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第328話

また更新遅れましてすみません。




「♪流されてきた♪飲み込んできた♪呼んでいるのは誰だーー♪ 胸の灯消えないで ♪涙がこぼれそうで上を向いて歩いてる♪あなたはあなた ♪そのままで誇らしく胸を張れ♪ 胸の灯消えないで 夕焼けに赤く染まるビルの上で♪ あなたの笑顔見るために まだ諦めない まだ恥をかいていたい ただ熱く燃えている♪」


心を強化する能力と、弱った心を癒す能力を兼ね備えた、2つを1つに併せ持った複合能力。それを歌いながら使った。歌い終わると同時に疲れ切った人達の顔から生気が戻ってきた。しかし心を助けただけで、傷が癒えたり体力が回復したわけではない。


「皆さん、聞いてください!私はアナタ方の気力を少しだけですが、改善することができました。しかしながら体の痛みなどは私の能力では治すことは難しい問題です。怪我が酷い人を避難させるために、今は撤退を命じます」


戦略的撤退とはよく言うものだけれど、まあこんなひとりの女性に言われた程度で大の大人が動くはずもなく。


「気力が?本当だ、ナゼか勇気が湧いてきた気がするぞ」

「挫けて立つのもやっとだったけれど、コレならあのオークを倒せるハズだ」

「怪我?こんなの騎士団としては勲章さ!」

「なんだかわからんがイケル!イケルぞーー!」


避難、撤退どころか、心を助けたせいでやる気に満ち溢れさせてしまった。


オーマイキーどうしたらいいんだ。困ってしまったよ、アハハハハハハ!


って笑っている場合ではない。笑顔の張り付いた人形劇を思い出している場合ではない。私、無力。あるぇ??


騎士団はいわゆる「脳みそ筋肉」、いわゆる「脳筋集団」だったと大いに知ることになった瞬間だった。そして心を助けたせいで、いわゆる「火事場の馬鹿力」に近い人間を幾人も作り出してしまっていた。


倒せなさそうだから撤退して欲しかったのに!!心が元気になった人達はコスモオークにまたツッコミはじめてしまった。しかしその騎士団達も目の前の光景に驚いて足を止めた。


「「ギャハハハハハハ!イタズラぁ!」」


そう、好きにしていいよと言ったグレムリンズがコスモオークの周りを飛び回り、ここぞとばかりにイタズラしまくっていた。


「うわぁ」


基本的にグレムリンの性質として「子供のイタズラ」をすることが多い。ただし“悪質な”である。


目の前のコスモオークはエンペラーオークと同じ体躯で顔もそれと何ら変わらなく形づくっている。オークの中の帝王と言える風格。エンペラーとコスモと違うのは体の色合いが主で、それと、出される攻撃が小宇宙の名をわかりやすく体現していた。


ゲームなどで言うボスレベルなのだろう。私は詳しくないけれど。騎士団が負った負傷のほとんどはイシツブテを受けた打撃のものや、炎が矢のように放たれたもので鎧が溶けたりしていた。


騎士団ともなると大人数である一定の距離を保って、大きなコスモオークの討伐に来たのだから、それらの攻撃がかなり有効だろう。


しかし、今私達の目の前にいるグレムリンズはそれとは異なり勝手が違う。まるで虫が体を這うように、オークの体に飛び乗ってちょこまかと動き回って体から離れず、さらにイタズラをし続けている。


あんな事やられたら、イライラしてしまうのもうなずける。そんな事をグレムリンズはやってのけていた。攻撃するにもコスモオーク自身にも当たる可能性が高い。


スイスイとよけて、イタズラして、よけて、イタズラして、を繰り返し繰り返し繰り返し。


私も騎士団の人達も目の前の異様な光景に開いた口が塞がらなかった。


「なんてーか、その、芸術作品みたいになってませんか?」


騎士団のうちのひとりがつぶやいた。うん。なんていうか、オークがピカソの芸術作品みたいになっていってる。どこからペンキのようなものを出したのだろうか?絵を描くようなイタズラは今まで見たことがなかったので余計に驚いていた。


「騎士団様ぁ!」


ボロボロになっていた魔法使い達が騎士団達の方に集まってきた。


「この女性はどちら様でしょうか!?」


「え!?ああ、そういえば、どうしてここに貴族様が!?ドレスがすごいことになっています。避難してください」


(・д・)チッ


正気に戻ってしまった。というか、グレムリン達のおかげでオークに突っ込まなかった。それは良いことだ。良いことだったけれど、冷静になってくれたけれど、冷静になりすぎて私を避難させようと騎士団としての仕事を思い出させてしまったようだ。


私は撤退して欲しかったんだけど。これから私のモンスター達が暴れるから。


「あなたがあの!神聖な動物様のご主人様でしょうか!!!!?」


「はえ??」


「何を言っているんだ??」


目の前の騎士団のオジさんがこっちに来た魔法使いさんにポカーンである。


「モナー!終わったー!」


「サイショウくん!早かったね!」


トッテテテテテとかけてきたのは真っ白いイノシシのサイショウくん。


「でもね、帰ってくれそうにないんだ。どうしたらいい?」


それは私も同じ状況に直面してるから難しい質問だな。


「やはり!あなた様はこちらの動物様のご主人様であらせられますね!?」


「はい、まあ。」


「つまりあなた様は!神の使い!」


「違います!!」


「では女神!」


「絶対違います!!」


否定しつつよくよくオークの周りをみれば色のついたものをテュルさんが提供していた。なるほど、ペンキの謎はとけた。


魔法使いさんは2回も私に否定されて「でもー」とか「絶対そうだと思うのに」とかブツブツ言ってる。


「その動物はアナタの?」


「それは間違いありませんが、この子は動物ではなく、モンスターです」


「「モンスター!?」」


騎士団の人も魔法使いの人も目の前のコスモオークと私達の仲間を見比べてビクッとしていた。そりゃ、倒そうとしているソレと同等のものが人間を助けたことに頭が追いついていないというだけだと思うけれど。


「ああ!そうか、あなたはもしや噂の“倒れられたテイマーの御婦人”ですね」


「なるほど、ディオールウェリス様の婚約者様でしたか!」


「噂の?」


「以前王城内で倒れた女性をモンスターが介護して、人々から牽制し、触れさせないようにしたと、一時期大きな噂になっていたのです。騎士団では有名ですよ、残念ながらお顔は存じませんでしたが、いやはや、こんなにお若いご婚約者様だったとは」


いや、若くないんだけどな。


「素晴らしいです!ではあちらであのエンペラーオークをあんなまでにしているモンスター達もアナタのモンスターということでお間違いはないでしょうか!?」


魔法使いさんは興奮して聞いてきた。めちゃくちゃワクワクしている。どうしたどうした。


「そう、ですけれど?」


「わかりました!!撤退いたしたます!!」


「急に!?どうした」


魔法使いさんが急に撤退宣言したものだから、騎士団の人がおののいた。私もびっくり。


「私達は邪魔にしかならん!あのモンスター達の周りにまだ戦っていないモンスターが囲んでいるだろう?見えるか、そちらもアナタのモンスターですよね?」


「そうです。」


「そちらのイノシシ様に回復してもらったおかげもありまして、彼らの魔力が見えます。明らかに、出し惜しみをしている。そしてこちらを伺っています。」


「私達がいるせいで力が出せないと?」


「そうです!」


「しかしだな、このあと王族を含めた追加の編成部隊が来るまではここに居なくては!騎士の名折れですぞ!?」


「でも」


「だけど」


「だからこそ」


「しかし」


途中から私が口を挟む余地がないくらい2人で盛り上がっています。私、傍観勢です。エアーポップコーンむしゃあ。もう何話しているんだか状態。


ん?ああ、騎士団や魔法使いが移動しなくても、テュルさん達はあのコスモオーク自体を意図的にイラつかせて移動させてみせた。


私がどうにかしなくてもみんなはとても優秀だ。グレムリン達はイタズラに満足したのかイタズラ攻撃がいつの間にか終わっていた。


パンのさんにんが動き出したようだった。

冒頭でモナが歌っている曲はYUKIさんの「ともしび」です。YUKIさんの歌って耳馴染みが良いものが多くてついつい聞きたくなりますよね。


途中で言ってる「オーマイキー」はだいぶ前にTV放送していたマネキン人形のミニドラマです。シュール過ぎるから目が離せなくなる独特なヤツです。ユーチューブとかでもまだ見れたハズ。気になった方は見てみてね。このシーンではモナがハハハハハハ!ってあの家族を真似してみました。シュールになったかな?笑


新アニメの異世界失格が楽しみで楽しみで楽しみすぎる。ああぁ。楽しみだー。





次回更新日は未定です。

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