第405話
「ええっそんなにかい?」
「そうだったんですよぉ」
レフティさんの大きな声が響いた。スミコットさんがさっきの説明をしたからだ。
「モナちゃーん」
「モナママ、おかえりー」
「モナ!なんか買ってきた?」
「テンクウちゃん、フテゥーロちゃん、スズちゃん、ただいま〜。さんにんでなにしてたの?」
「中にいるの飽きちゃったからお外ポカポカだったから寝てた!」
テンクウちゃんが答えてくれた。
スズちゃんは一応離れられるようにはなっているけど、え?他の子と同じくスズちゃんも寝てたの?守護霊じゃなくて精霊になってるとはいえ、寝る時は私の中に戻るイメージだったんなだけど・・・。
まあ、テンクウちゃん達もモンスターだし、実は寝なくても大丈夫らしいから、そう考えるとスズちゃんが具現化したまま寝れるのは普通のことなのだろうか?あるぇ?
「え、そうなのかい?」
スミコットさんとまだ話中のレフティさんの声がまたひびいた。
「ミギィ!どうする?」
ん?私の事の話とはまた別の話なのかな?聞いてみるか。
「スミコットさん?レフティさんはどうして慌ててるの?」
「あぁ、あのね今日集会があるのよ〜」
「んだべ、うちからもミギィかアタイのどっちかでにゃならんべ。今夜って急だなぁ。んして、急に集会だなんてなぁ」
「んだっけ、わっかりやすいべ?ジジイ共が言ってたんだろ?夏祭り中途半端になっちまったって。」
あぁそういえば、スミコットさんが出会ったおばちゃんと会話してた時にそんな事言ってたような気がしたな。
ウエさんともそういう話してたような。うーん。話をちゃんと聞けてなかったからな。主に、キジンさんが気になったのと、自分の考え事のせいで。
「どうするべ?」
「アタシは明日の朝は外したくないからな、レフティ行ってきて欲しいべ」
「そーいうと思っだ。んだら、明日の昼のまかないは豪華にして欲しいな」
「そんなこっていいなら、いぐらでも作るべ」
「あ、でも明日からまた騎士団の弁当始まるんじゃなかったか?食べる時間あるがなぁ」
「んだべ、それもあっがら、あんまし遅くに帰りたくないべ」
集会出るとそんなに帰りが遅くなるの?集会後に飲み会のあるタイプの集会なのかなぁ。
「明日の配達ぐらい私と旦那で行きますよぉ」
「ん。」
「2人もどっちかは集会出るべ?」
「うふふ、私達はいつも早抜けさせてもらえるんですよぉ。」
「あ〜、アタイも早抜けしてみてぇべ」
「あらあら、今回からモナちゃんが家にいるからって言えばきっと早抜け出来るようになるかもしれませんよぉ」
「その手があったべ!な、レフティ!」
「うーん、あのジジ共はなぜかアタイ達気に入ってるかんなぁ。利くかどうか半々ってとこだべ?押し切りがうまいんだよなぁ」
「何言ってるんだべ、レフティが押しに弱いだけだべ?」
「うっ、・・・そうとも言うべ・・・うーん、また祭りどうにか再びやるってのは難しいと思うけんどなぁ」
ははは、レフティさん意外と年上の人達に囲まれるとタジタジになるタイプだったんだね。優しいというかなんというか。
きょとんと大人みんなの話を聞いていたけれど、気づいたら足元にビャッコくんとその仲間のネコさん達が足元に来ていた。
「にゃあ!あのあの!」
「おわっ」
「きゃっ」
「どうしたの?えーと、こ、コエキちゃん?だっけ?」
ネコさんいっぱいで、誰だったっけってなった。
「はい!間違えてませんよ!コエキです!あのですね!お祭り、またやってくれるんですか?」
目がらんらんして尻尾がびびーーんってなってる。ニコニコである。こ、これはかなり期待してる質問、だよね?
「んだな。アタイ達は金銭の問題もあって無理だと思うけどねえ」
「む、無理ですかー。ちえー。」
明らかにガックシーーって感じなお猫サマ。隣のビャッコくんはそれ見て呆れ顔。んん?
「コエキちゃんってお祭り好きなの?」
ビャッコくんに聞こうとそっちに質問したつもりだったのに
「そーーーうにゃんでーーーーす!!」
帰ってきたのはコエキちゃんの大声。と、思ったら、ムンズとビャッコくんとコエキちゃんを首根っこつかんでレフティさんがそこから1番近い従業員出口、いつもの裏手にぽーい。
「はいはい、そろそろ仕込みの続きするからお喋りすんなら一旦お外で会話だべ。」
テンクウちゃん達も私もスミコットさんとレフティさんもビャッコくんコエキちゃんとお仲間ネコさん達も裏口に出てきた。
仕事場に残っているのはミギィさんとハジーさんだけだ。いや、でもぽーいって急にヒドイのでは?とか思ったけど・・・
「ネコがテンション上がったら室内で飛び跳ねて皿とか割る可能性があるべ。」
「そんにゃこと!」
「コエキならやりそう」
「そだなー」
「・・・かも」
「否定できないナァ」
「みんな味方じゃにゃかった!?!?んえーー!?」
ネコさん仲間からレフティさんの言葉を肯定しちゃう言葉が並んでしまった。オゥNO。
「コエキはフェスティバルキャット、お祭り猫だからお祭りってだけでテンションバク上がりにゃ」
「今回お祭りが中断した時の怒りっぷりは怖かった。にゃんせ、ネズミ狩りまくりだったにゃ」
いやまあ、それはありがとうだよ。活躍したってことだもんね。
「んでももし、またお祭りするってなったとしても、こないだの規模は絶対出来ないよ。かなりこじんまりしたものになるべ」
「そうよねぇ」
「大きさはどうでもいいのにゃ、お祭りがあるだけでそれでフェスティバルキャットは浮かれるのにゃ」
と、解説ビャッコくん。
「んふふーー!」
コエキちゃんはビャッコくんの説明にご満悦のようだ。
「・・・うーん、喜んでるところ悪いけれど、出来ない可能性の方が高いからね?アタイもやる気はないし。店も再開するし、祭り期間はいつも日程開けておいてるけど、それ以外はなかなか暇がねえ」
「色々な人が関わっているから、お祭りって簡単には出来ないものねぇ」
「がーーん」
レフティさんもスミコットさんも口々に言っているけれど、それはきっとどこでも言える話だ。毎日生活があるし、お祭りって大勢が関わることだからね。コエキちゃんはかなりがっかりしている様子だ。仕方ないとは言え、なんかかわいそうだなぁ。
「もし、もし、出来るようになったら、是非、教えてくださいにゃぁぁ」
「あっ待って」
「ナァー」
「・・・ん」
「ばいにゃー」
「行っちゃった」
嵐のようにネコさん達は去っていった。おやつの時間だし、もう手伝える事は無さそうだから家に帰る事を勧められた。スミコットさんもミギィさん達の家でお茶してから帰ると言って、私たちとおやつをしてから帰っていった。
少しの間だけミギィさんもレフティさんも居ない状態だ。いつもはここでまだ遊ぶんだけど、今日は夜にこっそり会議で夜更かし予定だから、少しだけお昼寝することにした。お昼寝にしては少し遅い時間かもしれないけれど、会議のためだから仕方ないよね。
今夜はレフティさんも集会で出かけちゃうし、ミギィさんは明日のためにすぐに寝ちゃう予定だし、今夜のこっそり会議はがんばるぞー!
ベッドに横になったら、商店街にお使いに行ったのも相まってかすぐに寝ちゃったのだった。
次回は、10日ぐらいの予定です