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第341話

呼ばれて来たのはリヴァイくんだった。運がいいのか間が悪かったのかわからないが、『すぐに誰か連れてくるよう』にと言ってすぐにリヴァイくんを厨房の近くで見つけたとのことで連行されてきた。


「お呼びでしょうか」


昨日までの彼と違ってなんだかよそよそしいし、肩が軽く震えている。声もポソポソと聞こえるか聞こえないかの微妙な声量で、一体どうしたのか心配になる。何かやらかしたのだろうか。私が怒る為に呼んだと思っているのだろうか。全然見当がつかない。


「あ、うん。聞きたいことがあったんだけれど。リヴァイくんが近くにいたから連れてきてもらったんだ。他のみんなは仕事中?」


「はい。俺とクプファー主にパーティーの給仕が本日の大きな仕事ですが、ヤマーとズィルパーは貴族の方々がほとんどパーティーで王城内の執務室などからの出ていっているのでこういうときにしか出来ない王城清掃の特別班に呼ばれていまして、シャタニとアイゼンは昨日の事件現場の荒れた整地作業に王城騎士団が動いていますのでそのお手伝いに行っています。」


リヴァイくんがたまたま厨房にきていなければ今日は夕方まで誰とも会えなかった可能性までは考えてなかった。


「忙しい中、急に呼び出してごめんね。」


「はい。手短にお願い出来ればと。聞きたいことというのは何ですか」






「えっ!?アンドレ様が事件の犯人!?」


「そういう疑惑をかけられて地下の牢獄に入れられてしまっているらしいんだ。」


「そんな、ディオ様はそのことを知っているのですか」


「さっきこの部屋に来てくれた時は何も言っていなかった。だから、知らなかったか、私を心配させないように教えなかったかのどちらかだと思う。その辺りを知っていればと思って呼んだんだけれど、リヴァイくんは知らなかったんだね」


「・・・はい。俺以外のヤマー達も知らないと思います。」


「そっか。」


「それは、アナタのせいではありませんか?」


か細い声だったがハッキリと耳に届いた。彼のそういう怒気をはらんだような、疑わしきは罰せよとでも今にも言いそうな目で口で向かわれるのは初めての事でびっくりした。


「リヴァイくん?」


「モナ様!アナタは一体なんなのですか。アナタがいたからアンドレ様が捕まったのではありませんか!?アンドレ様がそんな国家転覆を目論むようなことなどしないのは当然の事ですが、そう疑われる原因を作ったのはアナタなのではないのですか!?」


「それはどういう意味」


「小僧」

「モナー、アイツなぐる」

「モナー、アイツける」

「何言ってるのダメだよぉ!?」

「スズゆるすよ」


「みんなは静かにして!!・・・・それで、それはどういう意味?」


リヴァイくんの発言に今まで静かだったモンスター達は一気にまくし立て始めたけれど、そういう事は今は要らない。ありがたいけれど、彼の発言が気になったからだ。今、聞かなければ、このあとモヤモヤして過ごすことになろうことは明白だった。


「・・・・・モナ様は、本当は人間の皮を被ったモンスター、なのではないんですか。・・・もしくは悪魔とか。っ・・・俺は、そこにいるモンスターや俺達と共にいるクプファー達を従えているモナ様は、単に、単に凄い人だと思っていました。ええ、昨日までは。でも、でも、血みどろで立っていたアナタを見て、今はもう、震えてしまうんです。怖いんです。本当に人間なのですか?」


「・・・そっか。うん、その、ゴメン。」


「どうなのですか。」


「私は人間だよ。」


まだ、今は。


「そ・・、ですか。すみません。すみません。俺の言ったことは忘れてください。・・・そして、当分俺は呼び出さないでください。ヤマーもシャタニも昨日のことは詳しくは知らないんです。アナタが倒したとは教えないで上げてください。俺は昨日あの現場に行ったこと、後悔してるんです。ぐちゃぐちゃになったあの惨状がまぶたを閉じれば蘇るんです。」


「わかった。私からは言わないって約束する。でも、もう遅いかもしれない。2人もパンのさんにんも、どこかで聞いてしまったかもしれない。とくに、広報が全部剥がされ捨てられるまでは。」


「広報?掲示板のアレですか?・・・え?王が?なんてことを。」


その時ドアがノックされた音が響いた。メイドのシーラが対応すると、予想外の訪問客に驚いた。


「モナ様、第1宰相様がお越しになりました。来客中とお伝えしたのですが、今しか時間が取れないからと、すぐそこでお待ちです。」


今パーティーの最中では?とか、私体が本体調じゃないからベッドから出てないのになんでこんなにいつも以上に忙しいんだ?とか、まあ色々あるけれど、フットワークが軽すぎる第1宰相さんを廊下で待たせる訳にはいかないので、入ってもらうことに。


リヴァイくんとはまだ少しだけ話したかったから、この客室にあるクローゼットルームとはまた別の小部屋で待ってもらうことにした。荷物を一時的に置いたり騎士やメイドの休憩に使ったりとする“何でも部屋”だ。


初めてこの部屋をあてがわれた時に、モンスターの専用部屋にも出来ると説明をされたけど、王城ではモンスターのみんなは『モナのベッドの近くで集まってが落ち着く』と言っていたから結局一切使うことがなかった。


しかもメイドのシーラも全く使わないので完全な空き部屋になっていたのだけれど、ここに来て初めて使う事となった。掃除はしてくれていると思うけれど、使わなすぎて埃っぽいかもしれない。


考えもそこそこに目の前には第1宰相様が。挨拶が始まった。緊張する。


「突然訪ねてきてしまって申し訳ありません。わたくし、第1宰相を務めさせていただいているアチェロと申します。ディオールウェリス様のご婚約者様のモナ様でお間違いないでしょうか。」


「はい。間違いございません。はじめまして。モナと申します。」


昨日(さくじつ)はパーティー会場内でお伺い出来なかったので、本日、隙を見てこちらにお伺いさせていただきました。体調を崩されたと聞き及びましたが、だいぶよくなられたのでしょうか?」


「恐縮です。まだ本調子とまではいきませんが、回復しております。本日はお見舞いのためだけにお時間を作ってこちらに来ていただいたのでしょうか?なにか私もしくはディオ様になにか不手際などがありましたでしょうか?なにぶん勉強不足でして、もしそうでありましたら、学びたく思います。ご享受ください」


ふう。プントさんとキジンさんが教える言葉の応酬のお勉強は昨日のパーティー会場よりも今のこの現場の方が発揮出来ている気がする。ふへぇ。


「お見舞いも訪問理由のお1つですが、不手際などは特に聞き及んでおりません。ところで、こちらにディオールウェリス様はおられないのでしょうか。」


「ディオ様は少し遅れてパーティー会場に顔を出したはずです」


「おや?お見かけしなかったと思ったのですが、すれ違ってしまったようですね。」


「丁度良かった。モナ様ならびに、こちらにおられるモンスター達も含め、お願いがございます。」


「お願い?」


帰るまで数日しかないのに?

次回は14日予定です

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