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第323話

王家の開会式宣言の前フリらしきものが壇上で行われ始めた。


「モナ、あの方が第1宰相様だよ」


「はい」


アンドレくんが後ろにいたのはびっくりしたけれど、ディオさんはいつも通り状態で前方の人のことを教えてくれたから、前を向いた。アンドレくんを無視するような形かもしれないけれど、誰も気にしていない。それだけこのホールには声が響いていて誰もが前を向いていたから。


漫画とかで多いイメージなんだけれど、宰相って「有能細身メガネな苦労性たまにイヤミ」な男。がテンプレイメージ。というか第2宰相のディオさん達のお兄さんがそれになぜだかガッツリ当てはまる。目の前の宰相様は少し違う。


というか女性だ。人に厳しそうでもあり、微笑みや声色は優しさをはらんでいる大人の女性。イギリスとかの首相とかやっていそうなイメージ。


私の主観なので分かりづらいかもしれないけれど、これはアトム王も第2宰相さんも絶対にタジタジする場面が出てくる感じがする。うーん、今まで廊下とかでもすれ違った事も無かったけれど同じ女性としては、少しお話してみたい。


ちなみに話している内容は建国から現在までのこの国の歴史うんぬん、現在の国王の治世で押し進めている国の事業、まあつまり「うちの国いい国なんで、みんなでさらに頑張りましょー!他国の方も、平和でよろしく!」的なことを、回りくどくしかし爽やかに小粋な小話も挟みつつ真面目に話しているという。


いやもう、学生時代の校長先生の話し並みに長い長い。ちらほら見える子供達の飽きが見えている。うん。グレムリン達この場にいなくて本当に良かった。


子供でこれじゃグレムリン達は絶対に大声だして暴れる未来しか見えない。グレムリン予備軍とも言えなくもない子供達のストッパー役の怖そうな騎士さん、お疲れ様です。とかまあ、脳内ひとりごちていたらですよ?


「姉上、本日はとてもお綺麗です」


耳元で囁かれた。アンドレくん!びっくりして声をあげそうになったじゃないか!・・・いやいやいやいや、平常心、平常心。


「ありがとう」


少し顔が熱いけど御愛嬌だとでも言っておく。気にしない気にしない!


「この時ばかりはお兄様が隣で羨ましい。」


やっぱりというかなんというか、王都に帰ってきてからがアンドレくんはかなり苦労していたっぽくて、子供っぽさが薄れたような話し方が板についてきている。


褒められてもなにも出んよ。と、アンドレくんを見ようとしたけれど、いつの間にかアンドレくんとディオさんでコソコソと耳打ちしつつ話をしているっぽい。宰相様の演説がホールに響くからこんなにも近くにいるのに聞き取れない。


「・・・・で、今夜・・・となら会える・・・」


「・・・・わせ、都合は・・・・で、して欲しい」


気になってしまうと聞こえてくる気がする。


「スズが聞いてこようか?」


気になったせいでスズちゃんが動こうとしてくれた。首を軽く横に振ってスズちゃんには動かないでいてもらった。


違うことを考えよう。褒めてもらったこのドレスは、あの時作ったうちの1着で、汚れたりなにかあった時の為の予備も含めて合計5着作った。


今日のドレスは昼間ということもあって明るめの色合いの軽やかな素材を使用したAライン型のドレス。アクセサリーもゴテゴテしてないシンプルなものを基調として合わせた。


ちょうどデザインが混流している時期らしく、この昼間のホール内には様々な女性が様々なドレスを着ていて、同じものは見当たらない。


デコルテ部分を完全に隠してスカートもしっかり足元まで長いものを着ている御婦人もいれば、袖がラッパ型に広がっていてデコルテどころか胸をガンガンに強調してるかと思いきやスカートがストンと落ちてシンプルという御婦人もいたり、娘さんとお揃いでペチュニアみたいに見える可愛らしいドレスを着ている親子がいたり。さすがにゴシック&ロリータは居ないっぽい。夜にはいるかも知れないな。


とかなんとか考えていたらワアッという歓声と拍手が辺りに響いた。いつの間にやらアトム王からのひと言があってパーティが正式に始まったらしい。


拍手が止むそのあたりで、楽団がなごやかな曲を弾き始めた。その曲が流れると同じくして飲み物を配る執事やメイド達が忙しなく人混みの中を行き来し始めた。


「どうしてアンドレくんはここにいるの?上のお兄さん達の所にいなくて良かったの?」


「前にも話していたと思うけれど、王位継承権が下位になればなるほどパーティーの出席も義務ではないんだ。そして上だろうが下だろうがとやかく言われることは基本的にないよ。」


まじかー。でもほら、周りの目を見てよ。ディオさんとアンドレくんが揃っているからか好奇の目が集中してるよ。


「お兄様、姉上、俺は知人に挨拶してきます。また後で。」


「ああ、わかった。」


「行ってらっしゃい」


アンドレくんにしてはあっさりと離れていった。というか知人ね。友人じゃないのか。


「モナ」


「はい」


「妹君が来るみたいだ。まだ挨拶していなかったね。いい機会だ。挨拶しよう。」


おっと本当にこっちに来るドレスの女性がどんどんとこっちに向かっていますね!遠くから見ても可愛らしい感じが見て取れる。しかしまあ、えっと。


「おわぁ。何番目の王女様ですか」


聞いてもあとで忘れそうだけど聞いておく。というかひと通り事前に教えてもらっているけど私の記憶力は正確さに欠けている。


「会っていない妹君はひとりだけだよ。彼女の隣が隣の国の伯爵様でね」


他国に嫁いだお姫様か。あ、思い出した。


「お兄様!お久しゅうございますわ!」


「ドゥルーキーヌ」


アンドレくんのすぐ上のお姉さん、愛称はドキンちゃん。愛の人、らしい。

次回は明後日の12日予定です




♣オマケ♣


♣作者の好きなコミカライズしている原作完結済み作品♣


●エリスの聖杯


原作はなろうで読みました。漫画はマンガUP!で読めるよ。謎解き✕西洋ファンタジー✕女の友情。

漫画作画も最高。原作も最高。みんな読んで欲しい作品。キレイにまとまってて何回も原作読みたくなるよ。


というか本編完結してるけど、またたまに番外編更新されたりしてるよ!作者さんは神かな!?


アニメ化しないかなぁ。もしするなら「シャドーハウス」みたいな雰囲気と「薬屋のひとりごと」のコミカルさを加えた感じで足してくれたら最高なんだけれど。時代的には「プリンセスプリンシパル」の雰囲気に少し近いのかもしれないけれどアクションシーンとか無いからなあ。あと、恋愛含むものの漫画ってどうしても「聖女の魔力は万能です」のアニメみたいになりがちだけど、それだと「エリスの聖杯」の排他的な部分は壊れるんだよなぁ。って思う。

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