第377話
「にゃるほど。ふーむ」
「さて、こっちの説明は終わったし、ビャッコの方も説明してほしいべ」
「あ?何がだ?」
「ねえねえ、ビャッコどうやってここに来たの?魔法?それにしては気配が全然なかったけど」
「ああ、そういうことか。それはにゃ、モナのスキルを使ったんだ。」
「「ええっ」モナちゃんの!?」
ミギィとテンクウは辺りをキョロキョロしだしたけれど、ビャッコはハンッと鼻を鳴らして答えた。
「俺様だけしかきてねぇよ」
「なぁんだ」
「っだらおかしいべ」
「ん?ミギィさんどこがおかしいの?」
「何かを移動させるなら、命のない物のみって言われとるんだ。もしくは、生きているものならばスキル所持者のみってな。スキル所持者じゃない生き物だけをどこかに送るだなんて聞いたこと無いべ。」
「ほえー、なるほどぉ。ん?でもビャッコ来たよ??」
「モナもな、起きてから力が変化したみたい〜とかなんとか言ってて安全だからって確信持って俺様を送り出してたぞ。」
「そんなことって・・・?いやぁ、たまげるなぁ。」
「たま?けるの?」
「びっくりしたなぁってことだべ」
「普通にびっくりしたっていえばいいのに」
「ついつい出ちまうもんなんだ。そったら、テンクウも寝ながら足だけ走りまくってるのやめたらいいのに。」
「えっまた走ってたのボク?うわぁ恥ずかしいなぁ〜。んでもでも、寝てる時って止めらんないよね!だって寝てるんだし!」
「ワタシのおったまげたも、似たようなもんだべ」
「なるほど〜!じゃあ仕方ないね!普通って難しいなぁ」
「もう話に入ってもいいか?俺様まだ話の途中だったんにゃが。」
「あっごめんね、ビャッコ」
「すまんかったな、んで、続きってなんだべ?」
「実はモナの立ち位置をレフティのバアさんが新しく作ってな」
「何しとるんだレフティってば・・・」
かくかくしかじか(モナは実は神の使徒様だったんだよ!騒動)
「なるほどな。んで?今、丁度モナちゃんのスキルお披露目しとる感じか?」
「まだ始まってにゃいだろう。俺様は先に送り出されたんだにゃ。近くにいる騎士団をとにかく集めてモナの力が有用だからというのを周知させておく必要があるらしいとかにゃんとか。まだ騎士団集まって無くて暇だからって、俺様をこっちに先行投資するとかなんとかいってたにゃ」
「モナちゃんはやっぱりすごいなぁ。ボク、モナちゃんの1番の獣僕で鼻が高いよ!ふふん!あ、でも神の使徒ってウソなんだっけ。でもボクモナちゃんには使徒でもいいからみんなには凄い人なんだぞって言われてるの見てみたいなぁ」
「うんうん、それは同感だにゃ」
「よくわかんねぇべ??」
モンスター同士同感しているがミギィにはさっぱりな感覚でしか無かった。
「ここともう1か所のどちらかか、それとも両方がダンジョンの可能性があって、スタンピードって呼ばれるやつと酷似した何かが起こっている可能性がある。ってことは、まあ、厄介しか見えないべ。」
「ダンジョン?ボクわかんないや〜」
「と、いうわけで俺様が手伝えることはにゃいか?」
「あるある!ものすごーーーーくある!!ビャッコ!手伝って!あ、仲間いっぱい呼んでくれてもいいよ!もっともっと助かる!」
「ああ、残念ながらレフティのバアさんが猫の手も借りたいって言うから、もうとっくに2匹は貸し出してる。他にも今諜報活動してる奴らがいてにゃ、こっちを手伝えそうにゃのは・・・お?近くにいそうだ」
「え?どこどこ?」
テンクウは鼻をあちこちに向けるが気配も匂いも見当たらない。
「いなさそうだよ??」
「まてまて。すぅーーー・・・。斗火鬼ーーーー!!!!」
ビャッコの魔力ののったような声が響いた。しかし少し離れた所にいた騎士団はそのビャッコの大声にビクリともしないまでもか、まるで聞こえていないようだった。
実際、騎士団の人達には聞こえていなかったのだが、ミギィとテンクウは耳を塞げば良かったと思いたくなるほどだった。
考えるまもなくどこからとも無く呼ばれたトカキがシュバッと現れた。
「リーダー!!僕!僕をお呼びですか!リーダー嬉しいです!何用ですか。って犬じゃにゃいですかーー。って、人間も居ますよ。あれ?僕達のことバラして良いんですかにゃ?」
「トカキすまにゃいな。このバカ犬が助けて欲しいから仲間も呼べってうるさくてにゃ」
「ビャッコってば!もう!そうだけど、なんか言い方ちがくない!?ボクそんなにうるさくしてないもん!」
「ほらうるさいだろ」
「うんうん。ホントですねー」
「・・・・・・・・」
ミギィは黙ってみていることしか出来なかった。
テイマモナのもっているスキル、大童とは。
大乱闘スマッシュブラザーズのような事ができるスキルである。HPゲージが見えるようになり、基本的には相手をKOさせれば勝ち。
ルールはスタート前に変更可能なので勝ち負け判定はその時によって変わるので、HPの残りとか、先にKO5回したほうが負けとか、本当に色々出来る。
水風船割り大会だとかアレンジもできるため、単に運動会のために開くとかだけでも出来る。
これをネズミ駆逐の本番で使うにはちょっとイメージが湧かなすぎて使わないことにレフティさんと話し合った。しかしこの大童は、私の力を見せるにはとっても分かりやすいスキルだ。なんせ、地形とか色々いじれるのだから。
「モナちゃん、本当にこの真っ暗ななか、スキル発動やるのかい?君の為に騎士団員集めたけれど、この通り木々も密集してるし、危ないよ?今ならまだ間に合うよ?朝になってからにしないかい?」
カメーリャ騎士団団長さんが未だに私の説得を試みている。
「カメーリャ、いい加減にせぇ。こういうのは早いにこしたこたぁないべ。今知っとけば、朝んなってすぐに総攻撃むかえるけんど、朝にコレしたら昼まで絶対ズレるべ。わかっとるだろうが。」
「そろそろお子様は寝る時間だよ?」
カメーリャさんは無視。こんなにめっちゃ人数呼んどいて今更辞めますってどの口が開けば良いんですかねぇ!?
「そろそろいくよ」
「わかったべ。ほらほら、始まるから目の穴かっぽじってよーーく拝んどき!めったに見れない力だべ!」
やだもう。レフティさん!持ち上げすぎだよぉ・・・!(苦笑)あー、やるしかない!頑張れ私。どうにかなれーーー!
「大童!・・・・・しらなかったよーーー♪空がこんなにあおーーいとーは♪手をつないで歩いていって、みんなで見上げたそらーーー♪ほんとにあおーーいそーら♪」
昔、小学校の教科書に載っていた歌に合わせて大童を起動して作り上げた。なぜって?それはね。
「空が!」「なぜだ!」「どういうことだ!?」「時空が歪んだんだ」「いや、スキルって言ってただろ」「スゲェ」「まじかよ」「やばくね?」「ヒュー♪」
そう、辺りはもう夜。暗くてスキル発動なんて見えづらいったらない。だからこの大童の使用範囲内だけ、昼間にしたのだ。
こういう事には私のイメージが大事になってくるので、他のスキルを並用したわけではないけれど、歌ってみた。成功だ。
(しかし騎士団の人達驚きすぎじゃないだろうか。なんだか、不安になるなぁ。もっとすごいスキル持ってる人とか世界にはいるだろうに。)
モナにはIF世界だったこの国の未来の記憶があったから余計にそう感じていた。騎士団の面々は単に素直に意見を口に出していただけなのだが、モナの知っている未来にいた騎士団とは、別の騎士団であることが抜け落ちていた。
ここロッテリーの砦の騎士団と、モナのIF世界での出会っている王都の近衛騎士団とでは、役割も人間性も大きく違うのだ。
そしてIF世界のロッテリーの騎士団は指導者がほとんどいなくなってしまってかなり縮小されていた為に、荒んでいたとも言える。
だから、本来のこのスキルの正当な反応は今回のような反応が普通なのだと、モナはまだ知らなかった。
モナが歌ったのは「空がこんなに青いとは」ってタイトルの曲です。「サモア島のうた」と迷いましたが、空だけ変えたかったのでヤシの木でてきちゃうからなってやめました。
次回は17日予定です。
年末どこで更新オシマイにして年始どこで更新再開スタート切るか未だに悩んでます。
今回の年末年始は楽しむぞーー!
─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ