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第347話

前回熊の獣人の子で終わったのに、放置プレイをする作者はだーれだ。


こーこだ!


ビャッコ「は?にゃにいってんのコイツ」


作者は心に穴を開けそうになった。100のダメージ。


_:(´ཀ`」 ∠):_


神官は後悔していた。神官は神官であるために神官としての今日を過ごしていただけに過ぎない。神官として勤め、神官として力を注ぎ、神官として見られていることを念頭において、神官をしていた。


だからこそ、神官は後悔していた。だってわけがわからないんだもん!神官だからかも。あはははは!(壊れ)


「きゅん?」


「うわぁぁ!?・・・れ?」


神官は神殿内に戻っていた。ひとりで。ゴ●ブリに出会った時のように叫んでしまったが、うずくまっていた神官に声をかけてきたのは、キツネだった。


「あっさっきの・・・!?あれっ一緒に外に・・・・しまった、女の子が起きてその後すっかり忘れて、置いてきぼりにしてしまっていたっけ・・・うわぁごめんよ。ここまでこれたの?キツネちゃん、頑張ったね」


「きゅん?」


モナという少女がぶっ倒れて、このキツネとウサギと2人の王子達とあの部屋にいて、モナという少女が神官の魔力を無尽蔵に吸い取りそうになっていたから、下の方の王子、アンドレと言っただろうか、あの子が祝福をかけて欲しいと言った。


8歳になると国民は祝福を受ける。魔力の固定化、スキルの取得、職業選定などなど、色々な恩恵がもらえたりするのが祝福という儀式だ。


祝福は基本的に親族などが見守ることが前提で行われる。アンドレという王子にはディオという王子の兄が目の前にいた。できないことはなかった。


泣いたのだろう、目を赤くした少年にはモナという、少女を助けるためのスキルを発現させる、もしくはそれが無くとも、不安定な魔力を自身の体に固定化させて、魔法を使いやすくなれば、小さくとも力になれるはず。と、真摯たる純粋な気持ちが透けて見えた。


やらないという選択肢はなかった。


しかし懸念があったのでさすがにモンスターっぽい、このなんだか光りだした剣が出ちゃうような意味のわからないキツネや、喋るけど何語かもわからない言葉を口に出すような難解なウサギは別室で待機してもらうことにした。単にタンスのような所に避難させていたのだ。


何が起こるかわからない。大昔には、祝福を受けて大蛇に身体が変化してしまっただの、ドラゴンを呼べるスキルが発現してしまって屋根を吹き飛ばしただの、ろくでもない祝福の黒歴史も中にはあるのだ。


そんな1000年に1度の大災害クラスが起きそうな予感がしてしまい、離れさせたのだ。


「そういや、王子達も忘れてしまっていたみたいだよな」


「きゅん?」


「そういえば、ウサギはどこ・・・」


「きゅんきゅんきゅん」


「うう、お前の主の女の子は起きたよ。ごめんね、もう外に行ったんだ。」


己の不甲斐なさに目の前のキツネにとっても申し訳なくなった。あのメンバーでは神官は唯一の大人だったからだ。しかし逃げ出した。なぜって、神官は騎士でもなければ冒険者でもない、ただの祈りの人だから。


「いやいやいやいや、あんなに体が黒いネズミが外にいっぱいって怖すぎるでしょう!?」


キツネがぶるぶると震える神官の服を口でかぷりと噛んで、引っ張り始めた。まるで『立ってこっちに来い』とでも言っているのかと思うように、急に引っ張り始めた。


「待って、破ける!この服支給品だからボロボロにしたら自分で繕わなきゃいけないのに!噛まないでくれ・・・ひぃ」


神官が立ち上がるとキツネは先頭を歩き始めた。付いていくと、まあ、当たり前だが、神殿内にある女神の像の目の前だった。この神殿の主な目立つモノは女神像のとその配下と呼ばれる神の使い達の像だけだ。


「きゅんきゅん、きゅんきゅんきゅんきゅん」


何かを必死に訴えているがイマイチ、いや、全然、もう、全く持って。


「わからない。ごめんよ」


「きゅーーーん」


なんだかキツネに怒られている気がする。気のせいだと思うが。うん。


「あれ?」


女神の足の色が変色していた。石で作られたその像は石を切り出して削る石彫刻なので、木のように腐りはしない。室内なので水辺もないし、コケも生えない。


の、はずなのに、なぜか変色していた。


ボロリ・・・


「ぎゃあ!?」


途端に叫んでしまったが、像の足が崩れただけだった。


「って、あれ?」


神官は女神はいるのだと信じていた。神官は愛や友情は尊いと信じていた。神官はとくに苦労する人生は送っていなかった。神官はどこまでも臆病だったから、余計なことをしないように生きてきたつもりだった。


「きゅん!」


「なんか、本みたいなものが出てきたぞ?」


それは本と言うには少し薄く、サイズは大きめ、そして、本としての装丁のようにと思えたのは縦長の方には穴が2つあり、そこの穴を利用して紐を通して冊子にしていた。


手作り感満載の冊子は女神の足にわざと入るように筒状に丸めて入れられていたようで、光などに当たっていなかったためか、古そうには見えたし少し小汚くはあったけれどしかし劣化がすくなかった。


表紙は何も記載されていない。ペラリと開くと、ぞわりと悪寒が背筋にのぼった。


“会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい”


表紙をめくっただけなのに、びっちりと書かれた“会いたい”の文字はとても力強く、そして、くしゃくしゃだった。


テンクウ「ホラー!?」


ビャッコ「セイリューがホラーは呼ばにゃいだろー」


セイリュー「きゅんきゅん!」


ツキノ「・・・」


フテゥーロ「ぼく、わたし、知ってるよ」


スズ「スズも知ってるよ」


フテゥーロ「ホラーじゃなくて」


テンクウ「まって、まだ言わないで!当てるから!!」


ビャッコ「は?当てんの?」


セイリュー「・・・・」


テンクウによる大喜利が開催されたが、10分粘りに粘ったが当たることはなかった。




次回は9月3日予定です

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