第388話
その頃、テンクウとビャッコは・・・
「お?」
「んー?どうしたのビャッコ〜」
「連絡が来た」
ビャッコは何かしらの能力で他の仲間と連絡を取り合っているようで、テンクウは、小声でヒソヒソと独り言を呟いているビャッコがこちらに向き直るのを静かに待つのだった。
(そういう能力必要ないと思ってたけど、モナちゃんと喋れるなら欲しいかも)
「おい」
「あ、お話終わった?」
「入り口にミギィさんが残ってたろ。」
「ああうん、ボクらと違って穴に入るのキツそうだから待ってるって言ってたよね。」
「何人か騎士団がそこから無理やり入ってくることになったらしい」
「なんで!?狭いよね?逃げられなくない?人間だとキツキツだよ、ココ」
「人間が何人か消えた時に、ネズミの仕業らしい目撃情報があったんだと。」
「なるほど?」
「わかってにゃいな?この場所のどっかに攫われてるらしい。だから探しにくるんだと。」
「な、なんだってーーー!?」
「領主もどっかにいったらしい」
「な、ん、だっ、て!?」
「ふざけてんのか」
「ごめんね、でも、ふざけないとやってられないよ?」
「なんだ、珍しいこと言うなぁ?お前なら『やったぁ、人手が多い方が捗るね!』ぐらい言いそうだと思ってたんだがにゃ」
「騎士団の人達はいい人達だよ?でもね、あの人達撫で方とか色々と雑なんだもん。きっとココに入ってからも雑なことしちゃう気がする。例えば、退路が崩れて土で埋もれちゃったり・・・」
「・・・」
「ほらぁ!ビャッコも『あ、やりそうかも』って顔してたぁ!」
「し、してにゃいし!?か、勝手な思い込みは辞めるにゃ!俺様はテンクウとまっったく違う思考だ!わかったな!?」
「えええ、ギックゥってバレた顔してたのに?」
「・・・と!いうわけで!俺様達はとっとと進む!わかったな!?」
「いきなり話を聞かずにぶった切っていくスタイル!」
「返事は!?」
「うぇ!?あ?ハイ!!!」
「進むぞ!」
「あっ待ってよ〜ボクのほうがビャッコより鼻が利くんだから〜〜」
その数分後・・・
「え?他の場所では変な部屋見つけたの?」
「詳しくは見てみないと判断出来ないが、人間を支配するとか書いてあったらしい」
「うええ、たまにいるよね。モンスターよりモンスターっぽい人間ってさー」
「そっちに向かいたいんだが、どうにもいまいち場所が掴めないにゃ」
「あー、ボクもさっきっからなんかこう、毛が逆立つというか、ゾワゾワする感じがするんだよね」
「いつからかわかるにゃ?」
「えー?そこまで覚えてないよ〜?でもアレだよね、このいつもと違う感覚って・・」
「あぁ、そう考えて間違いないと思うにゃ」
「やっぱり、ダンジョンとの境目を越えた・・・ってこと?」
「よし!次!」
「待って待って、さっきより慎重にしたほうが良いんじゃないの」
「よし!ツギ!」
「ちょっとビャッコ〜聞いてるぅ〜?!」
「・・・」
「あ、わかった!焦ってる?うんうん、ボクらも頑張ろうねー」
「ううううるさい!にゃい!!」
明らかにテンクウの言葉に動揺を隠せないビャッコだった。
(ビャッコってば〜ふふふ)
所変わって、地上の林内では。
「いっぽにほさーんぽー」
「「サンサンさーーん」」
「いちにさん」
「いちにさん」
「いち」
「にい」
「「さーーん」」
「さーーんサンサン、太陽がぁ」
「サンサン!」
「ん・・・?レフティさん、レフティさん」
「どした?もう少し寝ときぃ?少し昼寝しておかんと後で疲れたっづって倒れられたりしたらかなわんべ?」
「なんか声が聞こえない?」
「あ?声?」
モナはテント内にある簡易ベッドに横になっていた。一応モナを含めた作戦は終わったけれど、まだネコモンスター達によるネズミ駆除を待たなくてならない。
その間に昨晩から今朝までの睡眠時間が少なかった5歳児の体のモナは、嫌が応にも横にさせられていた。
モナにとってもとてもありがたい話ではあった。記憶を思い出してから魔力が増えたのはわかった。しかし、今回使った魔法行使の仕方には通常とは違う魔力の運用の仕方だった。
何が違うという説明は難しいが、“たまに動くと、いつも使わない筋肉が使われたみたいで、めちゃくちゃ疲れた”と言った具合を想像してくれればソレが今回のモナの行動だったと思ってもらって良い。
疲れてはいた。でも騎士団達がなにやらせかせか動いている音が聞こえたりするので、横にはなったものの眠れない状態だったのだが、そんな時、声が遠くから聞こえたのだ。
「わからん・・・ん?アレかぁ?」
「外、見てみるね!」
「あ、モナちゃん!」
飛び起きてテントを飛び出すと、近くのテントに荷物を運んでいた騎士団のおっちゃん達がキョトンとこちらをみていた。
急にテントを出てきたモナに対してなにかあったのかと驚いたのだろう。モナにとってはそんなのどうでもよかった。
キョロキョロと見回すと、林の上の方にふよふよとしたものが2つ、点として見えた、気がする。
モナは急に走り出した。
「あ、キミ!」
「あー、大丈夫大丈夫」
「レフティ殿、しかし・・・」
「モナちゃんのともだちがこっちに来たってだけだべ」
「ともだち?」
騎士団のおっちゃんはモナの走り出した方向に目を細めるがモナと同じ高さ辺りには何もいないように見えた。しかしよく見ると、人間よりも高い位置に何か点らしきものが2つ見えた。
騎士団のおっちゃんは、え?アレかな??と疑問に思いつつ口には出さずに隣のレフティを目だけで確認しようとしたが、隣のレフティはニコニコとして騎士団のおっちゃんの戸惑いに気づいてはいない。
「フテゥーロちゃん!スズちゃん!おかえり」
「モナママーーー!びええええええんん!ちゃじゃいまーーー!あいちゃがったーーーー!」
ただいまー!会いたかったー!と言っているようだけれど、白いまりもから鼻水と涙がビヨンビヨン出てる光景はシュールだ。
「アンドレ達は仲間がいっぱい増えたから疲れてるモナのところ戻っていいよって、言われたの!スズ!ちゃんと仕事してたよ!」
ドヤァ、エヘン、するちみっこいスズメ。
モナはふたりを抱きしめた。
ビャッコ「これって今回更新するべき回だったか・・・??」
のほほん回だよ。
テンクウ「それにほら、ビャッコ可愛かったよ!安心して!」
ビャッコ「にゃ!?可愛かっ!?はあ!?どこが!?」
テンクウ「あわあわしてたから」
ビャッコ「作者!今回の話は実なんてにゃい!消せ!!今すぐ、消せ!」
フテゥーロ「ヤダヤダヤダー!消さないもん消させないもん、ズビーーー」
スズ「鼻水まだ出てるよフテちゃん」
フテゥーロ「スズちゃん、拭いてぇ。んぐんぐ、ありあとぉ」
次回は2月2日予定です。
毎度毎度遅れてすみません。
なんか、わからんがサイトの編集ページの機能が・・・無くなってる??私だけかな。
ルビ入れる機能のタブが無いんだけど、無くなるって通知無かったよね??ん??