第404話
更新1日遅れましてすみません。
ウエ商店でミギィさん達から頼まれた追加の買い物と、スミコットさんと私の別個の個人の買い物もして、商店街の帰り道。と言っても、スミコットさんが私への計らいで同じ道を戻るだけなんだけど。
「単純な道筋でも、覚えていて損は出ませんからねぇ。まだモナちゃんは小さいけど、お使いを1人でって可能性もあるから、覚えてね」
「はーい」
「まあ、可能性ってだけよぉ。ほとんど私かナカバちゃんとか、ちゃんと付きますからね」
「商店街は何度も来てるからひとりでも大丈夫!」
多分。
「うふふ〜頼もしいわぁ」
「へへへへ〜」
多分。
いや、だって5歳児の体だからなんだかんだいって体力ナッシングなんだよね。ここの商店街だだっ広いから、遊んだあとにお使い頼む〜なんて言われたら疲れ果てそうだし?
あ、でも、今日来なかったテンクウちゃん達みんなと一緒だったら、テンション的な問題でワクワクドーパミン的なの溢れてキャッキャウフフで大丈夫そうかも?
タラレバ想像じゃなんとも言えないから、そんときゃそん時で考えるしか無いな。うんうん。
「あのぉ!」
「ふぇいほー!?」
びっくりして驚きすぎて変な声出ちゃったよ。って、誰?
「あなたがモナちゃんですか!?」
1人の女性というか少女というかナカバちゃんとリネアさんぐらいの女の子が声をかけてきた。高校生ぐらい。
モナちゃんだけども??
「そーですけど??」
きゃあっって声が上がった。なんじゃい?ええっとぉ??
その女の子の少し後方に同じ年くらいの別の女の子達2人がいて『いけー!』『がんばっ』って謎の応援している。どゆこと?
私がポカンとしてたらスミコットさんが、ずずいっと前に出てくれた。
ウィーアー保護者・スミコットさん。
知らない女の子達だし、いっそのことスミコットさんと私で親子ごっこでもかましたらタジタジして居なくなるんだろうか。
『ママァ、怖いよぉ』って演技してみた私を想像してみた。・・・・ナイな。なんか後で黒歴史として落ち込みそうな気配がする。やめておこう。
スミコットさんが多少のママみがあるとかそういうことは端においとく。
女の子達はスミコットさんの少しばかりの圧にタジタジしていたけれど、私が考え事していた間にお話を済ませたらしい。スミコットさんがオッケー出すぐらい大したお願いじゃないみたい。
で、何するって?
「握手してください!」
ほへえ。私はいつからアイドルに?
とりあえず握手くらい軽いものだよ。サッとちんまいおてて出したら恐る恐る握られた。
むしろ握ってきた女の子のほうがさっさと手を離してしまって、私のほうが、え?その程度でいいの?もっと握手長くてもいいよ?ってくらい、すぐに手が離れてしまった。
握手したら、握手したで、女の子がきゃあっって黄色い声。ついてきた後ろの女の子2人も『わ、私達も握手していいですか?』って便乗。
スミコットさんも私に申し訳なさそうな顔してみてくるけど、握手くらい別にどうってこと無いよ。変な脂ぎったオッサンとかじゃないし。女子高生ぐらいの若くて可愛い子達だもん。
なんていうか爽やかな青春な空気をこっちにまでくれるような、そんな握手くらい別にどうってこと無い。
とか思ってたらスミコットさんがこっそり私に耳打ち。
「モナちゃん、変なことされたりしてない?大丈夫?怖かったらいつでも言ってね、再起不能にさせるハンマーをいっぱい手作りするんだから」
女の子の爽やかな空気が飛散するくらい、スミコットさんが意外にも物騒だった件。こわっ。
「あの!」
「へぇい!?」
なんというか女の子とタイミング的な相性が悪すぎるな。また変な声出しちゃったよ。
「握手ついでに、あの、えっと・・・・力を注いでもらえませんか!?」
へ?なんて?
「パワーです!天使パワー!」
めーーーっちゃキラキラした目で、女の子3人に見つめられても意味わからん。ええ・・・。困惑・・・・。
その感情が伝わったのか、スミコットさんがまた女の子達と私の間にサッと入ってくれた。
「ごめんなさいね、握手はいいけど、それ以外はご遠慮してほしいわぁ」
「あっ、そうですよね!図々しくてすみませんでした!」
「握手ありがとう!」
「頑張ってね!応援してます!」
「はーい」
女の子達はスミコットさんが1言いっただけですんなりと諦めて、ニコニコしながら手を振りながら帰っていってくれた。悪い子たちじゃなかったと、思う。うーーん??
何を応援されたんだ?アイドル活動なんてしてないぞ?アイカツ!アイカツ!なんて叫んで走り込みした記憶なんて無い。この辺にパラ宿だって無さそうだし、大体、なんで天使パワー?
頭にハテナ飛ばしてたけど、スミコットさんがともだち食堂に早く帰りましょうって、手をつないでくれたもんだから、歩き出した。
女の子達は帰っていったけれど、その商店街の帰り道、商店街のオジちゃんおばちゃん、若い子などなど、商店街で働いている人達がこぞって手を振って「こんにちわー」とか「めんこいねぇ」とか「ありがとねぇ」とか「今度うちのお店寄ってねー」なぁんて私に向かって声をかけてきた。
シャッター街とは言わないまでも、閑散としてそうだったお店がポツポツあった所も、今日はそこから人が出てきていた。主に私を見るために、というように見えた。
私イズぱれーど?みたいな?
お礼とかの声掛けが私にはよくわからなかった。商店街から抜けるまで、スミコットさんも苦笑いしかしてなかったし。
商店街を抜けたらスミコットさんが説明してくれた。
「ネズミ退治お手伝いしたでしょう?こんな小さい子が凄い魔法使ったって、騎士団の人達が称賛してたのを聞いたり、たまたま避難していた商店街の人達が見てたりして、あっという間に噂になってるみたいねぇ。まさかこんなに大勢に囲われるとは私達も想定外だわぁ。困ったわぁ。レフティさん達もここまでとは思ってなかったわよぉ・・・。」
スミコットさんも頬に手を当てて困り顔だ。まあ、そりゃあレフティさん達がこんな商店街の状態を知ってたら私は送り出さなかっただろうなぁ。
骨とスネ亭の店長さんも、声はかけてこなかったけど、私を見に出てきてはいたなぁ。噂の子供が私だと知って、麺スープの開発の話とか出来なくなるのかなぁ。あの店長さん嫌いじゃないんだけど、もし態度がガラッとかわっちゃったりしちゃったら、がっかりだなぁ。
「うん、こまったねぇ」
やっぱりフテゥーロちゃんぐらいは癒し枠として連れてくれば良かったかなぁ。なんか、早くみんなに会いたいな。スズちゃんはどこでもすぐに呼び出せるはずだけど、呼んじゃおうかな。でもすぐにともだち食堂には着く。
大事じゃないから呼び出すのも違う気がしてしまう。大した時間じゃないはずなのに、なんだかモヤッとして少しの時間が妙に長く感じた。
次回は4月6日予定です。
テンクウ「モナちゃんて、天使だったの!?」
ビャッコ「あほか。人間だにゃぁ」
フテゥーロ「モナママ!ぼくわたし、呼んでよかったのにぃ!」
スズ「スズね、モナと繋がっててモヤモヤも感じるの。呼んでいいの!なんで呼ばないのーー!もうっ!」
優しい世界なのです。