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第396話

ガコン


何かが開いた音がしたーーーー。気がした。


開けられそうにない何かを、簡単に開けてしまったような?そんな音。


だったような。








「んあ?」


ムニャムニャ・・・。ん?夢?体を横たえたまま、目が半開きっぽいのは自分でも分かる。んでも、それ以上開けるのしんどい。1度目を閉じると脳が覚せいしたのかさっきよりも起きなきゃという感じがしてもう1度目を開くと今度はぱっちりくっきりおはようおめめ。


目の前に白いもこもこが見える。ええっと


「モナ!おはよ!」


耳元でチュンチュンちちち!と高い声をあげたのはスズちゃん!耳元キーン・・・。


「おはよぉ」


一応返事はした。口は動かしたはずだけどちゃんと声出てたよね私。


「モナママ!おはよ!」


あ、大丈夫。白いもこもこのフテゥーロちゃんの声が聞こえたから私の耳は正常だ。


「おはよう」


ほんわかしていたのも束の間


「モナちゃーーん」


ずしゃぁぁぁぁって砂煙舞ったような音がテントの外から聞こえた。この声は、テンクウちゃん!テントに影が写ってるのが見えるけど、スピード出過ぎたのかテントを通り過ぎて影絵が流れて行ってしまった。


「アホアホだなぁ」


テンクウちゃんの影の方を見つめながらため息もご一緒に口から出てそのまま優雅にテントに入ってきたのはビャッコくん。


「帰ったぜ」


ニヤリとした顔が3枚目なネコだなぁ。


「おかえりー」


「ボクも!ボクも!おかえりーって言って!ねえ!ただいま!モナちゃん!ただいまぁ!」


「ふふっおかえりー」


ずだだだんだダッシュ〜!してきたテンクウちゃんがビャッコくんの後追いになりながらテントに入ってきた。めっちゃ賑やかである。


「昼寝してスッキリしたか?」


レフティさんもテントに入ってきた。魔力を消費して疲れた分は急には戻らないけれど、今日は朝早くからネズミ退治ということで起きてから緊張していたのもあってかかなり疲れていたんだと今更思う。


失敗できない、というか単純に失敗したくなかった。周りの人のためと言うよりも自分のワガママ。完璧主義という人間ではなかったはずなんだけどなぁ。


なんとなく、やりきりたかった。

なんとなく、失敗したくなかった。

なんとなく、そうすることが正解だと思った。


根拠も何もないけれど、うーん。どう考えても自分が自分を追い込む形式のナニカ。


まあ終わったことだし、寝たらスッキリしたし。


「うん!寝てよかった。」


お昼寝大事!このカラダちっちゃいもん。・・・あれっ?・・・・うん。記憶を少しだけ取り戻して魔力回復した分で少しだけ体を成長させられるはずだったのに、なぜか、この5歳児の姿で固定されている気がする。


ええっとぉ・・・。ステータス今見るにはちょっとわちゃわちゃし過ぎてるね。後で落ち着いたら見直すしか無い。なんか私やらかしたかな??あるぇ??


「モナちゃん!聞いて聞いて!ボク達頑張ったんだよー」


「ちょい待ち」


レフティさんからなぜかストップコール。


「んえ?なんでぇ?話したいのにー」


「いや、というか、な?テンクウ?解禁されたからってな?喋るのやめろとまでは言ってないべ。ええか?この場所はそろそろお暇せんと行けないべ。続きは帰ってからだ。」


「え、帰るの?」


まあ簡易ベッドは寝づらかったけど、ネズミ掃討作戦も悪くない出来だとは思うけれど、え?もう帰るの?


「後始末は全部騎士団が受け持つってから。アタイらは結局、手伝いをした程度の一般人だべ。」


一般人にしては手伝い過ぎてた気もしなくもないような??


「ユーグリッドさんは、元気?」


「ん?あのおバカなら、『俺には荷が重いぃぃ』とか何とか言ってテントん中から叫び声が響いてたから、大丈夫だろって。」


あ、うん。元気そうだね。ホッとしたけど、なんかこう、達成感的なの全然無いな!?うーん、コレでユーグリッドさんの死亡は回避出来たんだろか??モヤッとするぅ〜


「おい」


ビャッコくんが私を呼んだ。


「気がかりなことがあるにゃら、俺様が聞くぞ?」


・・・・そうか!人海戦術ならぬ、ニャン会戦術でネコネコさんいっぱいだもんね、そうだよ!ビャッコくんに頼めばいいかもしんまい!モグモグ。心のホカホカ炊きたて新米は最高の出来。


つまりは、ビャッコくんに言うのが最適解!


「ビャッコくん。お願いがあります」


「うぉう、改まり過ぎだにゃ。」


「あれ?」


「いいからいいから、さっさと話せ。帰るんだろう?ざっくりとな。時間がないからな」


レフティさんが見てるからか気を使わせてしまったようだ。ごめんよビャッコくん。


「んとね、ユーグリッドさんが変な事件とかに巻き込まれて死んじゃわないようにビャッコくんの仲間に見張ってて欲しいの・・・って、ダメかな?」


レフティさんが私のセリフに驚いている様子がなんとなくわかったけれど、無視無視。


「ん?それだけか?」


ん?思ったより希薄な反応だなビャッコくん。


「え、あ、うん。え?見張りとか嫌じゃない?出来るってこと?」


「いやぁちょうど昨日から見張らせてたから、継続させるだけだにゃって」


あ!?もう見張ってたの!?そゆこと?でもなんで?


「色々理由はあるけど、まあ、1番の理由は」


「「い、1番の理由は・・??」」


私とレフティさんがゴクリと喉を鳴らしながらビャッコくんの言葉を待つが。


「勘」


まさかの勘。に、聞き耳立てまくって言葉を待ってた私達はポカーン。


「ほら、当たってただろ?」


ニヤリ顔のビャッコくん、かっこいいです。ネコだから第六感(シックス・センス)が優れているのかな?ビャッコくんはなんていうかモンスターって部類を越えた、超常的なネコ、スーパーネコチャンなのかもしれない。


「ボク、なんだか分かんないけど、今日はビャッコに負けてばっかりいる気分なんだぁ」


「そっがぁ、頑張れ」

“ずだだだんだダッシュ”とは


“ずだだだ”と駆けずり回るように走り、“じだんだ”したように足踏みワンクッションし、んでもって目的地に向かって“ダッシュ”するように見える行動、

それが“ずだだだんだダッシュ”


テンクウ「作者の造語です(キリッ)」


ビャッコ「身も蓋もない(呆れ)」




次回は9日予定です。



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