第397話
遅くなりました。日付越えちゃった。真夜中の更新。
ストーリー上は昼間だよ。
「供述調書作成の進行は・・・」
とあるテントに1人の男性がいた。
「あんまり進んでいない・・・な。ハァ・・・。頭痛い。いや、胃痛も・・・。」
そこはネズミ掃討作戦の3カ所のうちの1カ所であった場所でもある。
「あの熊も隊長も、手を抜いているわけではない。分かっている。分かっているけれど、俺の方がきっとツライに決まっている!・・・・いや、この慰め方は、自分の為にならないのは分かっている。ああ、面倒くさい!」
熊とはユーグリッドのことで、隊長とはカメーリャのことである。そんな呟きを呟くこの男性は2人の知り合いであり、仲間でありもう1人の副隊長のピンホゥその人だった。
「物語とかで不憫なキャラクターがいたりするけれど、俺は絶対そういうのではない。・・・うん、がんばろう。まずは現在までの状況は」
テント内に設置された机の上に山積みにされた書類をひとつひとつ確認する作業に当たり始めた。
「まずはついさっき上がってきたばかりのことから。これから大量の調書が上がってくる前に、頭に入れておかないと。ええとーーーー・・・『ネズミのモンスターが設置していた転移魔法に引き寄せられて洞窟に閉じ込められた人間がおおよそ15人。助けに入ったとされる人間が3人の洞窟にいた人間は合計18人。』」
パラリ・・・
「『その助けに行ったとされる3人の簡易調書は助けに入ったとは全く異なった事を喋っている』らしい。『3人のうちの1人はこの街の領主様、ヴァイデ・ロートリント様。別の掃討作戦の元ダンジョン前で、指輪が見つかったという報告も上がっていたけれど、攫われたわけではなく、ご自身でその洞窟に向かったという事を話されている』らしい。どういうことだコレは?まあ領主様がなにか大怪我負ったりとかしているようではなさそうなのが幸いとも言えるか?いやいや、そんな現場に向かったのを誰も止められなかったのは痛手過ぎる。」
ペラリ・・・
「ええと、『助けに入った3人のうちの2人は冒険者。森林の首飾りという冒険者のメンバーの2人で、とあるモンスターに人質を取られたらしく交渉の場だと教えられていた洞窟に自身の足で向かった。しかし、交渉するはずのモンスターはなぜかそこにはいることはなく、なぜか街の人間が収容されていて、交渉するモンスターには会えなかった。』うーん。・・・人助けの言い訳にしては妙な話だ。こっちの話が真実だとして、コレを話してしまって良かったのか?なになに、『もっと詳しい話は長いので、調書はお待ち下さい。』って書いてあるな。うん、後できっちり読もう。」
パラリ・・・
「『閉じ込められた15人のうち、助けが来た後に行方をくらました人間が1人消えた。女性で金持ちそうな身なり。貴族街の人間に見えたと他の人間から声が上がっているが、他の人間14人は全て平民街の方の人間だったので個人の特定が難しい。領主様はその女性をみていなかったとのことで、消えた女性と犯人の繋がりを追っている』なるほど。しかし、もし犯人の一味であるなら、こっそりと出る事もできたのでは?他の人間と共に洞窟内で一緒に過ごしていたとはオカシナ話だ。」
ペラリ・・・
「洞窟の場所は・・・神殿の真横?誰も気づかなかったのか?今まで?『隠蔽魔法と認識阻害魔法などを使用してさらには神殿の使われていない倉庫だと誤認識をさせられるように工夫されていた。魔法をかけていたのが今回の騒動のネズミの大元の犯人側のボスだと思われ、ネズミが一掃されたことにより魔力の供給が足りなくなり、ネズミ達に作られた魔法による手作りの洞窟から人間の声が漏れるようになり、時間が経つにつれ神殿の者たちに気づかれ、閉じ込められた人達の救出が叶った』・・・・こんな目と鼻の先に、人々が閉じ込められて気づかなかったなんて・・・」
ピラ・・・
「『手作り洞窟から人々を見つけたのは療養にこの街に訪れていた貴族』・・・・なんだか聞き覚えがあるな。なになに・・・って、この人達か。館に帰るとか言ってなかったか!?また戻ってきたってことか!?って待て、誰だ調書してくれているのは、この方々は・・・・、いや、あまり特別扱いするのは嫌がられる方々なんだよなぁ。面倒くさいな。うーんうーん、普通がいいとか言いそうだから、放っておこう。特別扱いにしてくれって頼まれない限り他の者と同等のままにしておこう。助けに行った側なのだから、騎士団としてちゃんと対応しているはずだ。・・・・気になるから後で絶対見に行かねば。」
ペラ・・・
「『人々の声を幽霊だと思って神殿の神官ククリが貴族の方々に助けを求めた』?うん。仕方ないような、そうでもないような?なんだかよくわからないが、この神官にも会いに行かねばならないな。この貴族の方々に無礼な事を言ったりとかは神官としてしていないと思いたいけれど、助けを求めたという時点で、変わっている神官だとしか言いようがないようにしか解釈できない。」
トントン・・・ファサッ・・・
「こっちは、まあ、最新の調書だから本当に軽くしか書いてなかったな。今後上がってくる膨大な、18人分を読まないといけないんだよな。あ、待てよ?助けに向かった貴族様方の人数の記載がなかったぞ。誰だ書き忘れた奴は。・・・軽く20人分は超えるのか。一旦忘れよう。さて、こっちはどうだろう。」
トサッ・・・ペラリ・・・
「ネズミ掃討作戦は大成功と言える。『モナという少女の活躍により、魔力を帯びたドブネズミの殲滅を素早く終わらせることが出来た』ふむ。なになに『騎士団内部からは賞賛と畏怖の声があがっている』?『少女を騎士団の特別騎士団員にという声もある』?は?何言っているんだ?まだ年端のいかない少女だと聞いているぞ?それにたしかあのカメーリャ隊長が仲良くしていると噂のレフティさんとミギィさんの秘蔵っ子だとか。『5歳児』5歳!?むりむりむりむり!秘蔵っ子でこんな小さな女の子を特別騎士団にとか声をあげてみろ。俺絶対、ロリコンだとかカメーリャ隊長にあらぬ疑いかけられる未来しか見えない。誰だこんな適当なこと調書にしたやつ!あとでシメテヤル・・・」
パラリ・・・
「あ、良かった。ユーグリッドの計らいで帰宅済みになっている。さすがユーグリッド。少女の為にレフティさん達に1言言ってくれたに違いない。少女をココにいさせ続けたら力主義の騎士団員に囲まれ続ける可能性もなくはないからな。・・・・ふむ、でも少女の魔法は凄かったとこの報告書、調書をみると、ありありと伝わってくるようだ。少し見てみたかった気もしなくもない。」
ペラリ・・・ペラリ・・・ペラリ・・・
「なんか、多岐にわたって、力を貸してくれたネコモンスターやイヌモンスターの可愛さやお礼とかが続いている。分からなくもないが、こんな所に書くことではない。『ただ、このモンスター達が敵側でなかったことが安堵である』・・・本当にな。それと、この街にたまたま居続けてくれたことは今回幸運であったとも言える。イヌはともかく、ネコは気まぐれ。騒ぎが起きた時に街から出ていったりする可能性もある。今回は偶然手を貸してくれたに過ぎない。次は何かあっても頼ることはできない。」
パラリ・・・
「今回騎士団はだいぶ奔走したように思うが、気が緩んでいるのがよく分かる調書ばかりだった。カメーリャ隊長とユーグリッドに後で相談して、騎士団の訓練を厳しくしないとだめかも知れないな。先日のサルの騒動もおかしな点が多々ある。今回はネズミだ。またきっと事件は起こるかもしれない。我々はこのロッテリーの街、貴族街モッスサニー、マックドゥの森、その全てを守らなくてはいけない。例え何が起ころうとも。2回とも運がよく収まる所に収まった。次は、収まらないかもしれない。だからこそ、気をもっと引き締めなければ。」
・・・・ファサッ・・
「読んでいたら、喉が渇いたな。少し休憩をしよう。・・・・まだ昼を過ぎたあたりか。1日は長いなぁ。」
ココ最近のネズミの話が複雑化していましたが、ピンホゥさんのおかげで纏まりました。
ありがとうピンホゥさん。さすが副隊長!煽ってないよ、褒めてるんだよ。作者に石を投げないで。
都合のいいキャラだとか思ってないよ!石を投げないで!
纏まってない?纏まってると思うけどな?あるぇ?
次回は11日の予定です。