第329話
遅くなりました。本当に遅くなりました。
再開です。
コスモオークだと最初からわかっていた私達はテュルさんが考えた対策を主に柱として、行動している。
私の言葉はゲームで言う所の「ガンガンいこうぜ」とかの選択肢をぽちっとなしたようなものだ。
なにせ私は未だに、この子達の主人であるようでいて、全く持って主人などではないのだから。
テイミング出来ているはずなのに、テイマーという職業部分はずっと文字化けしているままだ。
「アレは?」
モンスターのパンのさんにんはコスモオークを取り囲んでいたけれど、それを目の当たりにする人々とっては未知のオークも未知のパンも全て、未知のモンスターでしかない。
だから、この場を任せようと言ってくれた人も誰もかれもが、知らないものに釘付けになってしまっている。
私はもう見慣れてしまったけれど。
「大丈夫ですよ」
おちょくり過ぎたせいか、コスモオークの顔は真っ赤で、怒髪天という状態に相応しい。
あれだけピカソみたいに体中を遊ばれたら怒り心頭は当然だ。
でも大丈夫。テュルさん自身がギリギリ勝てると言った上で、まだおちょくりまくって戦闘にすらなっていない。
そして何より、大きな戦闘前にあの図体の大きなコスモオークが怒り狂っているならば、冷静なコスモオークよりも勝算が高くなっているはずだ。
「ウグルルルァア!!!!!!」
コスモオークが発狂して、今までおちょくりまくっていたグレムリン達に大きな魔法を繰り出したが、囲んでいるパンのひとり牧神のズィルパーがまるでドッチボールの球を受けるように胸の辺りでギュルルルルと受け止めた。
魔法をボールのように受け止めた。
「えっ」
魔法使いさん達がギョッとしている。うん、私も見てて意味がわからない。どうなってるんだろう。
「でもやっぱりさぁ、加勢したほうが良くないか?あの子ら、どう見ても小さいだろう。いいのか俺達こんな所で見てても?」
騎士団さんのうちの1人がいうのも無理はない。パン達は進化したから前とは随分と見た目が変化した。
変化はしたが、サイズはあまり大差ない。少しだけ大きくなったとは思うけれど、相変わらず小学生ぐらいの体格だ。
キツネのテュルフィングさんのほうが全体的にみれば大きい。
モンスターのキツネの方が大きいという謎。しっぽを含めているから余計。
しかしあのさんにんは進化している。同じ姿から進化先が色々あるってポケモンのイーブイみたい。
あっちのほうが可愛いけれど、私達にとってはあのパン達が最高の仲間。まあイーブイなんてこの世界にいないからね。
あの受け止めたボールをズィルパーはかめはめ波みたいに返した。
いや、まあ、その、そのかめはめ波はモチロン私が「こういう攻撃方法あったら面白いよね」って冗談で言って遊んでた事があるソレです。
はい。犯人は私です。言ったのは王都に来る前だったけど覚えてたんだね。いや、まてよ、ドラゴンボールの話をキチンとしていたかもしれない。私、話し始めたら止まらないタイプの人間だからな。
口が良く動くんだ。誰に何を話したのか覚えてないくらいにはモンスター達には色々お喋りしてるんだよなぁ。
”黒“い塊の謎の攻撃”を“かめはめ波ふうにした上で謎の攻撃返し”にしたズィルパーはニコニコしている。なんで楽しそうなんだ。
こっちからその行動を見ると、とても簡単にやってのけているから、あのオーク実はめちゃくちゃ弱いんじゃ?と思いそうになる。
スズちゃんが隣ですごぉいと口も目も見開いている。
隣のサイショウくんは・・・足が震えてなんか見てるだけで漏らしそうだなとか思ってしまった。漏らしてないから。うん、単にそう思っただけだから、ね。
ふとそちらを見るとコスモオークは返された球に怒りをさらに覚えて、今度はさらに逃げられないようなワザを出してきた。
なんせコスモオークのワザは大きいものばかりだという。
温かいものを感じ上を見上げると、流星群らしき攻撃を辺りに巻き散らかすようにしてうち放っていた。
こんなものをモンスターが出してきたということが驚きだ。流星群って、おい、災害ですよね。
割れた隕石のカケラのようなものがすでに落ちていた破片やその辺の石にあたってさらに割れ、ガラスのカケラのようになった鋭く尖った石達が距離をとっているはずの私達の方にまで飛散してくる。
目に入れば失明待ったなしだろう。大きなカケラか足に刺されば痛みでのたうちまわるだろうし、細くて細かい破片が心臓の近くに刺さってしまえば血管を通して心臓に到達して死に至らしめる呪いのようにさえ見えることだろう。
そんなカケラが辺りいっぱいに。見た目だけはカケラがキラキラしてとてつもなく綺麗だ。しかし当たれば、触れれば、血まみれロードになるのが目に見えてる。地震後のガラスの破片が地面に散らばっているのと同じ、絶対的危険区域。
興味津々にモンスター達を見つめていた騎士団の面々も魔法使いの面々も、後退りを始めた。巨大な力を目の当たりにして腰が引けるなんてことは、普通のことである。人間の本能だ。私ももちろん後退りをしている。怪我したくない。
しかしパン達は何がどうなってそうなったのか、どう見てもほとんど怪我をしていない。
アイゼンなんて足元に合ったであろうカケラが砂と化して周りを囲んでいるような状態。え?なにあれ。テニプリの手塚ゾーン?違うか。
アイゼンは悪魔のバフォメットっぽいパンだから、その空間が召喚円陣に見えてきた。隕石のカケラでなんか生成して・・・鎌ですね。大量の鎌ですね。
鎌がコスモオーク目掛けて飛んでますね。ちょ、子供に見せられないヤツ!!ザクザクいっちゃうやつ!!騎士団の人達も魔法使いの人たちもドン引きして・・・・って思ったけれど、コスモオーク手強い。
ザクザクいかなかった。なんかブラックボールいっぱい空中に浮遊させてますね。ブラックボールって勝手に言ってたけれど、あれって本当はもしかしてもしかすると、え、あの、ブラックホールでは??
なんか空気吸い込んでますけど??
「うわぁぁぁ!!命がいくつあっても足りんん!お嬢さんも行くぞ!?逃げろ!!」
騎士団の人達もとうとう沈黙を破って逃げ出し始めた。魔法使いの人たちは、おっと、腰を抜かして動けない人が続々。
「モナ」
「モナ」
「来たね」
「「来たよ」」
騒がしい折、蜘蛛隊の黒のネグロと青のアスルがやって来た。
「やっぱり移動は蜘蛛隊がやるほうが早い」
「「まかせて」」
「行くよ」
「「うん」」
「蜘蛛のネグロとアズルに、私のスキルの“愛似移動友”を別のスキル“唱✕称”でかけ合わせて蜘蛛隊としてのリーダーとして2匹に付与。」
「いけるいける」
「できるアガる」
2匹は光り輝いた。
「知ってる。本当に助かる。ありがとう。」
「蜘蛛の糸!編み編み!」
「土走り、そして、愛似移動友」
長いこと 間を開けてしまいすみません。精神的に ヨワ ヨワ なので ちょっと休暇 的なものをとっておりました。そのうちまた休んでしまうかもしれませんが この物語は最後まで書ききる予定ですので あしからずご了承ください。
面白い展開にならなくてうんうん唸ったけれど納得いくものにはならなかった。次に進もう。
乁|・〰・|ㄏあーはん
次回は11日に更新予定です。