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第401話

シターズパン店から出るとスミコットさんに促され、その“野原口”側を歩く。


商店街の大通りは、さっき通って来た“公園口”から“野原口”までの1本道だけれど、商店街自体はそこから伸びている小路(こみち)路地(ろじ)、全てが商店街に位置していることになっている。


前にツキノさんを見かけた横道にあった休憩用スペースなどは大通りには無い。そして入り組んでいるからこそ、この商店街にはそこかしこにネコがいる。どこかに潜んでいる。


野原口方面のパン屋を通り過ぎても、お店通りは続いている。ほとんどが小さい店舗だ。たまに大きな店舗もある。


店舗と店舗がひしめき合っていて、東京駅一番街とか浅草の仲見世通りとか鎌倉小町通りとか、そういう隣接しているけれど落ち着いた華やかさがあるのに、活気のあるというそういうものをこのロッテリーの街の商店街にも感じる。


私なりの感想でしか無いけれど、この商店街を横切るだけで“この街に歴史あり”ということなんだろうなとつい思ってしまう。


進むにつれて商店街の無い右側の野原というか畑ゾーンとは対照的に、左手側の商店街側の様相がどんどん変わっていく。


地面も踏み慣らした硬い土ではなく、整備され舗装(ほそう)された石畳に変化した。


この世界は馬や牛ロバなどに荷馬車や荷車を引かせることが多いので、動物の足に負担が少ない土の地面が大多数だ。


石畳を作って街道整備することもあるけれど、動物の筋肉や蹄部分にも環境の変化で疲労しやすくなるらしい。


人間だって海辺で走るのと、コンクリートの道で走るのと、芝生の上で走るのとでは疲れ方などが違ってくるのに、動物だけはどこでもなんでも同じなんてことはない。


「こっちはあんまり来たこと無かった」


「あら、せやった?こっちは道が整って綺麗よねぇ。ただ馬のしつけがちゃんと出来てないと苦情とか最悪、罰金とか発生しちゃうらしいわぁ」


「しつけ・・・?」


「年老いた馬とかだとフンの問題が起きやすかったりしてね。後始末とかちゃんとしていかないテキトウな御者を雇っていたりとか。」


「商店街もそんなの来たら迷惑極まりないですね」


「そうそう。どこ行ってもイヤな人間はおるもんなんよねぇ。自分とこのメイドさんとかに見られてる可能性とか考えてないなんて、浅はかよねぇ」


「・・・ん?」


「どしたのぉ?」


「なんでメイドさんが商店街に来るんですか?」


あ、リネアさんのことか?


「なにって・・・ああ!ごめんねぇ。商店街のこっち側はねえ、あっちの貴族街モッスサニーに住んでるお貴族様達の下働きの人達が買い物したりすることの多い方の、商店街なのよ」


下働きの人達が買い物したりすることの多い商店街??


「な、なんですと!?」


「お貴族様達もこっそりと遊びにくる商店街側に、ウエ商店があるんよ」


な、なんだって!?


「あ、ココがウエ商店よ」


もうついてた!?


「ウエさーん、こんにちはぁ」


スミコットさん、私に説明ほぼ無く状態でさっそくお店に入っていってしまった。えっまって私放置しないで。ってことで、急いでスミコットさんに付いてくよ!


中に入ると見やすく陳列された店舗内。お客さんもちらほら入っていてスミコットさんのあげた声に何事かと入り口をついつい見てきたお客さんがいた。


「あ、スミコットさん。こんにちは〜。後で伺いますね。それまでお待ち下さーーい」


いつも野菜を届けに来てくれるウエさんはちょうど他のお客さんを相手にしていたらしく、スミコットさんはそう言われた。


近くにいた男性店員さんに個室で待つかと問われていたけれど、店内を物色もしたいことを伝えると、番号札の木札を渡されて受け取っていた。スミコットさんの行動を見る限りいつも通りのようだった。


いつも通りなら、まず大声で呼ばずに店員さんに聞いてからにすればよかったのでは・・・?という疑問が顔にでていたらしく、スミコットさんがフフッと笑って言う。


「これもこのお店でのひとつのパフォーマンスみたいなものなのよ」


「どういうことなの?」


「時間あるから物色しながら、話しましょうね」


「うん」


「あ、この水筒安いわ。ええとね、貴族街からメイド達が利用するとさっき言ったじゃない?」


「そうですね」


さっきの今の話だね。安い水筒は一時期流行りで沢山売れた売れ残りの在庫処分品らしく、ワゴンセール状態になっているものをスミコットさんはひとつとって眺めては売り場に戻した。


「このウエ商店は本当に中間なの。上位店でもなく、下位店でもない。メイド達の買い物しやすい場所であり、声をあまりかけ過ぎない場所でもあるのよぉ」


「ん??」


「つまり、声をかけあうほどの人物だとメイド達にわかってもらうの。」


やっぱりよくわからない。


「スミコットさんこんにちは」


おや?




テンクウ「東京駅一番街はテイストがちょっと違うんじゃない?」


ビャッコ「作者の想像力の低さと、作者はあんまり外出しない人間だからあんまり色々行ったことがないという人生経験の低さから来た、そういうチョイスだそうだにゃ」


スズ「スズ全部知ってるよ。でもスズは金沢って所とか所沢って所とかの古い感じの建物いっぱいのところとかの方が好きだな!ホラ、スズみたいに茶色だもん!」


ビャッコ「色の話はしてにゃいなぁ」



次回は24日予定です。



スミコットさん「時間あるから物色しなごら、話しましょうね」


ごらごらしちゃってた。

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