第408話
書きたかった話。・・・まとめんの難しっ。
ごちゃごちゃうっせぇな!って言われそうwww
すみません。こんな話で。チート無双する話とは違うんですね。あっははは。
1日遅れてすみません。
秋なんてまだまだ先なのに、ミギィは今から新しいメニューを考えると言って本当に考え始めている。
レフティは知っている。ミギィはナエのことは嫌いではなかった。レフティ自身は単に兄なので、他人よりは知っているけれど、情があるかと言われたらまあちょっとは、ぐらいのそこまで深くもない間柄だと言える。
血が繋がっているからといってどこの家庭でも同じ関係性になるわけではない。夫婦だって親友だって元は血も繋がらない他人である。関係性とは積み重ねたものでしかない。相互的な思いの交差があってこそで、レフティにとってはナエはほぼほぼ血の繋がっただけの知っている人だった。
ミギィはナエと夫婦になった。レフティはミギィは親友ではあるが、そこだけは理解しがたかった。
レフティもミギィももう何年もナエとは会っていなかった。ナエが去っていったからだ。追うことなどしなかった。別に後悔などしていない。
だけれども、少し会っただけでわかってしまった事がある。ナエは昔と変わってはいない。いや、むしろ少しだけ悪くなった気もする。少しバカなことをしでかしそうな、そういう綱渡りするような、ハラハラとしそうな、危うい感じ。
昔からナエにはそういう感覚が見え隠れしていた。今回のネズミの騒動の端々になぜだかそういう感覚があったのだ。ミギィもきっと感じていたんだろう。
この世界には魔法もあるしスキルもあるけれど、ミギィもレフティも索敵能力については皆無だった。なのになぜか今回はナエが関わっていると感じたのだ。
よくわからない。雲を掴むような話でしかない。
「嬢ちゃんには、俺たち騎士団が礼を言っていたと伝えて置いてほしい。騎士団からの謝礼の感謝状と金一封が出る予定なんだが、2人に渡せばいいか?」
レフティがもんもんと考え事をしていたら、ユーグリッドが大事な話だと返答を待つ会話を持ちかけてきた。
「アタイらの謝礼も含んでるんだべ?」
「入ってないが?」
「あ”?ケンカ売ってるべ?」
「んだコラ、貢献度が違いすぎんだよ。」
阿吽の呼吸でメンチ切りを秒でかます2人を見ていると、ユーグリッドとレフティは実は親子なのではと思ってしまいたくなるくらいには、羨ましくないくらいに息ぴったり。
「嬢ちゃんだけじゃなく、犬とかネコとか、嬢ちゃんがテイマーとして動いてくれた分も加味して・・・」
「テイマーじゃないべ」
「・・・ん?違うのか?」
ユーグリッドの喋りを被せるように遮ったレフティの言葉には軽さが少なくいつにもまして真剣さが伺えてユーグリッドはその態度によどんだ。
「本人も言ってたし、テンクウ達に聞いてみるとええべ。んだから、もし感謝状とかぐれるって言うんなら、そんあたりは訂正してほしいべ。」
「いやぁ、大したことじゃないだろう。テイマーかテイマーじゃないかだなんて。」
「あのぉ」
「はい?」
レフティの話に一切割り込んで来なかった静観していたはずのスミコットが手をあげていた。
「それは“騎士団の総意”ということでしょうかぁ?」
ユーグリッドはドキリとした。別に総意ではない。けれど、騎士団の上層部との話し合いで感謝状などを送る事を決めた。ある意味総意ではなくはないとも言える。
しかし、なぜか今ここでそれを言うと、頭と胴体が一瞬にして離れてしまうような強烈な殺意に似たなにかが発せられたような、このよくわからない空気に言葉がでてこない。
この中では誰よりも温和そうなスミコットから出た言葉は、たった一言だ。レフティのようにケンカ越しのような態度でもない。ただその言葉の真意が知りたいだけといえのもわかる。
しかしながら、この言葉には言い表せないくらいのこの空気の重さはユーグリッドは予想していなかったこともあり、身動きが取れなくなってしまった。
モンスターを退治したほうがまだマシであるとさえいえる。人とともに剣や魔法で戦うほうが気が楽である。騎士団として。
言葉につまってしまったユーグリッドを見かねて、続けて発言したのは、結局のところレフティだった。お優しいことである。
「テイマーとしてとかじゃなくって、人として、個人として感謝するってなら、受け取るべ。」
「そ、そうか!」
受け取るという言葉を聞いて安心した顔を浮かべた。しかしそこで話は終わりではない。
「んだけっど、さっきも話に出てたんが、モナちゃんが街に持ち上げられている現状をどうにも出来ないって言うんなら、そういう類いのものは貰っても更に困るだけだから要らないべ」
「っ・・・」
「そういうところを話し合ってから来るべきだったべ?コレだから浅はかだっつってるんだべ。」
とどのつまり、その“感謝”とやらはこの今の街にたいしてと、その対象にたいして、配慮無しに、なんとなくコレでいいだろうを上澄み掬くって相手に差し出そうとした形であることに、ユーグリッドは気づかされることになる。
「持ち上げるってことは、ユーグリッド自身はこの街はまた“テイマーの街”としてまた成り上がって欲しいと思ってるって事でいいんか?」
「え?」
ミギィかレフティの言葉の解説をする。
「つまり、“モナ”という女の子を神輿に担ぎ上げて、前の領主と同じ政策をとるのか。ってことだべ?まあ、ユーグリッドに取っちゃ、アタシらと違ってテイマーの街として見てきた目線が違って、楽しかった日々が多かったと思うけんどな。・・・ん?やっぱりコレ、アタシが年取ったから出てくる老化苦言じゃないべな?」
解説しつつ、キッシュの生地のから焼きが終わったようで、焼いたキッシュの器部分がのったままの天板を台に乗せて、台に用意していた卵液をハケで塗りながらおどけて見せた。
「ちゃうちゃう」
「ふふふ〜」
「ん。」
ユーグリッドが本当にその辺りをなにも考えず、ただただ「今回騎士団の助けになった」という1点のみにおいてしか見ていなかったことを痛感した。配慮にかけていたと気付かされた。
ユーグリッドが驚くということは騎士団団長も特に何も言っていなかったととっていいだろう。ということはだ、団長も気づいていなかったと思うという結果が導き出される他無い。
「この話は・・・・持ち帰って、もう一度話合うことにする・・・します。感謝状は、嬢ちゃんの家族他、騎士団に少しでも手伝いをした人間に幅広く手渡すようにするように、意見してみる・・・みます。」
(圧。が、和らいだ気がする。)
ユーグリッドは独りごちた。
当事者じゃないと気づかないことというのは否応にも世の中にご満とある。今回は見知った仲だから苦言を聞くことが叶ったけれど、騎士団として相対するのはそういう人間ばかりではない。
いつの間にやら、足元から人の信頼が崩れて足場がなくなっている、なんてことにならないようにしなくてはいけない。ましてや、王都から離れた1つの地方の小さな街である。
ユーグリッドが街の人達を信頼していないとか言う事でもないし、街の人達も騎士団になにか思うところは、今のところないように思う。
無いウチが花だ。あると気付いた時には終わるかもしれない。無知とは可愛い。そして無知とは、爆弾である。
ユーグリッドがなにかを学んだのであればと、今ここにいる面々は思う。
(それにしても・・・)
視線を横にズラすとミギィがキッシュの具材を入れて2度目の焼きに入ったようだった。焼けたら出来上がりだ。冷めないうちに食べるのが1番美味しいが、冷めても美味しい。
(モナちゃんが言うにはユーグリッドは死んでいる可能性があっただとか)
モナちゃんがこの街に現れてから奇妙な事がいくつも起こっている。事件も多い。なにかを知っているようにも見えるし、なにも知らないようにも見える。あの女の子が大人だという。信じたけれど、全てを信じるとなるとひとつ気になる事がある。
彼女は、モナちゃんは、“テイマー”という職業になにか思う所があるようにしか見えなかった。
もちろんこの街は“テイマーの街”として機能していた期間がある。しかし、それで潤っていたとは言え、この街の人間であるなら誰でも知っている。
あれはハリボテであると。もしくは砂の城。そこに巡ってきたお金はどうなるのかと問われれば、溶けて消えると誰もが声をそろえて言う。
モナちゃんもこの街のようになにかを無くしたのだろうか。それなら同士である。今度キチンと時間を作って聞かなければならない。なにかしらの分かり合える話をしよう。腹を割るということはそういうことだ。
“再興”はこの街の永遠のテーマになってしまった。
訪れるかもしれない。そうしたら手をいくらでも貸す。訪れないかもしれない。それもまた一興。自然消滅?どんとこい。
前の領主のやったことの大部分は結局のところ、この街をこねくり回して荒らしていっただけともいえる。
ユーグリッドが帰ると言うので従業員出口まで送る。
帰り間際に急に思い出したと言って、これもモナちゃんに伝言して欲しいと言われた。
聞いたところで首を傾げるような事だった。
「テイマーの街じゃなくて、モンスターの街にそのうちなりそっだなぁ・・・」
レフティは頭をかくしかなかった。
ユーグリッドは巨体だし顔が怖くていかついし騎士団副長っていう立場ではありますが、クマ獣人なので若いです。
♣♣♣♣♣♣
衰退していく街。
過去の栄光と言えるような盛り上がったテイマーとしての街。
吟侍も何もなくぶら下がっていただけの人々。
復興とは過去を繰り返し行うことなのか。
それをモナという少女に背負わせるのか。
前の領主はやり方はまずかったが、手腕はあった。
一石を投じるのはそこであっているのか。
♣♣♣♣♣♣♣♣♣
ってお話でしたね!(漫画の柱部分まとめみたいな文になってしまった。目そらし・・・)
街の人達は別に逃げ腰だとか、弱気になっているわけではありません。むしろめっちゃパワー有り余っています。が、『持ち上げること』はしますが、『盛り上げること』は基本的にする姿勢ではないです。\\できるけどしないよ//うぇーい
手はかせるけれど、新しいものを作り上げるのは今後の事を考え、若い人がやるべきだと思っています。上が何やっても結局、上から押しつけているだけになり根付かないと分かりきっているからです。人生経験の差だね!
でもほら、若い人っつっても、幼児は無いっしょ!って事です。家族一丸となってたまたま幼児も居たよ〜と違うんですよね。幼児がわからないからってそれを街興しにっていうのは、リスキーなギャンブラーなんだよ〜って。
ここは異世界。何があるかわからない世界。魔法もスキルもあるんだよ。
そういう話の一端でした。
◆ストーリーの中に「ご満とある」と記載しました。「ごまんとある」という言葉はもともと「五万」もしくは「巨万(きょまん、が後々、ごまんに言い方が変化したバージョン)」の漢字の2パターンがあるらしいのですが、この「ごまん」には「いっぱいある」「沢山ある」とかの意味が詰まっているらしいんですよね。でもこのストーリー上「五万」も「巨万」も流れ的に違う気がしまして、ひらがなだとなんだか書き間違えっぽく読めてしまう気がしてどうしても字面を漢字に当てたかったので、「ご満」にしています。あえてです。あえて。
●「満」
①みちる。みたす。みちたりる。いっぱいになる。「満腹」「充満」 ②ゆきわたる。すべて。全体。「満開」「満天」 ③ゆたか。「満悦」「円満」 ④年齢がちょうど。「満十歳」
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無量大数だとか阿僧祇とかそういう大きな数字的な使い方が「五万」だとか「巨万」だとかだと思うんですけど、ここでは『あるのか無いのかも不明』なものでもあるんで「満」でもいいかな、と。
漢字の使い方もさ、小説上は正しいより字面で伝えたい事が伝わりそうな方を当てはめても良いのかなと思う時があります。ありません?あります。
完全な間違いは正さなくては行けないかと思いますが、結局のところ創作活動なんてゆるくて楽しくしてなんぼのもんじゃいと思うんですよね。サブカルクソ野郎かもしれない。ふへっ
ウィッチウォッチ面白いよウィッチウォッチ。(唐突)
あとがきめっちゃ長くなっちゃったけど、次回は・・・次回はぁ・・・
少し間をあけます。すみません。27日予定です。