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第321話

お祭りとは楽しいもので、お祭りとは華やかなもので、と、思い返すと私は祭りと言えば夏祭りくらいしか思いつかない。


「ど、ドキドキする・・・」


「落ち着いて。手を握ろうか?」


「手汗が、手汗が」


「ふふ、そんなの気にしないのに」


隣にはいつも通り車椅子に座った状態のディオさんがいて、いつもと違うことがひとつあるとすれば、魔道具の椅子足がにょいんと生えていないこと。


今日はパーティー1日目。大勢の人が講堂やらダンスフロアやらにごったがえすので、リヴァイくんが車椅子を押し引きしてくれている。


「今日は開会式、立食パーティー、授賞やらの祝典。主に挨拶回りに、御当地の売り込み、2次会は男性はサロンやクラブなどに散ったりで、えーと、女性はお茶会やら婦人会、な、の、が今日。で、合ってます?」


ちなみにもう太陽は真上に近い。


「はい。そして1番、1日目と2日目が皆様ハメを外されますので色々起きやすいとも言われております」


うへぇ。社交界のあれこれを色々覚えたので、“色々起きやすい”の“色々”が18Rも含む大人のダメなアレやコレ過ぎて「ハングオーバー!」の映画を思い出してしまう。飲み過ぎ注意だよ。記憶無くして、色々やらかすとかダメ人間の極みだよ。


とまあ、まだ見ても無いことを言っても仕方ない。


いつもの寝泊まりさせてもらっている王城の敷地内。だけれども馬車を使ってさらに5分も移動しちゃうくらいの場所に私達は来た。


歩いたら15分とか20分とかの距離。ドレスでいくのはちょっとだけ面倒な距離。改めて思う。王城広すぎ。馬車で降りてから歩行者用の石畳が真っすぐ伸びた庭園のようなきれいに舗装されている庭兼通路を通って、若いドアマンが左右に1人ずつと、コールガールならぬコールマン。招待状を見せて通してもらう。


私達が中へ入ると一瞬だけ視線がこちらに集中したのがわかった。


「モナ、噂聞こえるよ」


スズちゃんが耳元で囁く。ペットや従魔持ち込み禁止ということで、本日みんなはお留守番だけれども、スズちゃんは私の守護霊なので切り離せない。見えないようにして、こっそり参加している。なにせ、見えないようにしているから居ないも同然だ。私の一部だからね。もし、従魔検知の魔道具とかあっても、幽霊は検知できまい。


「スズちゃん、どんな噂?」


「やっぱり足の噂を聞きたいみたい」


もうだいぶ時間が経っているにも関わらず、ロッテリーで流れた「ディオさんが足が治ってもう立てるようになった。」という噂がいつまでたっても消えない。誰かが情報操作している。


蜘蛛隊に調べてもらったからおおよそはわかっているけれど、意図が全くわからず、鎮静化も上手くいかなかった。


「あと多いのが、モナが悪女だとか・・・ヒドイ!モナは悪い女じゃないのにっ」


言いたくなさそうな声が聞こえるけれど、最終的に憤慨してくれるスズちゃんは可愛い。


「なんだっていっているんだい?」


ディオさんにも今日のスズちゃんは見えないし聞こえない。


「うーん、大したことはないかな?」


「そうなの?貴族がそんなに大人しかったとは初耳だよ」


「それじゃあご想像にお任せします」


「言うようになったね」


「はい。ディオールウェリス様の婚約者ですので、少しばかり研鑽させていただきましたわ」


うーん、でもまだまだ。30点。


「ふふ、もう付け焼き刃とは違ってきているね。」


「お褒めに預かり光栄です」


いつもと違う私はパーティーに挑むのだった。バッチコーイ。

ちょっと短くなりました。


次回は明後日予定です

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