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第378話

予定よりかなり遅くなりました。申し訳ない。

モナの力を目の当たりにした騎士団の面々は、力を使ったモナがレフティやカメーリャと共に居なくなってからも興奮冷めやらぬという感じで多くの者は語り合っていた。


「見たこと無いスキルだったな。」


「使徒様だからだろう?きっと特別なのさ。」


「なあ、今更だけど聞いていいか?」


「どうしたどうした」


「俺あんま学が無くてな。使徒様って言うのはあれか?おとぎ話に出てくるような聖女様みたいなもので合ってるか?」


「ああ、まあ似たようなもんじゃないか?」


「女の子だし、聖女様であってるな!」


「だな。」


「まてまてまてまて!使徒様ってわざわざ言ってるんだぜ?聖女様じゃなく。つまり、聖女様とは少し違うんだよ」


「どのへんが違うんだよ?」


「えーと、ほら!神が遣わしたのが使徒様だろ?聖女様はお告げ聞くだけだと思う!どうだ!」


「あんまり変わん無くねぇか?」


「だな。」


「ヤベェ、俺気づいちまった。」


「どうした?何を気づいたんだよ。」


「伝説上の勇者も昔、使徒様だったって話だったはずだ。つまり、あの子は聖女様ではなく、実は勇者様だったんだよ!」


「な、なにーー?!って言うと思ったか。それなら素直に使徒様じゃなくって、勇者様だって知らせたほうが良くないか?朝から戦いに赴くのに、使徒様って肩書きよりも勇者様の肩書きの方が、俺ら騎士団員にはどう見積もったって好意的に映るんだからな。」


「なるほど。」


「俺らはミーハーだからなぁ。戦闘凄そうなのって憧れあるよな。」


「だろ?」


「わかるぅ」


「じゃあ勇者って説は違うのか。いやでもなぁ。」


「なんだよ?歯切れが悪いな。」


「小耳に挟んだんだけどな、勇者しか持っていない技だか魔法だかをあの子が持ち合わせているって聞いたんだよ。」


「はあ?」


「なんだそれ、本当か?」


「いや忘れてくれ。どうせ眉唾物だしな。」


「あぁ」(と言っても気になるな。あとで調べるか・・・)


「わかった」(って言っておこう。もし本当ならすごいことだぞ?)


結局、モナという子供に対して“使徒様”として丁重に扱うのか、“聖女様”として見守る姿勢をとるのか、“勇者様”として持ち上げるのかは、座礁に乗り上げたようでそれ以上話題にあがりそうになくなった。


まあ当人達にとってある意味こんな話題など娯楽の1つのようなものだったのでそこまで凄い意味を持つような会話ではなかった。


「話は少し変わるけどよ」


「なんだなんだ」


「あの歌、やっぱり歌わないといけない、よな?」


「あー、あの歌か。今回の作戦のキモだとさっき言っていたけれど、俺達が指名されたんだ。やらなかったらカメーリャ団長達の顔に泥を塗る行為になりそうだからな。嫌だからといって、やめるわけにはいかないだろう?」


「そうだよなー。でもなー。」


「うーん。気持ちはわかるぞ。あの歌はな、歌いづらいよな。」


「俺ぐらいの年齢になると鏡を見るとどうしても気になってくるんだよ。なのに、あの歌を敵に送らなきゃいけないって、背筋が冷えそうだ。」


「俺の親父は大丈夫だったんだけど、祖母の家系にいたらしくてな。俺もいつ娘に心配されるのか気が気じゃないよ。後ろはあまり見えないからそのうちなってるかもしれないからな。」


「そうだよな。あの歌、俺らに向けてじゃなくてよかったよな。というか、俺達、騎士団の音楽部隊が歌うだけで本当に戦力なんかになるんだろうか?」


「信じるしか無いよな」


「そうだな。やるしかない。もし失敗に終わったとしても、音楽部隊として死ねるなら本望だ。」


「俺そこまで音楽部隊に思い入れないからさすがに死にたくはないな。」


「あぁ、お前はまだ入って数ヶ月だったものな。じゃあ、お前の為にもこの作戦が成功することを祈っておかなきゃな。ははは!」


「そうだな。成功してみんなで生き残ってやろうぜ!」


「めちゃくちゃ野太い声を響かせるぞ!」


「やるぞー!」


「「「おーー!」」」


騎士団には“音楽部隊”と呼ばれる部隊組織がある。


主に戦争などの抗争に重きを置いた使い道の部隊でラッパでの単純な合図から、凱旋パレードなどによる太鼓やトランペットによる騎士団の指揮向上含む華美なものまである。


日常で言うなら、騎士団内部にある時刻を知らせる鐘の音を鳴らすのも業務のひとつで、何か騎士団内でお祝いでもあろうものなら歌や音楽を騎士団内で披露して場を沸かせることもある。


主に、体に大怪我を負ってしまい剣を持てなくなった者や、戦闘が苦手だが経理は出来て今までやってきた隠居のご褒美として騎士団をやめる2〜3年前から部隊に所属希望する者などが集うような、そういう部隊ではあるが、1部の人間は騎士団の本職片手間に趣味で音楽部隊に部活動感覚で所属している者もいなくはなかった。


今回、モナの発案してレフティ、カメーリャの両名が修正した作戦の一端に“音楽部隊”の声がよく通る数名が指名された。


ひとつの歌をネズミ共に喰らわせるためである。


「みんな気合い充分って感じだね。私らも頑張ろうね、コウチンさん。」


「ああ。というかいつからいたんだ?」


「おやびんがここで手伝えって言ったから来たニャ!」


オオカミのコウチンさんと、ぶち柄で紅一点のメスネコで楽しいことが大好きな祭り(フェスティバル)(キャット)のコエキは、ニコニコしながらも、少しいつもより近づき難い雰囲気を放っていた。


コエキは静かに怒っていた。ネズミに対してだ。


なんせ大大大大大好きなお祭りがネズミのせいで急に終わってしまったのだから。


隣にいるコウチンは、なんかわからないけれど怖い雰囲気のコエキの事を、気にはするけれど放置の姿勢で置くことにした。


(つついてヤブからヘビが出たら俺は何もできん。明日、俺は俺の事をやるだけだな。うん。)


コウチンはまだ寝そうにない興奮冷めやらぬ騎士団達の周りの灯りを見つつ明日に想いを馳せるのだった。

さすがに年末の忙しさの疲れがたまりまくっているみたいで、連日、寝落ち寝落ちな日々。リポビタン飲まなきゃ・・・(ごきゅごきゅ・・・)




申し訳なさすぎて、明日も更新がんばる。


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