第398話
チュンチュン、チチチ・・・空は晴れて良い天気。
「えっナカバちゃん、ともだち食堂に来れないの?」
あれから、なんだかんだあってあっという間に1日過ぎた。
ミギィさんが走って家まで帰ってしまったと言うことを寝耳に水みたいな感じで聞いてから、私達も後処理などは騎士団に丸投げして帰宅!というレフティさんの言葉に従った。
いやぁもうさ、半分冗談だと思ったよね。かなり関わったんだから機密保持的な何かでさ、拘束期間みたいなものが発生するんじゃないかとか思ったけど、すんなり帰らせてくれた。喋るモンスターの事とかさー、色々さー、ツッコミどころあったと思うんだけど、全力スルーとはこの事だよ。
んーー??レフティさん達のおばちゃんパワーがなした技なのかもしれない。よくわかんないけど、拝んどこう。なーむー。
んで、私達が帰宅してる時にもなんだか事件があったようで?なぜかナカバちゃんやら、アンドレ達も関わっているとかなんとか??
知らないところでゲームで言う所のイベントが進行されてた感じがあったっぽい。いや、この世界別にゲームでも何でもないんだけど、なんかそういうふうに思っちゃうよね。思うのは私くらいか。まあそれは置いといて。
どれだかわからないけど、それに巻き込まれてナカバちゃんは今日はともだち食堂に来れないらしい。
「まあ、つっても今日は明日から食堂再開の仕込みとか掃除とかがメインだからなぁ。んだっけ、スミコット達も昨日の今日で疲れでっだろ?休んでも良かったんに。」
「あらあらまあまあ。ここのお仕事は趣味みたいなものですからねぇ。家の掃除と大差無いですよぉ。昨日も大して動いてなかったですし」
「ん。」
ハジーさんは1言でスミコットさんの言葉を全肯定した。
そう、そんなわけで私達ともだち食堂の面々は食堂再開に向けて掃除とか仕込みとかをしながらおしゃべり中。数日空けたくらいでそんなに汚れは変わらないけれど、いつもよりも念入りに、テーブルふきふき。コレが終わったらお皿やカトラリー類がキレイかチェック。
「スミコットさん達は昨日は何してたんですか」
「処理」
いやなんの?ハジーさん、もっと言葉を発して。むしろまな板で切ってる下処理の野菜の音のほうが音を発してるよ。トントントン。
「お医者様夫婦のとっ散らかしたお掃除のお手伝いしてたわぁ。」
「薬がヤバかった」
手が止まるほど酷かったらしい。何してたんだあのサイコっぽい夫婦。
「あー、ってことは土をひっくり返したりしてたんかぁ?」
「え?土をひっくり返すの??」
ちゃぶ台返し的な事を??どうして??なぜに??ホワッツ??
「土の表面に薬やら、戦いの痕跡やら色々とついてしまって取ることは出来ないから上澄みの土をえぐって取り払って、水場から遠い場所に深い穴を掘って埋めたり、焼却したりするの。足りなくなった土は綺麗な土壌から持ってきて、今日あたり騎士団が踏み固めたり土魔法でどうにかしてると思うわぁ」
うわぁ~しか出てこないんだが。うわぁ~。大変そう。うわぁ~。
「薬品は危ないし、ドブネズミも危ないし、ダブルで危険だから騎士団のテントにいた時検査うけたべ?」
「モナちゃんもその検査っての受けたの?」
「あ、テンクウちゃん。こっち入ってきたかったら、足をあっちの水桶で土を落とさないとこっち来ちゃだめだからね!」
わいのわいのと話していたら、ともだち食堂の厨房裏のドアから大きな声が。テンクウちゃんである。下ごしらえとか掃除とか、動物の毛が飛び散って欲しくないので出入り禁止を言ってたけど、話が気になったのか話に入ってきた。
ちなみにケセランパサランのフテゥーロちゃんもテンクウちゃんの頭の上にぴょっこりのっている。スズちゃんは精霊で実体自体が無いため私の肩にいる。
「ダイジョーブ!お話しだけならココから出来るもんね!今日はココで待ってる!えへん!・・・あ、で、モナちゃんも検査っていうの受けたの?」
「検査っていうか、光る緑の棒みたいのブオンブオンされた後に、大きな霧吹きみたいなのかけられた気がする」
スターウォーズのライトセーバーみたいなとでも言えばいいのか、緑の光を放つハンディスキャナーとでも言えばいいのだろうか。軽く全身をその棒の光当てられて、終わったと思ったらファブリーズされた。そんなかんじだった。
「あれ?ぼく、わたしやったっけ?」
「フテちゃんはアンドレと一緒に居た時にやってたよ。スズ見てたもん!フテちゃん泣いてたけどね!」
「そっかー、知らなかったー」
「えっボクやった記憶ないよ!?」
フテゥーロちゃんとスズちゃんは解決したのにテンクウちゃんは検査やってない発言。
「アタイが騎士団から借りてぱぱっと済ましてたから、気づかなかっただけだべ」
「そうなの!?」
レフティさんがテンクウちゃんと他のネコ達もやっていた発言に驚いた。いつの間に。テンクウちゃんめちゃくちゃ驚いてる。そうだよね。緑の光の棒はともかくファブリーズに気づかなかったって相当なもんだよね。
「あ、いいにおーい。」
クンクンと鼻をひくひくさせるテンクウちゃん。目を閉じて、ヨダレが落ちそう。しっぽはブンブン振られて楽しそう。そうだよね、スープの仕込みらしいんだけど、美味しそうな匂いだよねー。わかるー。
「そっだらよりも、ディオ様達が昨日街の囚われた人達を解放したって話で街は大盛りあがりらしいけんど、そこはどうなってるんだべ?」
下ごしらえしながらミギィさんがようやく口を開いた。
「そう。それにナカバちゃんも捕まってたみたいなのよ〜。ディオ様とアンドレ様達が神官様に連れられて、謎の洞窟を発見したらしいわぁ」
「うす。人工的に作られた洞窟だったらしい」
スミコットさんに補足するようにハジーさんが付け足した。
「お手柄だったのなら英雄って持ち上げられてもしょうがないべ。んだけっど、王都に帰る予定はまた延びちまうなぁ。」
「あー、そういえば騎士団の人が早馬を出したとか聞いたかも?まだ数日滞在するってことかしらぁ。帰っちゃうならモナちゃんもアンドレ様とお別れくらい言いたいものねぇ。」
「あ、そっか。アンドレ、王都に帰っちゃうんだったっけ」
すっかりさっぱり忘れてた。祭りだからって1日だけって滞在延ばしてたんだった。
「洞窟もさ、人工洞窟って耐久度合いどうなんだろうね。簡単にぺちゃんこになるようなもんだったら、みんな危なかっただろうに」
「どうなのかしらねぇ、詳しくはナカバちゃんに聞いてみないとどうとも言えないわぁ」
アンドレ、頑張ったのかな?お祭りは結局バタバタしちゃって変な終わり方になっちゃったけど、アンドレも私と同じように騎士団さん達の手伝いをしてたんだろうか。
スズちゃんは私がちゃんと元気だよってアンドレ達に伝える為だけにアンドレ達の所に居てもらっていたから、スズちゃんはアンドレ達の事についてはあんまり注視してくれてなかったから、聞いてもイマイチだったし、昨日は家帰ったら本当にもう家帰ったらで、大事な大事なことやるのを忘れてて慌ててやったし。それどころじゃなかったんだよね。
アンドレ、頑張ったのならきっと『俺頑張ったんだぞ(どやぁ)』って報告しに来そうだよなぁ。
「モナちゃん、机はもういいから、コレ味見して見てほしいべ」
ミギィさんにみんなが呼ばれて居たらしい。気づいたらスミコットさんもレフティさんも、ミギィさんとハジーさんのいる火の元の近くで、スープの下ごしらえの何かを味見している。出遅れた。ズルい!さっきの美味しそうな匂いのやつだ!
「はーい」
「あ、いいないいなー」
「ぼく、わたしもー」
そういえばスープといえば、オースオグナくんも私達と一緒に騎士団を離れる事になった時に、コウチンさんがオースオグナくんと共にいることを決めたのか、一緒に同じ方向へ帰っていった。
ネズミ掃討作戦中はオースオグナくんとコウチンさんはずっと一緒にいたみたい。この短期間でかなり仲良くなったみたいだった。
「美味しい!でもちょっとしょっぱいかも?」
「にゃははは!まだ下ごしらえの途中だもんでな!んでもうまいべ?」
「きのこ?」
「綺麗な水の近くでしか取れない、夏だけのキノコでな夏バテに効くんだ。炒ると出汁が出てくるから、コレを少し多めの水入れて少し煮立たせて、明日の冷製スープにするんだべ」
「夏のキノコなんてあるんだぁ!へー」
キノコって秋のイメージ。あ!異世界だからか?それとも単に森が近いからかな?ナカバちゃんもアンドレもこのスープ知ってるのかな。
「さって、んじゃこっちは冷まさないといけないから先に煮立たせてるべ、ハジー。こっちはメインやったあと、試作にうつるべ。モナちゃんとスミコットはカトラリー終えたら1回休憩して、そんあとに2人で一緒にシターズパン店と、ウエさんの商店と行ってきて欲しいべ。いつも通り渡すメモがコレとコレと、んで、ついでにウエさんの商店で足りないものを今軽く買ってきて欲しいべ」
「はい」
「わかりました」
久しぶりの食堂のお仕事。
でもなんだかやっと元に戻ってきたような。
まだ私の記憶とか戻りきっていないけれど、今だけは忙しさに忘れていた。
テンクウ「モナちゃんは知らなかったみたいだけど、キノコって夏からいっぱい生えるよ!山とか森は湿気いっぱいだからね!にょっきにょきだよ!」
ビャッコ「俺様が本編いねーって?いつもの通り外うろうろしてるからいねーんだにゃあ」
テンクウ「ビャッコってば照れ屋さんだからさーすぐ居なくなっちゃうよねー」
ビャッコ「はあ!?だれが!?照れ屋だ!?」
テンクウ「ねースズちゃん」
スズちゃん「スズ、ビャッコはどうでもいいのよ。」
フテゥーロ「ぼく、わたしはね!照れ屋だったらうれしいかもしれないの!」
ビャッコ「!?あ?へ?おい、聞くやつ間違えただろ」
テンクウ「次回は15日ぐらいかもって作者さん言ってたって」
ビャッコ「おいてめー、話そらすんじゃ・・・にげるなーー」