第345話
くらくらしてガンガンする。まるでそう、二日酔いみたいなそんな感じ。
「だがそんなこといってるばあいか!」
「えっなに!?」
ぐゎ!どきゃバキッ!
「〜〜〜〜っっ」
気合を入れて体を無理くり起こしたら目の前にいた8歳のアンドレと頭と頭をごっつんこした。ありさんとアリさんがごっつんこ、じゃなくてだな!
涙目のままアンドレの後ろの大人らしき人影に枯れっかれの声で言う。
「外は!外はどうなっていますか!?緊急事態だからと、えっと、そう!!神様から啓示を受けて私、倒れたんです!!」
ちょっと違うが、もうそれでいいよね。
「えっあ!?はい!?ええと、アナタが倒れられてから30分も経っていませんが、外の様子はここからではわかりません」
な、な、な!?たったの30分だとう!?アレだけの時間を要していたのに、ソレしか経っていなかっただとう!?3年分話し終えていたら、ざっと1時間半くらいか?いや、まだ途中だったから、2時間ぐらい?いやいや、どうでもいいところを省いたら1時間でいけるか?
「モナ!お前何いってんだ、倒れたんだぞ!神様?そんな夢まで見て!?死にかけたってことだろ!安静にしてろ!!」
「神官様、これは一体どういうことなのでしょうか」
「倒れたことにより、混乱している状態なのかもしれません。心が落ち着く薬を持ってきますので、少しお待ちいただければ」
「だ!駄目です!すぐに外に出してください!!」
あの真っ白い清廉な性格の基本的にいい人?いい神?過ぎるはずの順流様が緊急事態だと魂を送り返されたのだから、絶対に何かあるはず。
ええと、この時期にあった事件とかなにかあっちで私が暮らしていた時にあっちの“アンドレくん”や“ディオさん”から過去の歴史でなにか聞いたことあったっけ、ううう、思い出せない。そういうことをあまり会話したことなかった気がする。
あ!そうだ!ひとつだけ思い出した。
「あの!!熊獣人の、ユーグリッドさんはどこにいるか知っていますか!?」
「ユーグリッドになにかあるのか?」
「あのいかついオッチャンになにかあったのか?」
「え?いや、その、私はわかりません!!」
「元気なんで、外に出してくださーーーい」
私の必死な形相にアンドレもディオさんも神官様も目を点にしながら外に出るようにしてくれた。
と言っても私は倒れたことによって体が思うようにいかなかったので神官様に背負われてまるで迷路のような地下から這い出てきた。迷路のような扉、扉、扉でアンドレとディオさんだけだと上に上がっていけなかっただろうことだけはわかった。
わかったけれどわからなかったことがひとつ。どうしてこんな奥まった所に運ばれたのだろう。背負ってくれた神官様の顔を後ろからジッと見つめ続けるも、前回の私にも今回の私にも、この人との関わり合いはなかった気がする。
ならば?
神殿の内扉まで戻ってきた。横竪様の像や横竪様の眷属であるモンスターの像が立ち並んでいる。懐かしくて、恨めしくて、切ない。
記憶が戻っていなかった時とはこの部屋の感想が全然違ってしまった。なんだかなぁ。
「あれ、誰もいない」
「ホントだ」
「お祭りの期間中は神殿や教会はいつでも人が入れるようにしていますよね?」
そうなのか。でも、誰もいないし、ろうそくの炎も消えてしまっているのがちらほら見えて薄暗い場所がある。というか、ろうそく倒れてる?
外から誰か女性が叫んだように聞こえた。聞き間違いかと思うより早くディオさんが外に通じる方へ走っていった。
そうだった、ここは入口も出口も決まっていて一方通行なうえ、人が1人分の広さずつしか広さがない出入り口だ。神聖さを推して防音対策が効きすぎて、外の様子などわかるはずもない。籠城とか鎖国するにはよさそうではあるけれど。
「お兄様」
アンドレも追いかけてしまった。神官様も渋々一緒に行くしかなくなったようだ。何をためらう、行けー!
ディオさんもアンドレも身動き取れずに固まっていたようだった。私を背負っていた神官様も私を落としそうになった。
外に出ての光景は地獄絵図とでも言うべき、そんな光景だった。ディオさんもアンドレも振り返って叫ぶ。
「室内に戻れ!!」
外は楽しかった祭りの面影が少なく、そこにあったのは沢山のネズミが這いずり回り、人は恐怖におののき逃げ戸惑い、服や皮膚をかじられたりする者、逃げる時に火魔法や水魔法を放って辺りを壊す者が目に入った。
しかし、出入り口は一方通行。叫んだ所でドアは開かない。神官様はブツブツと呟いた。
「横竪様、わたくし達をお助けください・・・」
神は何も答えなかった。
更新できた!褒めて褒めて!
テンクウ「お疲れ様!」
フテゥーロ「できたでしょ!ほらね!」
スズ「よくできましたー!」
ビャッコ「(俺様の久々の出番まだかにゃ)」
次回は27日予定です
今月中にアニメ感想を活動報告に載せたい!やりたいこといっぱいありすぎて時間が足りてない作者です。