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第356話

前半ディオさん視点。


後半はいつも通りです。


私の弟は可愛い。本人に言うと否定されるかもしれないけれど、家族として、兄弟として、庇護対象に向ける感情というのは、あまり変わらないものだと私は思っています。


そんな事を常日頃から下の弟妹達に気持ちを向けていることは、私に近しい人から噂として広がってしまう。例えその最初の1言がただの世間話のひとつだったとしても、です。


近しい人と言うと家族のようにも聞こえなくもないけれど、私達王族からすると、使用人もしくは護衛の事を言うことが多いです。


人の口に戸はたてられませんから、しょうがないとしても、そこから噂が広がり、私が「幼児が好きな特殊な性癖を持っている人間」だと広められた時はさすがに慌てました。


王・・・お父様によれば噂自体をねじ伏せ無かったことにすることも出来なくはなかったようですが、継承権の低い私がそういうコトを行使すれば、それに対しての見返りやその後の対処における噂を潰してくれた方々への対応、他にも色々ありますが、やってもらった所で面倒事がそちらにシフトしただけになってしまうので、何もせずに時が経つのを待ちました。


未だに根強く噂が残ったままですが、弟妹はわかってくれているので家族が理解していれば問題ありません。


話がそれましたね。弟が可愛い。私の弟のひとり。アンドレは少し前にあの地下で“祝福”を受けました。


前々から、お父様から向けられる目が他の兄弟達とは少し違っていることには誰もが気づいていました。と言っても些細な違いですけれど。


特に一番上のアトム兄上はお父様との時間が誰よりも多く、ヒントを得られていたのでしょう。なにか、大事なことを知り、気づいて、アトム兄上だけは、他の兄弟とは違う対応をアンドレに向けています。


もしかすると、“祝福”を受けた後のアンドレの“力”について予測していたかもしれませんね。


今考えると、予測できるようなほどの情報を持っていたということは、恐ろしくもあり、羨ましいです。そう、羨ましい。


アンドレがあの真っ白くてふわふわの毛玉の妖精のような、モナちゃんのお友達を泣き止ませるために、祝福でアンドレに固定された魔法やスキルが発動されました。なんという使い方。羨ましい。私も真正面でそれを受けてみたいものです。


私も欲しかった。いえ、私が例えそれをその身に宿しても使えたのか。いいえ、きっと無理でしょう。アンドレだから使えた。それが全てなのかもしれない。


何にでもなれると言われる、特殊な、特別な、昔話にも載っていて、今の王族の血筋を証明するものであり、その昔話が作り話ではなく真実だったと意味づけ、恐れられる、とっても変で、変わった力。


『その力は?』


『弟さんの力は成長するタイプのもののようですね』


あの神官がそう言った。今はまだ芽が出たばかり。


『あの怪物になれるという力と同じ力ですね。素晴らしい。』


昔話の3女と結婚したあの怪物と言われた男と同じ力。


アンドレの持つ固有のスキルはその特別な力なのだ。














「モナママ!?モナママ、今いたよね!?あれぇ!?」


説明が難しいなぁと思いアンドレは頭を少しだけかいた。


「フテゥーロ、ようやく泣き止んだか。モナは今はいないぞ。(たぶん)ネズミ退治に行ってるから(俺も知るよしがないけど)そのうちフテゥーロに会いに戻って来る。それまでいい子で待っていよう。俺も待ってるから。だから、一緒に。」


「そうなの!?まつの?一緒に?ええと、うぅんと。モナママ来る?ほんとう?でも、今モナママいた気がするのになぁ。おかしいなぁ。」


納得がいかないフテゥーロは体をこてんこてんとかたむけては戻しかたむけては戻し、不可思議な状況が飲み込めないでいる。


「ん、でも」


「どうした」


「ぼく、わたしね、アンドレ信じることにしたよ。」


ニコッとフテゥーロが言い切る。フテゥーロはどこからその自信が来るのかわからないけれど、その笑顔はアンドレにも安心を与えた。


大泣きしていたフテゥーロがなぜ泣いていたかと言うと、フテゥーロがひとりで作り出したバリアに人々が殺到してしまったかららしかった。


体格が手の大きさにも満たないとても小さな丸い、うさぎの尻尾のようなふわふわで真っ白なフテゥーロのことだ。人間が沢山押し寄せたらそれはもう恐怖の何者でもなかっただろう。


アンドレはスキルを使用した。


まだ使い方に慣れていないので、見るものを惑わす程度にしかできなかった様子だけれど、フテゥーロにとってはそのくらいでちょうど良かった。


アンドレはモナに成っていた。


アンドレは何にでもなれる。今はまだ、時間も見せ方も何もかも蜃気楼のように一瞬のものでしかできないそれこそ、出来損ないのスキルの状態だけれども。


「今は、まねっこ状態かぁ」


このスキルはアンドレを生かすこともでき、アンドレを殺すことも出来る。


「ポロッポーーーーーーーーー!!!!!」


アンドレの前に唐突にハトが突進してきた。


「ぎゃーーーー」

「いやーーー!?」


アンドレとフテゥーロは叫んだのだった




次回は28日予定です



アンドレの今の状態の使用は「まねっこ」



スキル名称「カメレオン」


変身願望→まねっこ→ドッペルゲンガー→生き写し→????→????


・・・・てな感じです。本編に書けよ。へへへへへ。ハテナだらけの2項目は本編で明かします。へへへへへへ。

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