第383話
ネズミ掃討作戦のうち、大変なのは出てきたネズミ共の駆逐を主にしているモナ達の場所だけが大変というわけなどではなく、他の場所もかなり“混沌とした戦い”を繰り広げていた。
通常ならば逃げ隠れするネズミも、戦う意思を持って向かってくる時もある。いわゆる、“窮鼠猫を噛む”ということわざの状態だ。
ほぼ大体のネズミモンスターは怯え巣である穴に入りもう一方の穴から這い出たりする。穴から動かずに周りを囲んでいる人間を観察して逃げる為のタイミングを見計らうネズミモンスターもいる。
弱いモンスターだけれど、知性があるネズミモンスターもいなくは無い。そういうのが襲ってきた時が恐ろしい。
そして、その1部の厄介なネズミモンスターばかりが反旗を翻したらどうなるか。それはもちろん、最初に言った通り、“混沌とした戦い”がそこにはあるのだ。
「流れ星みたいなネズミモンスターが1匹いるぞ!気をつけろ!」
「お兄様!前です!」
「危ないっ」
「また逃がした!どこいった」
「こっちも手伝ってくれ!」
「どうした!?」
「タヌキぐらいに体を肥大化させたネズミが土魔法使ってくる!」
「キモい!モグラっぽいネズミ!?キモい!」
「土がぁ!目がぁ!砂が目に入ったぁ!」
混沌としていた。
「・・・アンドレ、無事かい?」
「はい、お兄様はお怪我はないですか?」
「ああ、なんせ援軍がいるからね」
「そうそう、俺が来たから安心して下さい」
アンドレ達の元にいたのは、モナが“銀さん”と呼んでしまいそうになる人物、チェルキョだった。
「わたくしも居ますよ」
「リネアはお腹空いていないか?体力は大丈夫か?」
「(ぐきゅるるるる)うぶです。」
大丈夫です。と言ったはずが前半はお腹の音でかき消えた。お腹は正直である。
「あっお待ち下さい」
リネアが消えたかと思ったらシュパァと星のように走り抜けようとしていたネズミを仕留めた。
「おわっ!?メイドの嬢ちゃんがやってくれたぞーーー!うおーーー!」
「ありがてぇ!サンキューな!うおーーー!」
騎士団の面々がリネアの活躍を大きな声で褒め称えている。リネアもドヤァ顔だ。少し血なまぐさいが。
「お兄様?リネアが段々と人間離れしていっている気がいたします。」
「何を言っているんだい。そんなこと食欲からして凄まじかったんだから今更だよ?」
アンドレもディオもリネアの活躍に見惚れつつも仲間で良かったと心から思う。
「おっ、こっちも出てきたぜ!」
リネアの活躍に触発されてチェルキョもやる気満々なそんな折、足元の土がボコリと膨れ上がり、ニヤリと笑みを浮かべた。
「おらぁ!水流勃波」
盛り上がった土の手前に剣を突き刺しそう言うと、間欠泉のように盛り上がった土から水が吹き出し中のものを吹き飛ばした。剣を突き刺したら飛び出すなんて、まるで黒ひげ危機一髪である。ぽーん。
ムキムキマッチョな気持ち悪いネズミが宙を舞ったところをチェルキョはスパッと倒した。
「おお!あっちのあんちゃんもなかなかスゲェぞー!うおーーー!」
「俺達も負けてらんねーぞー!野郎どもーー!うおーーー!」
「だそうです」
「へへっ(ドヤァ)」
アンドレはチェルキョへの騎士団の評価に拍手を送りつつ、あれ?この街の騎士団こんなに品の無いタイプのコワモテ集団だったっけ?とそっちに少し引き気味だ。
「すいりゅーなんとかってなんですかしら?」
「あれは、今思いついたものだ!すごいだろ?」
チェルキョの発言はかなり適当だということしか分からなかったので聞いたリネア本人は半ば呆れていた目線を送っていたけれどそう見られているチェルキョ本人はリネアの冷たい目線には一切気づいていなさそうだった。
「だいぶ減ったかな?」
「そろそろ打ち止めならいいですね」
「スズ?モナ達は、安全なんだよな?」
「そうだよ!モナは大丈夫だよ!スズが保証するよ!」
「モナママ強いもん!」
アンドレ達の近くにはスズメのスズちゃんとケセランパサランのフテゥーロちゃんがふよふよと飛んでいる。ちなみにふたりは戦力外だ。
「スズほんとーは戦えるの。でもね、モナの力を使っちゃうの。今はモナが自分の力をいっぱい使う時だから、スズは使わない方が良いの!スズが使っちゃったら、モナの力が減っちゃうから、アッチがもっと大変になっちゃうの。」
「ぼく、わたし、は戦ったこと無いの!スズちゃんすごいね!」
「フテちゃんはフテちゃんだからいいの!スズのともだち!」
「スズちゃん!ありがとう」
なんだかふよふよ組は見ていると和む。
「ハッ、しまった。コイツら見てると仕事がおろそかになってしまう!」
チェルキョが大声で我に還った。しかし周りも誰も言わないけれど同じ思いだった。
(わかる。)(同感)(もっと喋らないかなぁ)(見てて飽きない)
ユーチューブの可愛い小動物動画をついつい見てしまいがちな、そういう空間だった。うん。しょうがない。
可愛くない小動物という状態のネズミモンスター共を見たあとだとどうしてもスズちゃんとフテゥーロちゃんで癒されてしまうのは避けられない事実にしかならなかった。
「いいえ、むしろ打ち止めになってからが本番ですよ」
「ニャー」
ディオは背筋をゾクリと冷えさせた。後ろから聞こえる今まで待機させていたネコの鳴き声が響いたからだ。
ネコ達は気まぐれだった。この掃討作戦中にみんなと共にネズミを追いかけるネコは待機するネコのほんの1部しか動いてくれなかった。
とてつもなくめんどくさそうに、なぜ自分がそいつらを追いかけなければいけないのかというような、まるで女王様のような出で立ちで木の上でゴロゴロとしているのがほとんどだった。
そのネコ達が動いた。
「全ての穴からネコがネズミを倒し尽くす・・・」
「本当に出来るのか?」
騎士団から漏れるのはこの先のネコ達が向かう場所への厄介さ故への言葉だった。
「ダンジョン化鎮圧は僕達に任せて下さいにゃ」
灰色のネコがランランとした目で答えた。
「トカキと言ったか?」
「はい?」
「頑張ってくれ」
「はいにゃー」
灰色の砂棘猫のトカキは他のネコの集団を引き連れて穴へと突入しながら、叫んでこう言った。
「りーだーの功績のために!ダンジョン潰すにゃーーーー!!!!」
「「「うー!にゃー!」」」
全ては別の場所で奮闘しているビャッコの為に!と自称ビャッコの右腕であるトカキはドドドドと穴へと消えていった。
「お兄様?」
「どうした?」
「モンスターのネコでも愛の重い種類もいるのですね?」
「どうだろうね?あ、リネアがそろそろ限界だから1度後方に引くよ」
「あっはい」
騎士団の面々に前線はまかせてディオ達一行は遅い朝食を取りに作戦場所の後方に下がるのであった。
薬屋のひとりごと2期に!にやにやしながらアニメ観てます。ああもう!サイコーーか!!!
あとね、
「ベル・プペーのスパダリ婚約」の漫画めっちゃ面白いから見て!!絵が美麗!可愛い!カッコいい!可愛い!カッコいい!鼻血出ちゃいそう!はあはあはあ!
第1話ってどんだけ長いんだって言う感じのコメント入れたらいつの間にか削除されてたけど、気にしない!だってずっと1話だったんだもん!気になったんだもん!
ようやくそろそろ2話か!コメント消した人意味わからんけど、別に作品貶めてないからねーーー!(大声!!)
どちらも「漫画UP」で漫画読めるよ。手放せない漫画アプリ過ぎる。
あっ次回は15日予定です。