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第346話

●前回までのザックリあらすじ。●


今まで記憶と魔力を戻す作業をしていたモナ。モナの過去で10年後の未来のロッテリーや王城の話は約3年分。まだ1年目の辺りを話していた。


真っ白い男性の神様のジュンル様に、深層心理の奥底から急に戻された。


記憶はほとんど戻ってはいるけれど魔力回復は途中過ぎて、また5歳の体に戻ったよ。


ジュンル様は緊急事態だと言ったから外に出てみたけれど、おびただしいほどのネズミが祭りを台無しにしていた光景が広がっていたのだった。


→→→→Next Stage

「入口から入り直しましょう!」


「しっ!静かに」


ディオさんがみんなの声を落とした。そのディオさんが口に人差し指を当てながら腰を低く低くとその場に沈むように促したのでみんな従った。ある程度まで体をかがめたら、ディオさんはみんなに聞こえるギリギリの小さな声量で、こういった。


「今ちらりと見えましたが、神殿の入口の辺りにネズミのモンスターが集まっています。そちらに行けば襲われます」


「そんな」


「お兄様、どうすれば」


神官様は青ざめ固くなっている。背中越しだからわかる。アンドレは神官様ほどではないにしろ、8歳だからか落ち着きがない感じがある。いつもと競べて、程度だけれど。


「そうだね。」


「ああっ、申し訳ない、慌てて失念していました。こちらとあちらは神殿参拝される方々の為のモノでわたくし共の神官専用の出入り口がございます」


「本当か」


「良かった助かる」


「みんなは騒ぎが収まるまで隠れてて、私はユーグリッドさん探しに行かなきゃ」


「は?」


神官様の背中から降りて、ひとり、ヒーローじみたことを言う。ディオさんが変なものを見たようにこちらを見つめた。子供だから5歳だから、静かにしていたから、行動を同じにすると勝手に思っていたのだろう。


普通なら間違いない。


でも私は“見た目は子供”“頭脳は大人”“でもそこまであんまり頭はよろしくない”でおなじみのテイマモナちゃんですよ。


「何いってんだバカ!」


馬鹿な行動?バカがいっぱいつくほどしちゃうはた迷惑な子ですよ。そうですよ。アンドレも大して変わらないと思うけど?ってああ、私のそれは“大人のアンドレくん”に向けて、か。今のアンドレはただの子供だ。


まだまだ純粋可愛いアンドレだ。本気で怒っている。最初に合った時と10年後のアンドレくんはあまり変わらないように成長していた。少し痩せて頬がこけて、王子って言うよりゾンビが人の皮を被りましたか?って言われても文句言えないと思った。


今はほっぺふっくらもちもちして、ある程度骨皮しっかりして筋肉もついた感じのどこにでもいる普通の8歳だ。うんうん。小学校のグラウンドを走り回ってそうだ。


「スズちゃん出てきて」


肩から光が竜巻のように収束し、ポンと音はしないけれどそんな感じで現れたのが、私の守護霊で精霊に昇格したスズメのスズちゃんだった。


「モナ!?モナだ!もなぁあぁぁ」


「ちょ、声、小さく小さく!!」


なんか泣かれた。どうした。あ、そっか、深層心理の奥底に行った時、スズちゃんは会うことが出来なかった。もしかして怖い思いをしていたのかもしれない。


目の前にいるスズちゃんは過去の記憶の中のスズちゃんとはもう違う。スズちゃんは私の事を「モナちゃん」呼びから、精霊に昇格してから「モナ」呼びになったし、過去では私の魔力がテイミングで爆上がりしていたから、精霊になっていないのに結構自由にしていた。


ひとつ、この精霊になってから大きく変わったのは、守護霊の時はつまりは幽霊だったために、常に誰にでも見えるようになっていた訳では無い。


それを肩に乗せている私は5歳の状態だ。もし、今、私の力が全て戻ったのなら、スズちゃんはどういう状態になるのだろうか。


「モナ、用事はなぁに」


ポロポロと涙を未だ溢したまま、スズちゃんは小首をかしげて聞いてきた。


「私、ちょっと移動するから、“私の安全の保証”として2人と一緒にいてほしいの」


スズちゃんはキョトンとしている。アンドレとディオさんは私が何を言っているのかわかっていないけれど、“移動するから”という言葉から、良からぬ事をすると言うのだけは察したらしく、腕を伸ばして掴んで来ようとしていた。


しかし、その手はぎりぎり届くことはなく。


「なぁんだ、ガッテンしょーち!」


「よろしくね!愛似移動友(アイニードユー)


私はスキルを使ってその場からひとり消え飛んだ。


「モナ!?」


「モナちゃん!?」


アンドレとディオは叫んだが叫びを聞いてほしかった相手はもう目の前には居なかった。しかし、そこにスズメのスズだけは残っていた。ディオはそのスズを見ながら悩ましげに聞いた。


「モナちゃんはどこに行ったんだい?どうして君は残っているんだい?」


「スズね、アンドレとディオのこと、嫌いじゃないけど、モナが一番なの。スズも忘れてる事も多いけど、さっきのは分かりやすかったよ!」


スズの答えは答えではなかったが、自信満々に言うそれは、答えなのかもしれないと思わせるような態度過ぎて困惑する。


「モナはどこ行った!スズ、俺も連れて行ってくれ」


スズを捕まえて居場所に連れて行って貰おうと手を伸ばしたがアンドレにはスズを捕まえることは出来ずに、ヒラヒラパタパタするりするりとかわされ続ける様は幻でも見せられている気分になるものだった。


「モナはみんなの所に向かったの。」


「みんな?」


「んっとね、テンクウとかビャッコとかかな!」


「なっ!?この状況でか!?危険すぎる」


辺りには人々の慌てる声、叫び声、お祭りどころではない騒ぎが見て取れる。


「だからスズがここにいるの。スズはモナとある意味いっしんドータイだからね!モナが危険ならスズがすぐにわかるし、スズがアンドレとディオと居ればね、モナは2人に会いに戻ってこれるアンテナ役なの!安心して、モナは絶対無事で帰ってくるよ!」


“アンテナ”がアンドレにもディオにも全くわからなかった。しかし、ひとつわかったのはあの小さな女の子が、なにかしらの使命感を持って動いているということだ。


「お兄様、モナは神様に言われたとか言っていましたよね。あとユーグリッドがどうとか」


「ああ。・・・・あれ?」


ディオが気づいたときには一緒に居たはずの神官が居なくなっていた。


「どこに行った?」


「お兄様、それよりも」


「わかっているよ。そうだね、隠れてもいいけれど、私達は末端でも一応王族だ。あんな小さなレディが動いているんだ。私達はその先を越すように動いて彼女を捕えるというのはどうだろう?先にこの騒動を解決して上げれば自然と会えると思うんだ。なんせ私達が巡った場所は限られているからね。」


爽やかな顔はいつもと違い少しイタズラっぽいような顔のディオをアンドレは見つめた。


「ええと?」


アンドレはまだ8歳。お兄様の言いたい事はなんとなくわかりはしたものの急展開過ぎてついていけなかった。










「熊の子ぉ♪」

「見ていたぁ♪」

「かくれんぼぉ♪」

「お尻をぉ♪」

「出した子ぉ♪」

「「「「「一等賞ーーー!♪」」」」」


モナが飛んだ場所とは別の場所で熊の獣人子供達が歌っていた。それはモナが教えた歌のひとつだったが、その歌が放たれた先にはネズミが睨みを効かせていたのだった。


続けて歌い、最後の最後に気合を込める。


「「「「「ーーーーぼくもかえーろ、おうちへかえろ、でんでんでんぐり返しで、ばいっばいっ、バイッ」」」」」


歌の終わりの『バイ・バイ・バイ』の歌声に合わせて“キィン・キィン・キィン”と剣と剣がぶつかったのと似たような金切り音が、ネズミと熊の獣人の子供達の間に広がりる。


そしてまるで透明なバリアでもそこに存在するかのように、ネズミが熊の獣人の子供達に近づけないと言わんばかりに、透明ななにかはネズミを押し返した。


毎度毎度更新遅くてすみませんぬ。


次回は30日予定です

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