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第340話

お茶を終えて仮眠をシーラに勧められたので少し横になろうとしていた時だった。蜘蛛隊が唐突に入って来て私の前に現れた。


「うわっ!?って、あ、どうしたのみんな」


あまりにも唐突だったためお化けでも見たかのように悲鳴をあげそうになった。すんでの所で悲鳴にまでは至らなかったけれど、多少声を上げてしまった。不可抗力だからしょうがないよね。すぐに蜘蛛隊だとわかったから聞いたら緊急だという。


蜘蛛隊はひとつの部隊事に役割を固定するのではなくある一定の期間でローテーションを組んでの交代制で役割分担をしているらしい。


一定期間がどの程度なのかとかは、蜘蛛隊の中で決めていることなので、私はあまり把握していない。


見ている限り1週間とか1か月とかそういう決まった日数だったことが無いので、蜘蛛隊ならではのルールがあるのだろう。


モンスターは種族ごとに生活基盤も習慣も何もかもが違う。人間だって国ごとに違うのにモンスターが人間といるからって元々のルールを人間寄りに変更していくことが出来ないものもいるし、私はその辺りは好きにして良いとみんなを仲間にする時に言っておいている。


だから、もしサイショウくんがもし今、テュルさんと共にこの王城の裏の森に一緒に行きたいと言ったら、追いはしない。


「緊急ってどういう話?」


蜘蛛隊のブランクォとそれに伴うブランクォの白い蜘蛛隊である仲間2匹の計3匹が身振り手振りも合わせて報告してくれた。


「いつもモナの元に来ていた男が囚われました。」

「何かの計略にハマってしまったようで地下の牢獄にいます。」

「冤罪です。だから脱獄を企てているみたいです。」


「はい!?」


眠気も吹っ飛ぶ報告だった。調べたところアンドレくんはあのコスモオークを王城の敷地内に招き入れた嫌疑がかけられ、なぜか詳しい取り調べをすっ飛ばして容疑者確定にまでなりそうになっているという。


それをどうにか止めているのは王様であるアトム王とディオさんと山川谷トリオとアンドレから年の近い下の姉弟達やららしい。


ブランクォに言わせれば、もっと擁護する兄弟が居てもおかしくない状況なのにその状況を煽る姉兄達がいるという。


「アムシャアロ王子ならびにルーララァメイスン王女がわかりやすく、アンドレは排斥せよ、だとか色々あること無いこと言っています。詳しいことまでは分からないけれど、私共の知るここ1年ばかりのアンドレの、特にロッテリーにいる間の事は私共も把握していますが、その期間に悪事を働いたという妄言は1番わかりやすいでっち上げでした。」


そんなにか。ブランクォが続けて話すのを私は返事を返すまもなく聞き続けた。


「多分だけれども、あの2人はあの男を恐怖しています。」


「どういうこと?」


「私達もそうですがモンスターは基本的に実力主義です。後進が育つのを待ちはしますが“強いものには尊敬を”“破格のものには畏怖を”“超越していたら平服を”というのを、頭ではなく本能で従います。あの王子と王女は、アンドレに畏怖の念を感じていると思います。怯えから、自己防衛の為に行動を起こしているように見えました」


「アンドレくんを怖がるだなんて、何かの間違いじゃない?」


「私達には分らない何かがアンドレの身にあるようです」


「もしそうだとしても冤罪を被せて喜ぶほどって、想像出来ない。家族なのに。いや、家族だからなのかな」


血が繋がっていたからといって全ての家庭が同じように愛情をもって接するというものでもない。他人よりも冷めきった家庭だってある。それはとても悲しい事だけれど、どうしようもない。


「で、アンドレくんは脱獄本当にしそうなの?こっちから助けられたりしないのかな」


「脱獄?ってなーに、モナー」

「排斥?ってなーに、モナー」


グレムリン達が声を上げた。


「脱獄っていうのは牢屋から勝手に逃げ出すことで、排斥っていうのはどこかに置いていかれることを言うの。この場合、話の流れからすると、アンドレくんはこの王城では暮らせない、もしくは国外追放しろって、その2人がいいたかったのかもしれない。」


「「へーーー」」


くりくりした目で聞いてきたことの返答になるほどぉと頷いている。グレムリン達は可愛い。


「どうして?分らない。私はアンドレくんが近くにいてもそんなこと思ったことなかったのに。彼にはなにかあるんだろうか。助けに入ることは可能なの?」


「出来るけれど少し無茶をしないと、入るのは簡単だけど、出ることは難しい」


それを聞いて私は考えた。蜘蛛隊が冤罪だと言うならそれは冤罪なのだろう。彼らが間違いを報告はしない。それだけ高い情報収集能力だ。


「サイショウくん、ゴメン。ひとつお願い聞いてもらっていい?」


「うんいいよ。なぁに」


「シーラと一緒に山川谷トリオとパン達さんにんの誰でもいいから連れてきて欲しい。大至急。」


「ひとり?全員?」


「ひとりでも構わない。人数は至急来れないのであれば、どうでもいい」


「助けるのか」


テュルさんが言った。


「するかしないかを、来たひとに来た人に決めてもらう」


私の返答にテュルさんは鳩が豆鉄砲を食らったように驚いた顔をしていた。


まあ、うん、そりゃあそうだよね。


次回は11日予定です



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