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第407話

「お邪魔します。」


「ハジー、すまんけんど、お茶出してやってくれ。」


「うす。」


「って嬢ちゃんは居ないんだっけ?」


「モナちゃんは家で昼寝中だよ。」


「そーか」


従業員出口からレフティとユーグリッドが入ってきた。プントと違って立ち話するには長くなりそうなのでと、中に入れてもらった感じだ。


「あらユーグリッドくん、こんにちわー」


「こんにちわ。変わったことなど無いですか」


「そうねー、やっぱり少しと言っていいのか反応があったわぁ。」


スミコットが挨拶ついでに今日商店街でモナちゃんが握手求められるという事柄を話聞かせた。


「俺の所に来た話と齟齬(そご)がないな」


「あっても困るべ」


「口伝ってズレるんだ、そういうのこっちでは気にするんだよ。仕方ないだろう。そうじゃなくても、書類にしなくちゃいけないんだから」


「あー、そっだら面倒だな。ていうか、ユーグリッドそんなん良くできっな、感心するべ」


「通常業務だからな、ババア」


「あ”?」


「んだよ?」


「あらあらまあまあ、2人ともケンカしないでね」


とか言っていたらハジーが飲み物を全員分運んで、客席にやってきた。レフティとユーグリッドとスミコットの3人で客席の一部で話し合いの所に、ミギィもハジーも仕事がひと区切りついたので、一緒に話を聞くようだ。


「感心しだっつっただけだっつーに、ババア呼ばわりでケンカ越しなんわ、あっちだべ」


「いつも通り呼んだだけだろうが、今更イラつくとか、ビビるわ」


「・・・そういやそうだな。なんか今日に限ってババアって聞きたくなかったんだべ。すまんな。んで、なんだっけ??」


「ざっくり言うと、騎士団のほうで取り扱っている街に関しての最新の情報のほとんどがモナちゃん関連に染まっているぜ」


「あらぁ」


「なるほど、詳しく。」


「ああ、えっとな」


ひとつ、モナちゃんが特別な力を使えるということで一部の人間が沸き立っている


ひとつ、箝口令(かんこうれい)とかを敷いたところでもうだいぶ 噂が広がってしまっているので止めようがない


ひとつ、ウワサの出処は自然と広がってしまっていて悪意のあるものではないというのが唯一の救いというべきか、悩むところ


「今日も若い子が握手をねだるなんてなぁ」


「天使とか言っていたらしいべ」


「この町の神様もタジタジよねぇ」


「神様とか天使とか言えば神殿の方でモナちゃんは倒れたらしいじゃないか。その時に新しい力が生まれたとかなんとか言う話も聞いているんだけれどそのあたり、どうなんだい」


「何を言ってるんだ。噂話だろう?」


「普通力の固定ができたり、スキルや魔法が己のものになるには8歳頃が目安だと言われている。モナちゃんはまだ5歳」


「もし今それが使えたとして、その力は あやふやなものでしかないから消える可能性が高い まるで霧やかすみのようなものだ。」


魔力だとかその辺りが安定するはずがないとみんなが思っている、“ソレ”はそういうものだという認識のものだった。


「でも色々な人が見ている中で使った魔法はかなり固定されていたと思うべ。歌を歌っただけでその力を発揮できるだなんて あまり聞いたことがないが、あれはかなりのものだとおもうべ」


「あまりということはそれに似た 何かはあったんだろう ?そういうことにしておけばいいんじゃないか」


「それに似た何かというのは いわゆる魔法詠唱のことでしょう?魔法詠唱を使うのはある意味、魔法の教本、こうすればこうなりますよ〜という指針を表したものを簡単にかいつまんで教えたものが魔法詠唱という形になるわけよね?」


「んだべ。魔法詠唱は別になくても 魔法は使える 魔法という概念が脳裏に焼き付いていれば 一言も発さずにイメージだけで魔法を使うことは可能であるんだ。ただしな、そうなると思い浮かべただけで発動してしまうんで、どうせだったら詠唱などではなく、言葉をひとこと発するだけで出てくるというのが一番使い勝手のいい、魔法やスキルの使い方であるというのが最近の魔法などの使用方法の基礎となっているかんじだべ。スイッチだとか、呪文って言われるやつだべ」


いわゆる モナが使っている一言発すると魔法やスキルが出てくるというのに当てはまる。“愛似移動友(あいにーどゆー)”とかそういう類いのものだ。


「そういう細かいこたぁ、結局広まろうと大した効果はない。」


「そうよねぇ、“一見の魔法、口伝に通じず”って言うものねぇ。見た魔法のサイズとか威力なんて、ウワサではなんとでも言えちゃうのが魔法の悪いところよね。魔法って常識が通じない部分も多いからぁ、妄想でも挟まれちゃってもあんまりわからないものねぇ。」


いわゆる現代日本で言う“百聞は一見にしかず”的なこの世界でのことわざだ。


“一見の魔法、口伝に通じず”は子供によく言い聞かせる言葉でもある。「あの人の魔法大した事ないよ」「アイツのスキル凄いぜ」この片方が冷静に判断した結果のセリフで、もう片方が大仰に言い放ったテキトウな言葉だったとしよう。


しかしそれをどちらとも聞いて、どちらが冷静に話した本物か、大仰に言い放った嘘かは、「あの人」や「アイツ」の魔法やスキルを実際に見たわけではない。


“結局は実際に見ないことには分からないことだらけだよ!”と言うことを教えることわざである。


「目撃者が少なかったら、もう少しどうにかなったとは思うんだけどな。アンドレ様やディオ様みたいに。」


ユーグリッドがあきらめ半分といった感じで言い放つ。


「ん?そうか、そういえばプントはなにも言っとらんかったけど、ディオ様達も活躍してたんだっけか?」


「そうよぉ、ナカバちゃん達を見つけてくれたのはアンドレ様達って聞いたわぁ、ね、アナタ」


「ん。だから、そっちと相殺してウワサ、少なくなると思ってた。」


ハジーは特に対策をしなくてもと思っていた。その根拠が騎士団達が大きく動いていた事と、モナ以外にも外部の功労者がいた事、つまり、アンドレ・ディオ達のウワサも大きく広がるから“色々な人が奔走したんだな”と、前回のサルの事件同様そこまで1個人に目を向けられることはないと、思っていたのだ。


ハジー筆頭に、ミギィとレフティも同じ思考だった。そして話していて、ミギィは気づいたことをユーグリッドを見つめつつ口にした。


「これはあれか、結局そっちの不手際ってやつじゃないか?」


「・・・・すまない。アンドレ様、ディオ様のウワサについては、騎士団でウワサが広がらないようにさせてもらっている。お嬢ちゃんのウワサの広がりの早さに拍車をかけているのはきっとその反動だろう。すまない。」


相手は貴族・・・というか、ココにいる面々は全員、ディオ様、アンドレ様が王族だということはわかっている。


騎士団だってこの街に居るけれど、大枠で考えると国に雇われている身分に他ならない。


「あまり大ごとにしてしまうと、療養目的に2度とこの街に足を運べ無くなるだろうと言う話になってな」


どの先を見据えたのかまでは分からない。街に入る未来のお金事情か、それとも領主とつながる予定のディオの次に来る時の騒ぎを抑えるためか。可愛い理由だったらとついぞ誰もが思ってしまう。例えば“次に来た時にともだちであるモナに会えなくなる”と、アンドレやディオがそう告げていた、などと言っていたのなら、と。


そんな可愛い理由は、政治にはない。騎士団が動いているということこそが、もうそれ自体でかわいくないなにかが打算で動いていると思っていい。


ミギィもレフティもため息しか出ない。もし、モナが勇者とかに関わりのある特別な存在だったと確定していたら、更に持ち上げられている可能性もある。


今のこの現状がまだマシだと思うべきか。まあ、持ち上げられて天使なり使徒様なり言われているだけまだいい方なのかもしれない。あの小さな体の持ち主が、人の皮を被ったモンスターだと言われ、迫害されるということも、この世の中には無くはないだろう。


今回は好意的に見られたことが多かっただけ。周りにいたモンスター達が動物に近いものが多かったのも作用しているように思う。見た目というものはなんだかんだ言って、それだけで敵意を削いだり、勝手に好意を抱くものだからだ。


一説によると、赤ちゃんが愛らしいのは、“育ててもらわないと生きていくことが困難なため”生まれた時に本能で辺りに“可愛いから構って”と訴えるために、可愛らしさを身に着けて生まれるという説がある。


つまり、モナは現在“5歳児”という状態のお陰で多いに周りから好意的な目で見られやすい状態になっている、といっても過言ではない。


(大人だとか言ってたけんど、ミギィには自分で明かすっつってたのは今夜話すんかな)


まだレフティは半信半疑だ。一応話は聞きはしたけれど、まだモナが大人になったところを見てはいない。嘘は言ってはいないとは思うけれど、その“5歳児”というある意味好意を向けられやすいというアドバンテージを捨ててまでの事なのか、それを見たとして、態度をどう変えればいいのか、レフティ自身整理がついていない。


落ち着いた時にモナちゃんに頼んで、見てから決めようと思っていたのに、なんだかそれどころではなさそうだ。


(ミギィはミギィで料理に没頭したくなるくらい、落ち込んどるし・・・)


「そういえばぁ、テンクウちゃんがネコ達が頑張ったんだよってお話聞かせてもらったんですが、その板だか、石だかのなんかこう、でかーいやつからは今回の犯人の目星ついたんですか」


スミコットが話題を急に変化させたのは、ビャッコ達がやった壁に研究内容が書き示してあったもののことだ。元ダンジョンの壁を丸ごと外に排出したものだ。


「ああ、あれはかなりヤバイ情報の塊だった。詳しくは話せないが、残念ながら犯人特定までにはならない代物だ。」


犯人は分からないがヤバイもの。新魔法製造とか爆弾とかの製造方法ならよく事件があったという話はウワサとかで流れてくる。つまり、そういう類いのものだけれど、まだ聞いたことのない系のことなのかもしれない。何がどうヤバイのか、ユーグリッドの感じだと全然わからないけれど。


細かい部分は発表されることは当分無いだろう。騎士団の内々で処理される案件だ。


しかし ミギィ と レフティーは気づいている。そこに、そのなにかヤバイと言われるものに、ナエが関わっていること。


ミギィが料理に逃げたのは元夫であるナエが逃げ切ったと知ったからだろう。


逃げずに捕まってしまえばよかったのに。いっそのこと、亡くなってくれても良かった。ナエは悪い男では無かったが、質めんどくさい男であったのは確かな事実だった。


ナカバが大勢と人口的な洞窟に囚われた、その件だって、ナエが関わっているに違いない。


騎士団が多くいるテント集落状態の場所にいれば、うっかりなお喋りを聞いてしまうことなんて簡単にあり得る話なのだから。


ユーグリッド「結局日付越えた!ばかかお前」


作者「家のWi−Fiが不調だったみたいで、色々大変だったんだよぅぅ!」


モナ「ユーグリッドさん、大人げないよ!作者もきっと頑張ったんだよ」


作者「異世界異世界のデータが消し飛んだり、なろうがよめなくなったり大変だったんだよう」


モナ「ギルティ」


ユーグリッド「ほらな」


テンクウ「ぎるてぃ??」


レフティ「知らんほうが良いこともあるべ」


ミギィ「んだんだ」




なんかもう家の家電とか最近何から何まで不調なんです。私含め。家ごと私含め死亡フラグしか無いんだよ。もうなんなんだーーーー!私しぬのか・・・??ぬう・・・。めそめそ・・・・。


“一見の魔法、口伝に通じず”はこの作品のオリジナルことわざです。


次回は17日予定です。

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