第363話
モナの話の続きかと思ったか?
残念でした!テヘペロ!
アンドレの回でした。
「我はタイインなり!お願いだ、話を聞いて!やめて!石投げないで!我、痛い!はなし!きいて!われ、ないちゃう!」
アガペー!!とでも言うようにとっっても神々しく現れたハトに8歳の男の子が叫び声を上げたということもあってか、周りにいた大人達が子供を助けようとハトに石を投げて追い払おうとしてくれていた。
「なんかハトが泣いてるぞ?」
「でもほら男の子を助けないと!ボク?ボク?わかるかな?そこの君、こっちおいで!」
「さっきまでいたネズミの仲間なんだってよ」
「なんだって!?」
「あれ?その話どこから出たんだ?ネズミってハトと仲間なんて聞いたこともないぞ」
「きっとそうなんだ!」
「誤解だぁぁ!われ、ネ、ズミ、違う!のおぉ??せっかく、よくわからん、女どもが居ないと思ったのに、我どこでもなんでもかんでも嫌われているのか!?!?」
なんだか不憫になってきた。
アンドレは目を細めてハトを眺めた。ポロッポーと鳴いていたハトがなんだかペラペラと言葉を喋っている。こんなにはっきりと喋っていただろうか?
たしか館では突撃してきて危険だからリネア達メイドのリネア隊にハト退治を任せていただけだったはず。言葉を解すハトならばなぜアンドレ自身に突撃してくるのか、話し合いができる事になる。
おや??
「お兄様、あの、そのハト言葉が話せるのなら、なぜここに来たのか聞いてもよろしいですか」
「え?あのハト言葉が話せるのかい?」
「モナママどこ・・」
おや????フテゥーロは泣き止んでいるけれどずっとしょんもりしている。ハトに構わずにフテゥーロの方に時間を割きたい。本当なら今すぐにでもフテゥーロの方とモナについて喋りたい。
「お兄様?痛い、やめて!ってあのハトがうるさく喋っているじゃないですか」
「・・・・?ハッ!?そ、それはもしや、え?そうか、つまり、ふむ」
「お兄様???」
「アンドレ、新しい力の1つがきっと、モンスターへの言語理解なのかもしれない!アンドレ、人に見せる姿を変えてしまうその能力と共に他の力が開花しているのかもしれないよ!」
ウッキウキで喜んでくれながら未知との遭遇を教えてくれるお兄様がなんだか可愛らしく見えた。じゃない。ちがう、じゃなくて。えっと。
「つまり、お兄様にはハトの言葉は」
「聞こえないよ?」
ジーーーザス!モナがこの場にいたならそう叫んだだろう。
「力を持ち王になる子よ!我の主となってくれ!む、無理なら!我が逆に、そなたの師匠となって導くことも可能・・・って、石いったぁぁ!!!なげないで!われ、飛べなくなる!!!ひぃん!」
「・・・・」
なんかもう、助けるのどうしようかと思ってしまう。喋ってるの聞いてると気が抜けるというか、情けなさ全開過ぎて、勝手にどこか飛んでいってくれると助けなくても済むのになぁと思ってしまったり・・・・。でも、なんだろう。話は聞いたほうがいい気がするんだよな。
「ふぅ・・・・・す、すみませーーーん!みなさーーーん、このハトは、無害なハトでーーーす!俺は、えっと、僕は無事ですので、ハトに石投げるのやめてくださーーーい」
いつものアンドレの一人称は「俺」だけれど、なんとなくこの場の雰囲気に気圧されてついつい「僕」と変えて、叫んでみた。なんかもう、どうにでもなれーー。
「ありがとう!小僧!大義であった!よきにはからえ!」
助けてもらっておいて、大仰な態度のハトである。ハトだけにハトムネをエヘンと突き出している。
なんだか見ていてアホらしくなってしまう。そうは思いたくないのに、助けないほうがよかったのかもしれないと思わせてくれるこのハトは大概だと思う。
「俺になんのようなんだ。ことと次第によっては、リネア隊のメイド達を召喚してやるからな」
ちなみに召喚とか言ったが、言葉のアヤというか、牽制の意味合いもあって半分近く嘘のようなものである。呼び出したいが、今のこの夏祭りの会場周辺はこのネズミ騒ぎで慌ただしくてリネア隊を呼ぶ以前の問題だからだ。
「むむ、信頼されていない。改めて、自己紹介からいこう。我はタイイン。ハトである。本当は違うのだが、ハトで構わない。本当はとてもとても違うのだが、話が変わってしまうので、今日はこのところにしてやる。でだな」
なんだか勝手に不本意だが話をしてやってるぞ感を醸し出されて、やっぱり話を聞くのをやめようかなと思い始めたところで、重要な話が始まる。
「お主の足の、ズボン?と言うんだったか?その足の履き物の中に入っている物がダメになっているだろう。それを出して欲しい」
何のことだろうとアンドレはタイインのいうアンドレの履いていたズボンのポケットに手を突っ込んだ。くしゃりとした感触が手に当たった。
アンドレのポケットにお守りが入っている。なのにくしゃり?これはお守りの感触だろうか?まさか??
「ワタっぽいと思っていたけど、本当にわたあめをいれてたんじゃあ・・・」
入れ物にワタのようなものが入ったお守りがあったはずなのだ。それが本当にわたアメだったなら、やばい。砂糖だったら溶けるのは仕方ない。モナもまだまだ子供だし、やりかねない。いやでもまさか。
「アンドレ?」
お兄様が心配そうに見つめてくる。
手がべとつくのを覚悟で全体的に触ってみるが、ツルリとしていてまるでガラスのようだった。
「あれ?」
ガラスな訳が無い。アンドレでも知っている。ガラスは高熱でないと溶けない。ではこれはなんなのか。それをポケットから取り出した。
ひとつはモナが買ってくれたもの。ひとつはモナの手作り。その手作りの方のお守りの中身、ワタのような物が入っていたけれど、溶けて容れ物と同化してしまっていた。
くしゃりとしたと思ったのは2つが同化したつなぎ目のような部分が脆かっただけだったようで。それ以外は同化したことを除けば問題なさそうだった。
せっかくの貰い物がなぜだか変形してしまってとても切ない。それを見せながらハトに問いかけた。
「コレがどうかしたのか?」
「ふむ、やはりな。ひとつは単なるニセモノ。イミテーションともいう。もうひとつは本物。しかし早々に使い切りそうで形を崩している。しかし、思いのこもり方が同じのようだから、くっついてしまったのかもしれないな。何とも面妖な!面白い!実に面白い!」
全然わからない。なんなんだろうか??
「物事を俯瞰的に見れる人は対局を見れるものであり その人は大物になる。ただし そんな人はなかなかいない 。見れても自分の周りを見るのが精一杯なのが通常である!何を持って満たされるかは 本人次第 。満たされていればある程度 、人のものを羨むことは少なくなる。 絶対とは言えないそれは本人の心の大きさや本人の資質によることで変わってくる。我はだからこそ、その手元の物に我の力を付与して、お主との縁をきっちりかっちり繋げてもいいか?」
ハトは意気揚々と話すが着地点がアンドレにも近くにいるディオにもいまいちつかみ取れない。
「ぼく、わたし、わかった!」
「「えっ」」
「スズも理解したの」
「「ええっ」」
フテゥーロとスズが理解した!と宣言した。もちろん驚いたのはアンドレとディオだ。
「フテゥーロ、説明して、ほしい」
アンドレが静々というと、フテゥーロも静々と言わないといけないのかな?と思い、粛々と喋りだした。
「あのね、アンドレは大物になるんだって!すごーい!」
ふわふわとした丸い妖精のようなモンスターのような可愛い生き物はえっへんと鼻息荒く「スゴイ!」とアンドレを称賛した。可愛いけれど、意味が余計わからない。
「なるほど?」
「お兄様?」
お兄様がよくわかっていなさそうなのに頷き始めた。お兄様だけが頼りなんです。頷かないでください、お兄様。
アンドレはハトに話しかけなければ良かったと後悔した。
次回は11月4日予定です
アンドレのポケットには2個のお守りがあったけれど、1個になってしまっていた。なんでそんなことが起きているかと言われると、実はアンドレが死にかけるような事を一度していまっているのです。だから身代わりの雲が変形しているのです。
詳しいことはまた本編で。
ハロウィンだけどハロウィンぽいこと今年一切してない切ない。来年はハロウィンハロウィンしてやるんだから!ハロウィンハロウィン!はーーーろうぃん!
マガポケのシャフロの漫画のCGC編のサンラクのカボチャ頭でも見つめてハロウィン堪能した気分にでもなってやるんだから(どういうこと)