第400話
「スミコット、モナちゃん、よろしくなぁ」
「はぁい」
「はーい」
軽く休憩したので、頼まれたパン屋と商店にスミコットさんとお使いである。ミギィさん達に行ってらっしゃいと言われ、ふたりでともだち食堂を出発した。
「そういえばモナちゃんはどちらも行くの初めてやったかしら?」
「そう言われてみれば」
ハッと今更気づいた。
そういえばシターズパン店も、ウエ商店も、いつもいつもともだち食堂に来てくれて対応は全部ミギィさんかレフティさんがやっていたから、初めてだ!
お祭りの出店ではシターズパン店はやっていたけれど、今更ながらリネアさんとナカバちゃんと商店街に食い倒れに行った時は、見かけなかったなぁ。
まあ、商店街全てをまわってはいないし、商店街かなり広かったからなぁ。浅草の仲見世の周辺とかと規模が同じくらい広いかもしれない。たぶん。いやどうだろう。そこまでじゃなかったかもしれない。
今ほら、5歳児の体だから余計に広く感じるだけかも?かもかも?
「こっちから近いのは商店街の公園口の方なのは分かりますかねぇ?」
「はい。ナカバちゃんとお弁当売りに行ったことがあります。」
その後サル騒動で、あのだだっ広い公園でクマ獣人さん達に炊き出しやったのも最近なのになんだか懐かしい気がしてしまう。
「商店街の“公園口”と反対の出入り口は、畑とかの地域が広がっているんよ。前に私達の家に来たことあるでしょう。あんな感じなんよ。だからそっちは“野原口”って呼ばれてるわぁ。」
ほえー。スミコットさんのお宅はむしろもっとともだち食堂から近いというか、商店街とは反対方向だから、もし畑で繋がってるのよって言われても土地勘の鈍い私には、わからないかもしれないなぁ。
「シターズパン店はその野原口の方向にあるんよ。そっちが近いから先にそっちに向かうわよ〜」
「はーい」
ともだち食堂から商店街の公園口の方へ向かい、商店街に入ってそのまままっすぐ野原口の方へ突き進んだ。
「で、ここまで来たら後もう少しやよ」
「ん?ここじゃないんですか?」
「野原口から少し離れているのよぉ。」
そういうと商店街から出てすぐにそのまま左手側に曲がって歩き出した。お、これは。
「パンのいい匂い」
目的地に着く前から目的地から匂いが届いて届いて・・・ヨダレが出そう。
「アレがシターズパン店よ」
「おお?」
思っていたこじんまりしたパン屋かと思いきや、駅ナカのパン屋みたいに広いな!横のはイートインスペースかな?でも誰もその辺りで食べてないな。イートインスペースじゃないのかな。
「どうしたの?」
「そこの空間ってなんですか。食事する所?」
「ここは商談したり、パンの受け取りを待つための場所よ。食事は汚れちゃうからしないわね〜。小麦粉とかの品物もここで受け取ってるらしいわ〜。」
イートインスペースじゃなかった。なぁんだ。
「おや、いらっしゃい。」
声をかけてきたのは白髪が特徴のオジサン。海原雄山だっけ?美味しんぼのオジサンのあんな感じでワンポイント白髪みたいな髪形だ。オシャレだな。しゃれおつ。おつおつ。
「こんにちはぁ。」
「アンを呼んでこようか」
「んふふ、いいのいいの。食堂のお使いに寄っただけですぐに次に行かないといけないから、あんまり時間ないのよぉ」
「なんだ、残念。暇な時また寄ってくれ。」
スミコットさんがパン屋の人と仲よさげに喋り始めた。喋りながらも例のメモを渡している。流れるような作業だな。いつものことなんどろうな。というか知り合い?あ、そういえば娘さんがココに嫁いだとか言ってたっけ?つまり親戚関係ってことになるのか。
「おや、もう1人お使いが来てたのか。」
「こんにちは」
私に気づいてくれたから挨拶しておく。
「ミギィ達の秘蔵っ子ってこの子のことか」
「秘蔵はしてないと思うわぁ。でもそうね。その噂の女の子だと思うわ」
「ん?」
どういうことなのスミコットさん。
「ほほーん」
ほほーんじゃないよ。パン屋の海原雄山。いや、似てないから違うほうがいいか。パン屋の白髪ダンディー。ほほーんじゃないよ。どういう感情?
「アレだろ?騒動が起きるたびに奔走してくれる天使みたいな子だよな。うん、可愛いな。ちっこいのに、ミギィとレフティの精神を受け継いでるんじゃあ、苦労するだろ。おやつに甘いパンもってけ。頑張れよ。お嬢ちゃん。」
お、おう??
なんかわかんないけど、褒められてパンをもらってしまった。頭を撫でられた。
「え、あ、うん。頑張ります??」
「じゃあ、私達は次に行かないといけないので、おいとましますぅ」
「おう、またな」
スミコットさんが促したので、シターズパン店から出た。
パン屋の白髪ダンディーはイケオジだったなぁ。
ちょっと短い、申し訳ない
次回は20日予定です。