第362話
あっ・・・
◆作者はどこまで書こうか悩んで寝落ちした。◆
テッテレー
《あとがきにつづく》
もく、もく、もく・・・・。ジュワァと広がる肉の旨味。しかし口の中にはもう肉はない。溶けるようにして飲み込んでしまった。
口に残るのは舌先に残ったバターの香り。さっきの旨味をまた舌に乗せろとバターがいう。
また口にそれを運ぶとふわりと香るのはバターの香りだけではなく、煮込まれ完全にスープと化してしまった野菜たちの饗宴。
そしてまたガツンとくる肉の存在感。なのにまた肉は溶けて無くなる。
そうしてパクリパクリとスプーンと口とが動くと、気づけばお皿は空である。
モナは思う。5歳の体は小さすぎる、と。
真面目にキリッとしてみたけれど、食いしん坊なだけだった。大して食べられないこの体が恨めしい。もうお腹いっぱいだ。そして恨めしいと思ってしまう要因が、目の前にある。
こんっっっなに美味しい(たぶん)牛タンシチューを丼ぶり飯をかっ込むようにガツガツと食べて食べて食べまくっている人がいる。言わずもがなユーグリッドである。
「お腹すきすぎじゃない?」
ユーグリッドに向けて言い放ってみたけれど食べるのに夢中でこっちに反応を返してくれない。げせぬ。
待つことしばし。
「あ”ーーーーー、食った食ったぁぁ」
おっさん臭い言い方である。お風呂に浸かった時に出そうな音程だ。まあ、満足で何より。
ジト目に近い目で見つめているとユーグリッドの顔色が良くなったのがよくわかる。毛だらけだけれど、熊だけれど、疲れていたんだろうなぁ。今更ながら気づいた。
ここはユーグリッドの仲間が沢山いる騎士団のテントだ。気も抜いているんだろう。
「さてと」
その言葉が合図かのようにお皿を下げにクリストファーが退室した。
「嬢ちゃん、美味かったろ」
「うん。とっても!ユーグリッドさんのことだからハチミツ料理が好きなのかと思ってたけど、普通なんだね」
「は?偏見すぎるだろう。俺そんな話したことあったか??あ、誰かにイタズラでそそのかされたか?」
そそのかされたとか特にされていないけれど、クリストファーとくまの組み合わせは、もう私の脳内、くまのぷー太郎さんなんだよなぁ。
プーさんと言えば「ズオウとヒイタチ」の歌だ。プーさんというのは物語の最後にはハチミツにありつける。けれど、仲間からの「ハチミツを狙う奴らがいるんだ」という嘘を聞いてから出たプーさんの妄想劇が「ズオウとヒイタチ」だ。
あの歌はちょっとだけ怖いと評判だけれど、モナはむしろ好きだった。だってつまり、プーさんはハチミツの心配をしすぎて見た夢なんだから。
「どした?」
「ううん、なんでもない」
「そうか?」
「うん」
私が急に考え事をしだしたもんだから、ユーグリッドさんが心配したっぽい。
「ところで今なら落ち着いたところだし聞きたいことがあったんだ。聞いていいか?」
「改まってどうしたの?」
少し間を置いてからユーグリッドさんは話しだした。
「テイマモナ、お前の正体は一体何なんだ?」
ああ、そうか。
今ユーグリッドさんの「ズオウとヒイタチ」は私自身だったようだ。
◆文章短いから明日も更新します◆
テッテレー
《あしたにつづく》
31日
ズオウとヒイタチ
「用心!用心!用心しよう!」
私の記憶だと歌詞が少し違うのですが記憶なんてそんなものですよね。