に来たって感じです。あと誰かから「ネズミつるっぱげにしたらしーよ!ヤバイよね!」って聞いたからですね。ゲンブくんからすると「そんな未来知らんがな!」って心境でした。
・・・・あとがきが本文と同じくらいの書き込みになりそうなので、この辺で終わりにしとこう!
ではまた次回!
ちょっと作者の私めが、絵を描く予定なので少し間を開けます。絵は描き終えたなら次回のあとがきに宣伝(?)するかもしれません。久々に描きたくて描きたくてたまらないんだー。うおー。
なので次回は17日ぐらい予定です。
毎日暑いですが皆様ご自愛くださいねーーー
イエァ!!
n Λ_Λ
(ヨ(´・ω・`)
≡ y と丿
≡(_ノ ノ
≡(ノ´