第391話
話の主導をテンクウちゃんに任せてみましたという回。
なんだろう。なんかテンクウちゃんはテンクウちゃんでテンクウちゃんなんだよね。
ワンコがネコにわらわら囲まれているんです。
あれ?癒し回だったのかな?
ダンジョン化しているアリの巣みたいな場所は全部で大体10階層ぐらいの奥まであることがわかった。
それがわかったのは、にゃんにゃんにゃかにゃか、うーうーミャオミャオと、耳はピコピコしっぽはフリフリ、山程いるネコネコネコネコ・・・・ネコだらけネコまみれの団体さんのお陰なんだよね。
その統率をとっていたはずの3匹のうち2匹がそこにいた。
「で、大怪我をしたと。うみゅ・・・」
そういったのはみんなのボスでリーダーでサイコーのアニキ分のビャッコだ。可愛くて凛々しい。
ボクもモナちゃんに可愛くて凛々しいと思われているかな。ボクもきっと思われてるよね。早く帰りたいなぁ。
ビャッコの真っ白い毛は汚れ知らずといった感じでツヤツヤしてる。ボクの毛も多少ツヤツヤしてはいるけどちょっと違うんだよね。
でもボクの毛がビャッコと同じならぺちゃんこ過ぎて体洗わされたあとみたいになるかも・・・?うんなんかそれってあんまりかっこよくないよね。
ツヤツヤしたってそれはそれで嫌だな!うん!モナちゃんにブラッシングしてもらいたいなぁ。ネズミもほとんどいないみたいだし帰りたいなぁ。なぁんて今の現状そんなことは口が裂けても言えない。
そう言う空気じゃない。
なんせビャッコの前にいるもう1匹のリーダー格のネコさんはボロボロだ。変なヤツラを見つけて戦ったけど負けちゃったらしい。
「逃がして・・・しみゃいましたっっ・・・にゃー・・・」
すごく悔しそう。ネコもイヌも鼻も足も利くし速いし、なんせボクらはモンスターだ。うん、周りにいるネコのほとんどが違うけれど、主要なボクらはモンスター。
魔法やスキルが使えるから普通よりも更に戦える。はずなのに、負けて取り逃してしまった。うーん。つまりは強敵。
「でも油断しちゃったのは仕方ないよ〜。きっとボクもそれに出会ったら油断してたと思うな。」
ボクはビャッコに言った。ビャッコはいつもはちゃんと戦える仲間がボロボロだったのも悔しくて仕方が無いのも相まって変な顔してる。
「お前は黙ってろ。俺様達の問題だにゃ。」
「でも普通、ダンジョンの核だか殻だかカクカクシカジカだか分かんないけどさー、こんな浅い階層にあるなんて誰も思わないよー。変な感じはしたから壁は後でみんなで調べ直そうとしてはいたんでしょ?人間じゃないと扉が開けられないっていう、ギミック?だかスイッチ?だか分かんないけど、そういうのが設置されてたんでしょ?不可抗力だよね。突撃したのは頑張ったよ!褒めてあげるだけで良いと思うよ。反省は自分で出来るでしょ」
「お前は黙ってろって意味がわからないバカだって言うことがわかったにゃ」
「それにココだけの話にしちゃったら、ユーグリッドさん達に報告すること減っちゃうから、多分だけどボクらがネズミの仲間にされちゃうかもよ」
「はあ!?・・・・ん?・・・そうだにゃ、モナが疑われる要因ってことにもなりかねないのか。めんどくさいにゃ」
「「「へ??」」」
ビャッコはソッコーで理解したみたい。ボロボロ3匹はすぐにわからなかったみたい。ボロボロになったから疲れちゃったんだねー。休んだほうが良いよー。
ええと、コエキとタタラとスバルだっけ?コエキはああもしかして?って気づいたみたい。タタラは3匹の中で1番前線突っ込んだのか1番ボロボロだから片目も半目状態だし頭回ってなさそうだもん。スバルは単純に分かってないだけみたい。
「わかったにゃ。秘匿はさける。取られた、負けた、逃がしたってことは全面的に騎士団にも全部一切包み隠す報告だ。俺様達が非難を受けるだろうが、お前らは何言われても人間を襲うことは許さにゃいからにゃ!わかったか!」
「「「わかった」です」・・・」
「「「「「「うなぁぁぁご」」」」」」
耳が痛くなりそうなくらいネコの鳴き声が辺りに響いた。
「ビャッコ〜あんまり大きい声を出したらこのダンジョン崩れない?」
「ダンジョンの核がなくなった時点でもう単なる洞窟だからにゃ、大声で崩れてもおかしくにゃいだろ」
「なのに大声許可したの」
一般ネコ達が「あわわ、すみません、ノリで!」って感じでペコペコし始めた。ボクもペコペコ返しとこう。ボクも言い過ぎた。ごねんね。ペコペコ。ペコペコ。
「って、うーん、責めたかったわけじゃないんだけど。そーだ、結局攫われた人間さん達いなかったんでしょ?」
「隠し部屋や隠し通路も見つけた所は全部開けれたらしいけど、いなかったにゃ」
「騎士団の人達突撃してきたのは、引き返せたの?」
「崩れるからってまだ説得してる最中みたいだにゃ」
騎士団が入っても最初の1階層部分でモタモタしてたからすぐに引き返せそうだと思ってたんだけど、モナちゃんと違って大人の男性だからなー。壁とかに突っかかってるらしい。無理して突撃しなくて良かったのになー。
あっちの説得組のネコさん達はトカキ、トロキ、アメフリらしい。
「ん?」
ボロボロのタタラが急に横を向く。それに気づいたボクらはキョトンとそちらをみる。
「どうしたの?」
「・・・来た」
何が?と言う前にそれの正体がすぐに分かった。遠くに見えるのは空中に浮く火の玉。が、ゴオっと勢いよく近づいて来たからだ。
「燃える鳥?」
「こっちに来るように言ったけど、来るの早かったにゃ」
「にゃにきーーーー!」
「「それを言うならアニキ」」
「ありっ?」
止まった。うん。えっと、あー!不死鳥のネコさんか!
来たのは名前が挙がってなかった、カラスキだ。あっ燃え尽きた。焦げ臭いよー。
「でもなんでカラスキくん呼んだの?」
「あの壁を外にどうやって持ち出そうかと思ってにゃ。ほら、どうしたって崩れるし。崩れるなら、崩れる前に外に出してしまえばいいにゃ」
「へー?」
今度はボクが全くわからないよ!
「もうダンジョンじゃにゃくにゃったから簡単、簡単」
ビャッコってば悪どいニンマリ顔でそう言った。
そのやつはボクも手伝わされたよ。まさか浅い層だからって天井をボカーンドカーンのバッキーンのボコーンって感じになるだなんて思わかなかったよ。
というかボクの風が無かったら絶対大変だったよ?大声どころの騒ぎじゃなかったから本当に崩れる寸前になっちゃったんだからね!まったくもう。
ビャッコはもう少し仲間を大切にしないとだめだと思うな!ほらボクも仲間でしょ?あれ?違うの??まあいいや。
空が見えたけど、青かったなぁ。あ、夏だもんね!
モナちゃん達の所に帰れるかなー!?
次回は14日予定です。
ビャッコ「バコーン」
テンクウ「ドゴーン」
モナ「何してるの?」
ビャッコ・テンクウ「言葉攻撃ごっこ」
モナ(小学生男子のような遊びは異世界もあるんだなぁ)