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私はテイマーではありません~ナゼか周りにもふもふがいっぱいな件~  作者: 沖宮途良
第3章

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第376話

かなり遅くなりましてすみません。

「はあ、もう真っ暗だよ〜」


黄金(ゴールデン)弾丸(ブレッド)(ドッグ)というモンスターで見た目がまんまゴールデンレトリバーなテンクウは、見つめたくもない地面を見つめ続けながら呟いた。


辺りは片付けられていない祭りの屋台がチラリと見える位置の鬱蒼とした林の中だった。


「モナちゃんの今どうしてるかな。ボク、頑張ってるからあとで絶対褒めてもらうんだ。」


目の前の地面は下に向かって大きな穴が空いていた。言うなれば、うさぎの巣穴のような大きさの穴だった。祭りの途中から騒ぎが起きて、色々やっていたら気づけば辺りは真っ暗だ。


もっともっとお祭りという空間を楽しみたかったのに。沢山の笑い声、色々と混じり合う美味しそうな匂い、日常とは違う特別な日。


以前、テンクウも祭りは野良犬のフリして歩き回ったことはなくもないけれど、どこが楽しいのかよくわからなかった。人の笑い声を聞くと、なんだか物悲しくなったのだけは覚えている。


でも今回はずっとずっと楽しいと思えた。だからもっと楽しみたかった。なのにぶち壊された。コイツに。


目の前の穴からネズミが1匹現れた。テンクウはバウバウと大きく吠えると、ネズミは風に煽られて気絶した。テンクウの吠えたその声は音波のようなものを纏わせて、近くのものの脳波を混乱させて気絶させた。


「また、捕まえたべ?」


音を聞きつけてやってきたのはミギィさんだった。


「ワフッ」


「ええからええから。モナちゃんが隠そうとしてたから気づかないフリしてただけで、実は気づいてたべってさっき話しただろう?普通に喋ってぐれで、かまわないがらな。喋れるモンスターなんてこったら、珍しいけんど、んでも、テンクウは悪いやつじゃあないって知ってるべ。」


「・・・・うん。わかった。でもさ、いきなりそれと、更に騎士団にバラしちゃうのはボク逃げようかと思ったよ?」


「んとに、申し訳ないとは思っとる。けんどな、こったら事件が起きすぎだべ。逃げ隠れすると、ムダに疑われちまう。あと、連携が取りにくいからな。こういう事は共有するに限るべ。」


「んーーー、よくわかんなくなってきた。あ!じゃあ、モナちゃんにあとでお話して決めてもらおう。」


「何をだべ」


「ボク悪い子じゃないよって!」


ブハッとミギィがついつい吹き出してしまった。


「なんで笑うのさ〜」


「いや〜テンクウは可愛いべ。そのまんまでいてくれな?」

 

「・・・・バカにしてるわけじゃあないよね?」


「あ?どこがだべ?(真顔)」


テンクウもよくわからなくなったので、話はそこで途切れた。ミギィは倒れたネズミを薄汚れた巾着型の袋にネズミを入れて口を縛った。


テンクウとミギィのいる場所から少し離れた所には騎士団達が交代制で別の穴から出没しているネズミを駆逐している。そちらのネズミは全て剣で屠っており、生かしてはいない。


「テント、コレ食べとき。」


「オヤツ!」


テンクウの目の前にはミギィさんの手ずから、ビーフジャーキーみたいな干し肉が渡された。しがしがしながら、ヤムヤム、ウマウマしてるテンクウ。


「そのネズミから何かわかったの?」


「テンクウもその穴から何かわかったのか?」


「んー、ボクがわかったのは風が結構遠くまで通るってことくらいだよ。道がいっぱいあるみたいで風は途中までしか通らないんだ。どうしても途中で消えちゃう。うまうま。協力してくれる誰かが中から助けてくれるならもっと分かると思うんだけど、出来そうなのいないから、もう無理かなー。うまうま。」


「こっちも収穫はイマイチだべ。ただし、病原菌はあんまし体についてないみたいで、こんネズミから病気が蔓延なんてことは無さそうってわかったぐらいだべ。」


「そっかぁ、よくわかんないけど騎士団って、本当に凄いんだね。ガジガジ。モナちゃんが病気にかからないなら安心だね。」


「んだべなぁ。」


なにやら物思いにふけり始めたミギィの事を、テンクウは不思議に思った。


「あのさ、ミギィさ・・・」


「んにゃおおおおおおぉぉお!?!?」


「ええええええええー!?!?」


話しかけようとしたその時、テンクウとミギィのその隙間を埋めるように、急に真っ白いネコが現れた。


「「ビャッコ!?」」


「んにゃ!?・・・す、スゲェ。本当にテンクウなんかのそばに来たニャ。にゃんじゃこりゃ。モナはおかしすぎる。あ?今更だけどちょっと待てよ?帰りは?行きはよいよい帰りは怖いってわけじゃにゃいよな?あれ?俺様が怖い?んにゃことあるわけにゃいにゃ、そんなことよりとだな。」


「ミギィさん、なんかブツブツ言い出したよ?」


「テンクウ、こういうのは静かに待っとくのが正解だべ。」


「そうなの?わかった。ボク持つよ!」


「テンクウ!オマエ、今のここの状況説明するのにゃ!簡潔に!わかりやすく、短く、丁寧に!オマエのその主観は要らにゃいから、大事な事をザックリと!」


「え?え?え?・・・・うーん、うーん、ネズミが出て病原菌はいないんだって、でも騎士団の人達がネズミやっつけてるけど、出てくる穴の中からまだ出てくるんだよ。だからボクじゃ無理だからずっと睨んでるんだよ!ふふん!どう?ザックリと出来たと思うよ!」


「・・・は?意味わからん!やり直し!」


「えええええ、ボク頑張ったのに!えーと、えーと、うん。ボク無理だから、ミギィさんお願いします!!」


「ピンチヒッターってやつだべな」


「なぁにそれ?」


「にゃんでミギィがいる!?テンクウどういうことだにゃ!?裏切ったのか!?」


「何をどうしたら裏切ったことになるのかボクわからないよ。」


「・・・すまないが、ちょっと時間もらうべ、ビャッコ。」


ミギィの説明はそこそこ長くなりはしたけれど、ザックリとし過ぎたテンクウの説明よりかはとても全然安心して聞けたので、ビャッコは少々複雑な気持ちだったけれど、話を聞いたのだった





次回はまた明日頑張る!

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