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第386話

「うー!にゃー!」

「にゃーーー!」

「うー!にゃー!」

「にゃーーー!」


先頭を走るは紅一点メスネコのコエキだ。ネコまっしぐらとは言うけれど、今回はこの飛び込んだ穴の中の探索とネズミの駆除の最終チェックなので、まっすぐ行く目的地なんてものはない。


ネコ達は人間と同じく3カ所に分かれ、それぞれに突入している。


ひとつはコエキ、ひとつはトカキ、ひとつはビャッコ。今回のリーダーの役割はこの3匹だ。


「ふにゃふにゃっふにゃ!にゃにゃっ」


「ふむふむ、・・・むむっ!?ちょっと待って!コラ!タタラ!!」


「・・・なに」


「にゃにじゃにゃいにゃ!ソレ!やり過ぎ!」


コエキは毛量が少なくてお喋りも少ない仲間、タタラに声をかけた。声をかけざる得なかった。


「・・・ネズミ」


「わかってるにゃ!でもやり過ぎはダメダメ!」


「・・・ムカつく」


「タタラの過去ににゃにがあったのかは知りゃにゃいけれど!周りのみんなもドン引きしているから呪いのオブジェみたいなの禁止!!」


「・・・boss(ボス)はいいって」


「いつのことにゃ?」


「・・・きのう」


「目がそれたにゃ。ウソだにゃ。」


「・・・3日前」


「下がペロペロ出てるにゃ。ウソだにゃ。」


「・・・覚えてない。・・・けど、言われたことは確か。」


「おやびんに私は昨日ちゃあんと言われたにゃ!タタラが暴れるのは構わないけれど、やり過ぎないようににゃ!ってやり過ぎたと思ったら止めていいって言われたにゃ!」


えへん!と胸を張ったコエキを見てタタラは少しガーーンとショック顔になった。


コエキもビャッコも付き合いが長いメンバーの事は理解しているので、本当はそんなに止めたくは無いけれど、人間がそこまで離れていない範囲で変なものを残したりすると、後で困るのはモンスターでもなんでもない、一般的なネコまで排斥される可能性ができてしまうことを懸念している。


ネコ型のモンスターも結局のところ数が多いとは言い難い。危険視され過ぎると手打ちにあう。


なるべくほどほどがいい。細く長く生きるにはほどほどが重要だ。


「・・・boss(ボス)、言うなら、仕方ない」


ぶすくれているけれど、呪いのオブジェは中止してくれた。かなりぶすくれているけれど。というかふて寝しそうな勢いだけれど。いや、丸まり始めたな。本気で寝るかもしれない。まって、さっき穴に突入したばっかりだからね。寝るな。仕事しろ。


「なぁ!なぁ!凄いの見つけたー!」


真っ黒いネコのスバルが駆けてきた。スバルは職人さんを見るのが趣味のようなネコで、人間が作り出したものを見るとテンションがぶち上げになる。


今がそれらしい。


「スバル?こんな所に凄いのなんてどういう事にゃ?」


「ほんとだって!こっちきて!」


って、ズプリと地面に溶けるように消えないでほしい。スバルは(シャドウ)(キャット)というモンスターなので闇を作れるし闇で移動できるし、隠密には欠かせないものとか使えるけれど、それで移動は本人しかできないので、消えないで。


「あれ?ついてきてよー?」


「私は(シャドウ)(キャット)じゃなくって、祭り(フェスティバル)(キャット)だからそこからは向かえないにゃ」


「あ!ごめん!・・・えーと?どうやればいけるかわかんないや。あ、タタラー、手伝ってー」


「・・・なんで?」


「良いもの見れるよ」


「・・・めんどう」


「かしらぁが気に入るやつだよ!」


「・・・手伝えばいい?」


ビャッコが喜ぶと聞いて立ち上がった。わかる。わかるよ。みんなおやびんが大好きです。


性格は別として、タタラとスバルは共闘として相性がいい。タタラは悪夢(ナイトメア)(キャット)。暗闇と悪夢はセットだと強い。今回の場合は使い方が少し違うけど。


「じゃあコエキ、見せるよ。」


「わかった、目をつむればいいにゃ?」


「モチのロン!」


「・・・行くよ」


ふたりのスキルが溶け合って闇が悪夢を作り出す。脳にささやきかけるのだ。


暗い暗い地の底にまた道がある。何かに追われている訳では無いのに後ろに何かがいる気がする。


早くココからでなければ。上に行けば良いはずだ。上に行く道が見つからない。何かに追いつかれそうだ。


仲間の一般のネコ達の気配がする、でもそこは壁。おかしい。壁。気配が。壁。違う。その壁は・・・


「わかったにゃ!」


目を開けるとコエキの体は上からバケツをひっくり返したのかと思うほど、毛がびっちょり濡れていた。


「コエキ怖かった?」


「私は楽しいことのほうが得意にゃ」


コレが全部自分の汗なのだから察して何も言わないっていうことをしてほしいといつも思う。


「で、行けそう?」


「こっちにゃ」


ツッタカターと走り出した。スバルもタタラもついてくる。モンスターではない、手伝いの一般ネコが私になにか用事かとびくびくしてるがそうじゃない。


そこを退いてもらった。


「壁がどうしたにゃ?」


「・・・まさか」


「そう、ここが!隠し通路にゃーーー!」


うにゃにゃにゃにゃ!と軽いキャットファイトを壁にコエキがかますと、壁が1部ボロリと崩れ、崩れた先からさらになし崩しにどんどんと・・・。


「ココを降りればスバルの言ってた場所にいけるにゃ!」


「すげー!」


「・・・ナイス」


「で、良いものってにゃんにゃの?」


「見てのお楽しみ!いいからみんなついて来て!」


この隠し通路はさっきまでの通路と違い人間が通っても問題無さそうなサイズの大きさだった。


着くとそこにはちょっとした空間が広がっていた。そして何より目を開くほど驚いたのは壁だ。


その部屋らしき壁は他の場所と違い石壁になっていて、見やすいように字のかける石で書いたのだろうと思える文字や何かの数式だろうものがびっちりと。


「なんにゃ?」


「コスモスけいかく?」


次回は25日予定です

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