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ブクマ1000人超えたって、マ!?記念SS②

▼▼▼設定を間違えていたので少し書き直しました申し訳ありません。20250615


ブクマ1000人超えたってばよ。ありがとうを込めて。感謝SSの2本目です。


その名の通りショートストーリーなのでそれぞれ違うお話になっています。今回ちょっと残酷なお話になります。でもたしかチラッとどっかに軽く出してたと思うんだよね。


設定間違えてたらすみません。だいぶ前の記憶ほじくり返して書きました。


本編ぶった切ってすみません。今でもまだブクマ1000人とか夢だと思っています。


もっかい言っとく。ちょっと残酷です!無理なら引き返してーー!(@_@)


・・・ココまで読んでる人に言うことでもなかったかもしんまい?どうでっしゃろ??

ジワリと黒いシミが広がる。


自身の毛に命を脅かされるという珍しい生き物。


人間と一緒にいなくても生きていけはするけれど、世話をされていないと寿命が花が散るほどに早い。


人によっては雪解けのように早いとか、まるで小さな虫並みだとか、色々言ってくる。


自身もそのひとつの群れの中で生まれた。


広い広い草原が延々と続くその場所には、時折強い風が吹き荒れる。


1年のほとんどが乾いた風が吹き、穏やかな気候が続く土地。しかし、作物はあまり育たない。


不毛(ふもう)と呼ばれるには延々と草原が風になびき遠く、沃地(よくち)と呼ばれるには細々(ほそぼそ)としていてまた更に遠く。


しかし群れが暮らすにはとても過ごしやすい土地だったため、その群れを守っていた人間達もその群れから得る恵みを分け与えて貰いつつ、人が住むには際どいと思われる土地でも生きていけた。


群れは“期待(エスポワール)ヒツジ(ムトン)”というモンスターだった。


いつ、どこで、その人間達に飼われる事になったのか、もう誰も覚えていない。人間達も「たしか、ひいひいひいひいお爺さんが・・・?だったような?」ぐらいのその程度。


使命感的なものも無ければ、面倒くさがることもなく、本当に隣に住む仲のいい隣人ぐらいにしか思っていない。


隣人は“草の民(カヌイハッタウ)族”といい、昔、クインサンドという山から期待(エスポワール)ムトン(ヒツジ)と共に降りてきた。


気の楽な関係性で、さっぱりとして、群れはとても過ごしやすかった。


だから特殊な固有種だということがわかっていなかった。だから“草の民(カヌイハッタウ)族”は“期待(エスポワール)ムトン(ヒツジ)”の毛を使った上質な衣服を身にまとっていた。


人里からすればかなりの高級品とも言えたが、誰もその事を知ることもなかった。


この群れを率いる人間の誰かひとりでもその事を知っていたなら、守らねばならないものとして誰もが危機感を持ったかもしれない。


しかし、それは空論上の出来事だ。そう、起こってしまうのだ。


そこにしかいない“特別なモンスター”を狩りとる不遜な輩が、その辺りに住んでいた“草の民”を惨殺するという血の惨劇が、起こってしまう。


その日も“期待(エスポワール)ヒツジ(ムトン)”は人間と共に生きていた。


「おかさん、あにょね、あの・・・キレイなやちゅ、おちえて?」


「おやおや、昨日も人間に造ったの見ていたでしょう。アレはね、造るのとっても大変なんだよ?ほら、見ていて疲れちゃってタイモも寝ちゃったでしょう?」


「ねたったから、もっかい!みたーのー!」


可愛いおねだりも叶えてあげたいけれど、母親のヒツジは昨日造ったものをもう一度という子供のわがままをいつものごとくスルーしていた。


長時間の祈りを、自身から取ったヒツジの毛を加工して、魔法熱を加えて形作った入れ物に入れ込む。


「みがーりのくみょ、もっかーい」


「困った子ねぇ。でももう何回も何回も何回もみてるでしょう?」


「おぼえてるぉ?でもね、もっかいみたーの。きれーだから、もっかい!もっかいー。おねがーい。」


“身代わりの雲”とヒツジ達が呼ぶそれは、死にかけても1度だけは必ず助けてくれるという魔道具のようなものだったけれど、一緒に暮らしている“草の民(カヌイハッタウ)族”からすれば、単なるお守り程度にしか過ぎなかった。


そうそう死にかけるようなことがなかったからだ。


食べ物に困ることはあるが、ヒツジモンスターがいる限り、乳と肉に困ることはなかった。


ヒツジはヤギよりもタンパク質が豊富でコッテリと甘く少量でも栄養価がかなり高かった。群れで飼っていたので乳はほぼ毎日飲める栄養源だった。それを使ってチーズやヨーグルトや酒など加工品を作り、また、別の栄養価も取れていた。


年老いたヒツジモンスターが命尽き果てた時に肉をみんなで食べ、命を分け与え循環させ次の世代へ繋げる儀式をしたり、大きなお祝いをしようという時にはヒツジ達がどこかからか大きな動きのトロい泥牛(ドロうし)と呼ばれる大物を囲んで運んできてくれ、人間達が解体してお祝いするなど、多少食べ物に困っても、乳と肉で大体はなんとかなった。


草の民(カヌイハッタウ)族”も人数は多くなく、普通の小さな集落程度の人数で、争いという争いが起きるようなことはめったに起きることはなかったし、もし起きても誰かが必ず仲裁に入って共に話を聞き、解決策を模索し、気持ちを分かち合ってきた。


それに合わずに“草の民(カヌイハッタウ)族”を出ていく者もいるけれど、狭い世界で生きてきて、他を知って、結局別の部族の他の数少ない“草の民”に戻って結婚してしまうというのも“ざら”な話であった。


しかし今回ばかりは出ていって戻ってきた“草の民”はワケが違っていた。


「おや、珍しい。お客さんかな」


そう人間が呟いた声がヒツジ親子に聞こえた。ヒツジ親子もそちらに興味が出てそちらを見つめた。


草の民(カヌイハッタウ)族”も乗り回している馬。しかし“草の民”が乗っているよりも細くて貧弱に見える馬がゾロゾロとやってきていた。


パカラッパカラッと軽快な音を響かせているその先頭には、見覚えのある“草の民”だった男がいてニコニコとしながら近づいてきた。


最初はみんなで歓迎した。帰ってきた男は細い月のように目を細めて「遠くで出来た友人がここのみんなの暮らしを知りたいと言ったので連れてきた」と、“小麦粉”という未知の食べ物になるという不思議な白い粉を手土産に楽しそうにしていた。


それの使い方を教えると「これはいいものだ!今後これを何かと交換で融通して欲しい」と商売の話が始まるくらい仲良しになったように見えた。


“小麦粉”というものを使ったスープにひたひたに入っている長くて太い“めん”というものは、人間にとって腹持ちがよくさっぱりとして食べやすいらしかった。


笑顔が溢れた。お祝いのようにみんなが浮かれているようだった。


しかし夜に男共は豹変した。


「近くに塩があふれる塩湖を独占しているらしいじゃねぇか。なあ?」


全ての食べ物に必ず使われていたもうひとつの栄養源の大切な塩。その塩は“草の民”が使ってはいたものの、独占していたわけではなかった。


なのに、なぜか、そんな事をのたまい出した。


“草の民”の男は弱いわけではないはずだったが、なぜかみんなやられてしまっていた。元々“草の民”だった帰ってきた男は、塩湖の事を言う強そうな男にヘコヘコして付き従っているようだった。


塩湖の事を言い始めた男は更に言葉を続けた。


「調味料ってやつでーすって言えばお試ししてくれるだなんて、優しいなぁー。なんでもかんでも信じちゃだめだよー?チーズに似てるからっていっても、コレは“痺れ薬”なんだからさぁ。まあ、わからないか、ピリッとしてて調味料みたいに感じるし、遅効性(ちこうせい)だからこんな夜中にならないと効果出ないもんなぁ。あはははは」


言っている意味が分からなかった。


強そうな男性の首は落とされ、細くて弱そうな男性と、女と子供とヒツジ達は助かっていた。強そうだった馬も首を落とされていた。馬はいるだけで逃げる道具になると踏んだから殺したのだろう。ヒツジは乗ることは出来ないからという1点で見逃されたのだろう。


「俺たちが今後みんなのご主人様になりますぅ。いいかー?塩湖からいい塩を選別して、持って来い。で、売って、帰って来る。それだけだ。いいか?たったそれだけすれば、誰も死なない。逃げたやつは殺す。逆らったやつは殺す。助けを呼んだものも殺す。いいな?」


言葉を発することが出来ないくらいにみんな怯えていたし、その毒とやらのせいで喋りづらくなっていたのに男は答えを強く望んだ。


「静かだなぁ。わかってねーのかなー。返事はーー!?」


出しづらい声をひり出すようにみんなが無理やり声を上げた。まるでヒツジの鳴き声にも似たような、そんなくぐもった声が人間の口から出ていた。


それからどのくらいの月日が過ぎたのか“草の民”の人間は自由を奪われ、男達の奴隷と化すしか無かった。


しかし、塩売りは男達の予想にもあまり稼げるはずもなかった。


「約束とちげぇじゃねーかー!」


塩湖の事を言っていた男が元々“草の民”だった男を殴っていた。それはとても強くてその男はふっ飛ばされて、死ぬのではと誰もが震えたが、元々“草の民(カヌイハッタウ)族”だった男は怪我をしたものの生きていた。


そしてそれがキッカケで男は次の策を思いついたようだった。


「なに?まじかー。それを早く言ってくれよ兄弟。へへへ」


その日は面白そうに話をするだけで終わった。


次の日起きた時には地獄が待っていた。


『あそこにいるヒツジ、特殊個体のモンスターでして、俺のこの死ななかったお守りを造ったり出来る、まるで神の手のような金のなる木のようなモンスターなんですよ』


どうやって金のなる木になるのか、金のガチョウならぬ、金のヒツジにするのかを散々聞いたあげく、男は無慈悲にもそれを教えた男の首もすぐに跳ね、女子供ももう人手なんて要らないと殺し、ヒツジだけをもらって帰ろうとしていた。


しかし、期待(エスポワール)ヒツジ(ムトン)。ストレスで死ぬという特殊なヒツジ。


お世話をしていた人間の死。人間達の溢れるストレスな空気。飛び散った多くの血の匂い。


期待(エスポワール)ヒツジ(ムトン)の毛はその日までにもかなり黒くなっていたのに、追い打ちをかけられて、ヒツジ達までも、人間達を追うようにバタバタと死んでいった。


タイモの母も目の前でどんどん黒くなっていき、目の前で死んでいってしまった。


男達は慌てた。死ぬ理由がわからなかった。


金になる方法を教えた後に「でも実は、これを知っていないとダメなんですよ」と切り札として話す予定だった大事な大事な話の前に、元々“草の民(カヌイハッタウ)族”だった男の首は跳ねられてしまったのだから。


男は小さいヒツジを小脇に抱えて馬を走り出すしか出来なかった。タイモも母親の死を見続けていたら死んでしまっただろうが、運がいいのか悪いのか、男にその場を引き剥がされてしまって、ストレスがたまりきれずに死ぬことは叶わなかった。


「何かの伝染病じゃねぇだろうなぁー?」


遠く離れて後ろを振り返ると、ヒツジは小脇に抱えたその1頭を残して息絶えてしまったようだった。


「うげ」


血溜まりの近くに溢れる、ドロのような、ヘドロのような、黒い黒い、奇妙な黒い水溜りのようなものが草原に広がる様は、その男共でも恐ろしかったようだった。


「まだ、いける・・・か?」


男は黒いシミが比較的少ないうちに、塩を買ってくれる場所でこの小さいやつを売りつけるしかないと思った。


「ちっ金どころの話じゃねぇな。元々は単純な殺しの依頼だったんだから手を引くか。」


その場に捨てるのも悔しかった。変なプライドで男は近くの村で売り払うことにしたようだった。そして難なく売れた。近くの村にも、元々“草の民(カヌイハッタウ)族”を知っている人間はいたからだ。


男は「小麦粉のお礼に譲り受けたはいいが、飼うことはやはり無理そうだ」とウソにホントを混ぜ込んで話すと信じて買い取ってもらえたのだ。


タイモはそこで少なくとも数カ月は生きられた。


でもタイモはひとりぼっちになった。


あの男のせいで。タイモはそう考えていたけれど、真実は複雑だったが知る由もない。


売られた先の人間はお世話してくれたけれど、あの男達の“草の民”の惨殺がわかり、この売買がそれに関わっていたと知るやいなや、タイモを遠くの岩山だらけの国境付近まで行って捨てた。


買ったことを無かったことにするだけで、買ってしまった男は罪を逃れられるからだ。


タイモはまたひとりぼっちになった。


岩山まみれで草も生えない場所だった。


さらに日が過ぎた。そろそろ死ぬなと思った頃にどこからか来た鳥に空へと掻っ攫われた。


何があったのか、途中で大きな鳥がタイモを地面に落としてしまった。


気づくとそこは森の中だった。


「おんや?珍しいのがいますん?」


「おや?本当ですねぇ」


メスのタヌキとオスのキツネが近くにいたらしい。


オスのキツネが淡い光を纏って近づくとなぜかタイモの黒い毛が少しだけ白く戻っていった。


でもまたジワリと黒いシミが広がる。


特殊な生き物であるタイモは絶滅危惧種になってしまっていた。あの男達が現れてココに落とされるまでの月日で、本来なら大人のサイズに成長しているぐらいの日数が経ってしまっていた。


しかし発育不良でタイモはまだ少し小さめだったためか、キツネが世話をしてくれることになった。


でもどうしてもタイモとキツネの体の大きさやらが違うので、お手入れに時間がかかりすぎてしまっていた。キツネはヒツジよりも小さすぎた。


最初の特別な光は、タイモのお母さんのあの術のように、特別な力であまり沢山出来ないらしかった。


タヌキが提案していた。優しそうな人間の所に紹介したら、いきますか?と。


どうでも良かった。


生きているんだか、死んでいるんだか、タイモには今がよくわからなかった。


でもとってもやさしいオスのキツネに勧められた。


「私の娘を救ってくれた人間なので、保証しますよ」


共に生きることは知っている。


でも殺す人間もいることを知った。


しかし、モンスターを助けるようなそんなだいそれた人間はまだ見たことがなかった。


そんなのがいたら、とんでもない。


むしろ、そんなのが世界にいるのなら、あの日、あの時、あの場所を助けてくれれば良かったのに。


そう思ったから、とりあえず、会ってみることだけは希望した。


『タイモちゃん』


人間はとっても小さかった。どう見てもタイモと同じくらいか、更に小さい。


キツネの娘を助けたようには見えなかった。


今ではその人間の行動を見て、聞いて、お手入れをしてくれるのが、とても心地良い。


心にまだ傷は大きく残っているから毎日毎日思い出してしまうたびに、黒いシミが大きく浮き出てしまうけれど、あの子はすぐにブラッシングしてくれた。


傷は癒えないかもしれない。


いつかあの男を見つけて、恨みを晴らしに行くかもしれない。


でも、タイモは。


小さな女の子の為に“身代わりの雲”を造った。


母親との思い出の品を、造ったのだ。


「あたちもうひとりじゃないよね?」


『そうね』


「おかー・・・さん?」


タイモの母親の声が聞こえた気がした。周りには誰もいないし何もなかった。けれど。


「うん、きっと。」


女の子の手はいつだって“草の民”と同じくらいあったかく感じたんだから。


短編とか書くと、書きたかったものが思い出されて、「あ、そうだアレも」「コイツの話もまだだった」とかぽんぽん出てきてなんていうか


まだ全然書きたいこと書くの忘れてたなーって思い直しました。


ブックマークしてくれてありがとう。思い出すキッカケになりました。さんきう!


初心に帰ったというわけではないけれど、最近足踏みしてる感じのお話続きだったから、とっても新鮮でした。


最初の方の1文での「虫並みだとか」書いてる最中にでっけぇ虫が足元に来てめっちゃビビり散らかしました。皆様もお外で構想練るときもしくは考え事をする時は、周りに気をつけて下さいね。


暗がりだったからよくわからなかったけど、Gだったように見えた。めっちゃ怖かった。アイツに短命はあり得ないから、ホント怖い。虫よけ・・・虫よけ・・・ブルブル・・・


夏は気をつけて(真顔)



今回、首がぽんぽん飛んでしまいましたが、こういうのがお好みなら「悪役面したB級冒険者」(漫画、小説どっちもあるよ)とか「ギスギスオンライン」(漫画、小説どっちもあるよ)とか面白いよ(え?)

他にもあった気がするけど、思い出せないなぁ(謎の漫画、小説オススメしちゃう使命感。)


てなわけで、ショートストーリーは次回も続きます。次は誰のお話でしょうね?でもお祝いSSはは次で最後です。


次回は16日予定です。



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