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第327話

グレムリン達を追いかけてパーティー会場の方向に戻るには戻ったけれど、騎士団の方々がとても強い方々だったのだろう、と思う程度には、パーティー会場には戦闘の跡は無くキレイなもので、その会場のさらに手前で騎士団達は攻防を繰り広げているようだった。


なんだ、私達が来る必要はなかった、と、一瞬思ったのが間違いだった。


目の前の惨状は悲惨のひと言だった。目算で、あと5分。あと5分あの目の前のモンスターと騎士団が戦い続ければその時間を皮切りに、死亡者が1人、2人、3人、10人、最終的に全滅してしまうだろうとわかる程度には、目の前のコスモオークという存在にナメられていた。


軽症の手傷を負わされ、体力だけがほとんど削られ、疲弊してしまっている騎士団が目の前にいる。そして目の前のコスモオークには傷1つない。


「なんでだ」「何なんだ一体」「俺は何と戦っているんだ」


疲弊している騎士団の人々はある意味、意地のみで立っていた。オークエンペラーにしか見えないのに、何もかもが通用しなかったのだろう。


そして魔法使いたちだ。騎士団と一緒に向かったチームがあったと記憶していたのに、見当たらなかったので驚いた。魔法使い達は騎士団よりも地獄絵図状態だった。


あるものは震えが止まらずにうずくまっていて、あるものは何故かずっと笑いが止まらないし、あるものは泡を吹いたまま倒れていて、あるものはブツブツと謎の計算式を唱えている。


「なにこれコワイ」


いや、ほんと。テュルさんてば、ごもっともで。とか言ってる場合ではない。


「ディエース、ウェスペル」


「「はい!ハーイ!」」


2匹の目がキランと光った。


「イタズラは好きですか?」


「「スキー!」」


目がらんらんと輝きを増した。


「イタズラは楽しいですか?」


「「モチロンたのしー!」」


体中の毛までも楽しみなのか、ぶわりと体が膨らむようにして興奮が伝わってくるようだった。


「でもなー、あんなに大きくてあんなに珍しくて、強そうなモンスターに、イタズラなんて出来ないよね?」


「できるできるできるできる!!!!」

「やるやるやるやるやるやる!!!!」


「ほんと?」


「「ホントのホント!やるしできるしグレムリンはオソロシーんだから!」」


むっふーーー!と大きな鼻息を放ちながらいい笑顔をニンマリとすると、2匹は「合図して!合図!」と、いつもの訓練通りに、私の号令を発されるのを今か今かと待っていた。


「いい?後からみんなが続くってこと、忘れちゃだめだよ?」


「「ハーイ!」」


「ディエース、ウェスペル、やっておしまい!」


「「いえっさーー!」」


2匹はとーーってもいい笑顔で目の前のでっかいコスモオークの顔を歪ませる為に、イタズラに走って行った。


「いつも思うけど、鼓舞の方法他にないの?長い。」


スズちゃんとロホから苦情です。わからいでもないけれど。


「あの2匹はこれが一番気に入ってるから当分このままだよ。それはそうと、ロホは他の蜘蛛隊と合流してね。このコスモオークとの戦いは今いる全員の力を合わせないと勝てないからね」


「了解。合流したらまた声かけるね」


といってロホは私の肩から消えた。


「テュルさんはあの2匹の援護しつつテュルさんのタイミングで攻撃。サイショウくんは騎士団の人達に応援をしてメンタルケアサポートに行ってほしい。結構な大人数だけどひとりで行けそう?」


「その後ならコスモオーク間近で見ていい?」


「いいよ」


「頑張るね!!」


倒すっていうのに間近で観察したいとは?良く分からないけれど、すごく楽しそうにしているから、まあいいや。


「スズちゃんはコスモオークの弱点と魂を疲れさせてね。最後にパンのさんにん、ズィルパー、クプファー、アイゼン」


「「「ハイッ」」」


「進化前と同じじゃなくてイイ。というか、進化してからの戦いの修行はほとんどしてこなかったね。山川谷トリオの手伝いからの修行ばかりだったからね。だから、今できると思う自分の最大限活かせると思う戦い方をしてほしい!多少の無茶をしても許す!あ、でも、グレムリン達を怒らせたらダメだよ?それ以外なら好きにしちゃって!わかった?」


「「「はい!!」」」


3人ともニヤリといい顔をした。


「みんな、グレムリン達に続け!」


その声を待っていたとばかりに私をその場に残してみんな行動に移った。さてと。私は魔法使い達のメンタルケアに向かった。


「ちょっとちょっと、お嬢さんナニしてるんだ、ここは立ち入り禁止だよ。見てわからないのか、モンスターと戦っているんだ。避難場所に帰りなさい」


魔法使い達のお守りをさせられているであろう騎士団の1名に声をかけられた。正論である。うーん。


「はじめまして、騎士団の方。私はモナ。ロッテリーの領主、ディオールウェリス様の婚約者であり、テイマーであり、この場の手助けに参りました。」


「て、手助け!?って、ええ?ディオールウェリス様だって!?し、し、失礼しました、し、し、しかしながら発言させていただきます。先ほどもお伝えいたしました通り、戦闘員ではない方がいらっしゃってお怪我があっては、私どもが罰せられます。避難場所にお帰りいただきたく存じます」


「そちらの方々の心を治して差し上げますよ?」


「治癒師でございますか!?」


「違いますが似たようなものです」


「おおお、それなら心強い。いや、しかし、後から来る援軍にこの者達を治せるものが来る手はずになっているので、お帰りを」


この騎士団の人、いい人過ぎて折れないな。よくよく話を聞くと、さっきのアンドレくんのカラスは騎士団さん達に援軍が来るまで持ちこたえてほしいというメッセンジャーをやってくれていたらしい。


「なら援軍第一号が私ということで」


「いやいやいやいや、お帰りを」


面倒くさい。まだやらなきゃいけないことが色々あるってわからないのか、この頭でっかちなオッチャンめ!!


帰ってくれと言う言葉なんてスルスルのスル〜で、私は突如騎士団のオッチャンの前で歌い出したものだから驚かれた。まあね、こんな所で急に歌う人なんかいないわな。



次回は22日予定です


テンクウ「モナちゃん歌うの好きだよね」


ビャッコ「変な歌ばっかだよにゃ」


フテゥーロ「モナママはサイコーでスッゴイすてきなんだよ!」







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