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第371話

359話、360話と同じ土台の話です。


前に書いたアンドレの話のものと一部重複してます。だからか長い。すみませんぬ。




このストーリーのモナ自身もまだ喋っていないストーリーが出てきます。


へへへ。




男はとある女と関わり合いが深かった。

そしてその男はその女のせいで道を大きく反れた。

しかし人生とは面白いもので、その男は女の事を一生忘れられなくなり、そして言うのだ。



「俺は不幸だ」

「俺は幸せだ」

「俺はバカだ」


3人の男はそれぞれの人生を総括してそう言った。


しかし女は気づかない。男の人生が女のせいで反れたことなど、女は気づかない。


男が自分で決めた道だと女は思っていたからだ。3人の女は真実を知った時こう言うだろう。


「アイツはバカだった」

「あの人はアホだった」

「その人は愚かだった」


女は男に対し辛辣だったが、愛の言葉を吐いていた。








アンドーレリユース、彼は幼少の契りから特別な力があると親に認知されていた為に、本来静かに暮らせるはずの地位から無駄に高い王位継承権を受け、人からやっかみなどを受けていた。


高価なポーションなどで怪我も何もかもを治せはするけれど、精神的なものはポーションでは治せない。


医療関係者も頭を悩ませていた。体を治しても治しても、食べ物を吐いてしまったり、悪夢にうなされて長い事眠りにつけないのだ。


アンドーレリユースはひとりの兄には恵まれた。妹や弟の事を気にかけるのが、自信の美徳とでも言うように、周りから色々と言われても、毎日のように通ってくれる、そんな存在があった。


お兄様と慕った人、それはディオールウェリスその人だった。兄だけど、親のようでもあった。日々短い時間で楽しいことだけではなく、この住んでいる城で起きている混沌とした事柄を教えてくれた。


それは単なるおとぎ話ではなく、現実のことだったけれど、夢も希望もなさそうなのにとても耳心地がよく、頭から離れられなかった。


体が弱いと思われ、各地の保養地に行き、王城での暮らしの期間を少なくしようと考えたのはアンドーレリユース本人だった。だからまさか、8歳のあの日、暗殺されそうになるなど思っても見なかった。


毒を食らい、死ぬ間際だった。毒殺しようと企んだのはメイドだと聞いて、更に人間不信になった。身の回りの世話を誰かに任せることも減らそうと、命が助かったその時に、涙ながらに誓った。


王城での暮らしは窮屈極まりなかったから、街に繰り出した。王家の派手なことが好きな面々は顔が割れていたけれど、病弱だと言われていたアンドーレリユースは街に繰り出しても王家の者だとは気づかれなかった。


毒も入っていなければ、温かい屋台飯。誰にも冷たい目をされずに好き勝手歩ける街はアンドーレリユースにとってのお兄様と同じような、心温まる逃げ場となっていた。


しかしまた王城で毒騒ぎが起きた。苦い思い出の場所だった毒を食べた保養地でも一緒だった数名の人間が捕まった。メイドは冤罪だったらしい。冤罪の人間は切り捨てて、本来の犯人たちがのうのうと近くにいた事に吐き気がした。


記憶を新しく更新するのはどうだろう?と珍しく声をかけてきたのは一番上の兄上で年齢差だけ見れば親子ぐらいもの差があった。もうほとんど王位継承する予定だったから余裕があるのか、久しぶりに話しかけてきたのが不思議だった。


この時点でもうお兄様があの館の主になっていたので療養と言うよりも、お兄様に訪問というような形になってしまっていたが、久しぶりに会えるのを楽しみに向かった。しかし、当人は街の復興に忙しく、あまり会えなかった。


アンドーレリユースが王城にいた数年の間にロッテリーの街では色々と事件が立て続けに起きていたらしく、それを知らなかったのはアンドーレリユースだけだった。


一番上の兄上は2人は特に仲が良いから、兄弟として手伝ってやってくれと言うことだったのかもしれないけれど、ディオールウェリスにもアンドーレリユースにもその真意まで伝わらなかった。ただただ2人ともがお互いに大切にし過ぎて、身を引いてしまった結果に終わった。


そんな時、アンドーレリユースは復興手伝い中の人物と出会い、その人達を師匠と呼ぶようになった。師匠達に教わることはとても面白かった。そして何より、その師匠達についていくだけでお兄様の手伝いになったことが驚きの連続だった。


師匠達に言われた。住む場所によって空気も違えば食事だって考え方だって何もかも違う、と。せっかく療養と称して色んなところに行けるなら、それを逆手に取って色々やってみるのも手だよ、と。


アンドーレリユースはそれから諸国をまわることをしてみることにした。いくつか回って、嫌な思い出も消えそうになった時、速達の手紙が届いた。どこにいるかもわからないようなフラフラとした人間に、手紙が届いたのだ。中を開けてみると、衝撃的な事が書いてあった。


お兄様が刺された。足が2度と動かないかもしれない。しかも刺したのは妻だった元領主の娘。しかも長年浮気をし続けていて、などど色々と綴られていた。


お兄様は人が良すぎるとは薄々思っては居たけれどまさかこんな大ごとになるような、一歩間違えば死んでいたかもしれない事に足を突っ込んでいただなんて思ってもみなかったことだった。


人が良すぎても、死ぬ可能性がある。人を疑ってかかっても精神的に死ぬ可能性がある。この世界を呪いたくなった。


お兄様に気づけば新しい女がまとわりつくようになった。見てくれはこの王都にいなさそうな顔立ちだったけれど、そこから離れた場所にもこんな民族いただろうか?と思うような女だった。


女はテイマモナと言った。幼目の顔立ちだったのに年齢はお兄様と大差ないと言っていた。普通若く見えるなら若く嘘をつけばいいのにと思ったが嘘などではなかったらしい。魔女か何かだと思った。


2人になった時に話してみると案外話しやすいなと思い、少し考えを改めた。悪い人では無いのかもしれない。お兄様のあの刺した元妻とは違う目つきを見て、お兄様を共に分かりあえる同志だと思った。


気づいた時にはお兄様とモナは仲睦まじくなっていた。悪いことだとは思わなかったけれど、心がざわついた。心を落ち着けるために、あえてモナの事を姉上と呼んだ。


モナは土地神から依頼を受けてこの世界に来たらしく、その依頼を達成する為に急激に仲間を増やしていた。昔の俺のようにも見えた。何かに追い立てられて焦っているように見えたからだ。早く大人になりたいと焦っていたあの頃の俺に。


モナは急激に増やした仲間を思い泣いていた。いや、泣き声を漏らさないように、無理矢理気持ちを押さえつけようとしていた。痛々しかった。何もしてやれない自分がもどかしかった。


いつの間にか俺の心にはモナで溢れていた。でももうモナにはお兄様がいる。応援こそすれ、横槍を入れる気はなかった。


モナはめげずにも仲間を増やし、また死なせて苦しい思いをし、そしてまた仲間を増やしを繰り返した。大きな事件は度々起きたが、それはモナが


その間にも、お兄様とモナの結婚は決まり、本当の姉上になった。好きな2人が一緒になってくれるのは嬉しかったはずなのに悔しかった。


新婚のふたりを見るのが忍びなくて、少しの間離れた。消えた師匠達の事も気になって、また諸国をひとりで回ることにした。


帰ってきた時、モナはなぜか疲れ果てていた。やつれていた。まるで昔の俺のようだった。相反して、なぜかお兄様はとても元気だった。そしてなぜか、もうやらないと言ったはずのモナの力を常にまとわせていた。疲れるはずだ。モナはお兄様が起きているほとんどの時間をお兄様に使っていた。


モナを元の世界に帰すためにお兄様と俺とでこっそりとやっていた事があったはずだ。しかしそれも、相談していた相手が行方をくらましてしまって頓挫していた。お兄様に任せきりにしてしまった自分を呪った。


モナは仲間を増やすことを辞めていた。お兄様が子供を欲しがっていて、モナが魔力量を増やしすぎると、お腹に子供が出来た時に病気になったまま産まれてくる可能性が高くなると言われたからだそうだ。


間違いではないが、そういう時用の対処する道具などがあるはずなのに、お兄様はモナに伝えていなかったようだ。しかし、お兄様が本当に危惧していたのはそこではなかったらしい。


色々と言い訳を聞かされた。お兄様はこんなに打算的な人間だったのかと、怒りを通り越して呆れた。年月は人を変える。あんなに愛していた人達は幸せそうではなかった。


色々とすれ違いもあった為、結局喧嘩別れということも無く、話し合いが続いた結果仲直りをした。夫婦というものはよく分からない。


しかしさすがに子供が出来ないのは何かあるのではと、モナは改めて依頼の続きを開始する条件で依頼者の女神に聞きに行った。


元々異世界から来たモナとではこの世界の者とは子供自体出来なかったらしい。知らなかったとは言え、モナはお兄様と子供を預けると約束してしまっていたのだ。モナも子宝に恵まれようと色々していたのに今更出来ないと言われて思いのほか落ち込んでしまった。


女神はモナと新たに契約をした。契約を達成したその際子供を授けようと。俺達の目の前に現れた、それは新しい子供の魂だった。その魂はモナと何日かに一度喋れる機会を設けられた。


モナにもお兄様にも、そして俺にも、新しい日々が始まった。


しかしそれは決して楽しい日々などではなかった。師匠達が帰ってきた。沢山のモンスターを引き連れて。


それからはお兄様の治める街、ロッテリーは徐々に戦火に包まれるようになった。元々この街はテイマーの街と呼ばれていた。モンスターを強制的に従えて、モンスターにはペットどころか奴隷以下の扱いをしていたらしい。


それの反乱らしいものがいくつもあって師匠達の知り合いも沢山死んだらしい。


そしてその元々の元凶は、モナの後ろに控えている、女神だったと。


モナは前々から神殺しをしようと何度も何度も何度も考えていたらしい。女神の策略は全ては知らなかったけれど、まさかこの街をひとつ飲み込むほどの大ごとになるだなんてと、頭を抱えていた。


女神を殺したとして、もうこの自体は止められない。それならばこの自体を治めてからでないと、いけない。三つ巴にもしなってしまったら、モナは女神殺しも出来ず、子供も産めず、誰でもないただの人に人知れず殺されて終わる、かもしれない。


女神は憎かったが、生き残るためには師匠達と戦う他無かった。


戦いは激化し、口から鉄の味が滲んで、視界が狭くなって、師匠の遺体をこの目に見ても、涙も出なくなった頃、モナは女神の元に行ったらしい。


何が起こったのか分からないけれど、強烈な波動が放たれて、ギリギリ保っていた足元は崩れ去った。


次に目覚めた時、彼女の大きな叫び声で覚醒した。


女神は殺せたらしい。しかし、女神はモナに最後の力を注いで、モナを異質に変貌させることに成功してしまったらしい。モナはモナでは無くなりつつあった。


モナは何度も何度も、なりたくない、と、叫んでいた。


お兄様は震えて動けないようだった。


よく見るとお兄様のあちこちが切り裂かれたりしていて腫れていた。もうとっくに立ち向かって跳ね返された後だったのだろう。


俺が肩代わりするよ。そう言った。俺にはその特別な力がある。その力のせいで、王位継承権が上がってしまったりしたけれど、今となっては過去の思い出だ。


俺は俺の力を使ってモナの“魔王としてなるべく力”を全て貰い受けた。忌むべき、女神の力を全て。


俺は魔王になった。この力は本来は元の自分に戻ることも可能だった。しかし女神の力は強大すぎて抑えが利かない。もう二度と俺は俺には戻ることは出来ないだろうと悟った。


お兄様に少しばかり責められた。でも後悔してないよ。ほら、モナはモナのままだよ。


モナは事切れそうだった。でもとても幸せそうだった。俺のおかげ?どうだろう。子供は結局、産めそうにないね。


お兄様は言った。


アンドレはモナの事を私よりも深く愛していたんだよ。


何を言うんだお兄様。それは今言うべきじゃない。でもそうだな。


「俺はバカだ」


その言葉に集約されている。






モナが死んだあと、モナの為に用意していた策を作っていた男が今更来た。彼もボロボロで今にも消えそうだった。


彼の策とお兄様の力と俺の力を合わせれば、モナは別の場所で生き返ることが出来ると言うのだ。


彼女は家に帰りたがっていた。


別の場所で生き返る事が出来ればと、託したけれど、力が足り無かったのか、神の悪戯か。


モナの魂は時を越えてしまった。









魔王になってしまった上に、私を生き返らせる選択までしてと、思いながら、モナは呟くのだ。


もう二度とそんな事にはならないで欲しいと願いながら。


「その人は愚かだった」


もう会えない、別世界のアンドーレリユースに。


補足というかネタバレというか。


女神は死するまで女神として存在していました。オウジュが死んで、ジュンルはこの世界に生まれました。


オウジュのことは姉と一応言っていますが、ジュンルとオウジュは同じ土台の神様で、神が死んだら新しく神様として生まれ変わるというそういう存在です。


なのでジュンルはオウジュの時の記憶も多少持っています。ジュンルはオウジュとは全く別の人格を持っていますが、フテゥーロちゃんなどの魂の子供からすると、同じに見えます。


だからフテゥーロちゃんからすると、ジュンルもオウジュも魂を管理してる神様でしか無いので、フテゥーロちゃんからすると、モナママを紹介した人!という認識です。


ジュンルがフテゥーロを紹介したよねっていう話がモナからしていたシーンがあったと思うのですが、そこはつまり、実はそういうことなのです。


なのでオウジュという神の存在はモナがやった何かしらにより、完全に消滅して・・・・これからの本筋はどうなっていくでしょうね?ふふふ。






次回は28日ぐらいかな


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