第318話
ちなみに読者がいなくなったとしてもアクセス数とかあんまり見ていないんで、結構書き続けると思う作者です。
とか、言っておいて誰も居なくなったらきっと涙ボロボロ出るかもしれん。
お豆腐メンタルなので。
最後まで書ききれるよう頑張るぞい
進化の繭はふたりによれば1週間くらいで中から出てこれるそうだ。それが約さんにん分。これから約3週間バタバタすることになるのかと思ったら目眩がしそう、だ?・・・あれ、本当にクラクラするぞ?
なんだろう嫌な予感がする。
今日のところはもうアイゼンもクプファーも言いたいことは他に無いようだから私は廊下のみんなを呼んで部屋に帰ることにした。
心配事が出来てしまって疲れたのかもしれない。ただでさえ、二日酔いして暗殺者に狙われて、外に出たいとねだられて、テュルさんも進化途中、パン達さんにんも進化するという。色々あり過ぎなのだ。少し横になりたい。
「もなぁ〜足速い」
「モナーだっこだっこ」
「あれ?聞こえてないみたい」
「おや、顔色悪くないか?うっ!?」
テュルさんが唸った声が耳に届いた。私は振り向こうとした途端、足がもつれて廊下に倒れた。
城の中にいないはずの蜘蛛隊のロホとアマリリョが倒れた私の顔の真ん前に居て泣きそうに見えた。
時々体を刺されるような痛みが体のどこかに表れては消える。これは私の痛みではない。誰かの痛みだ。薄く薄くしても、どうしてもモンスター達を強くさせてしまうと絆は太くなってしまう。
誰かが、やられている。仲間がどこかで。ロッテリーかもしれない。きっとその痛みだ。前に感じた痛みだから。いいや、そんなこと、体の痛みなんかどうでもいい。心が締め付けられる。心が痛い。
また私は何も出来ないままだ。後悔したくないのに行動全てが裏目になっている気がする。でも信じたい。この痛みは幻で、嘘で、現実は何も起こっていないって。誰もかけていないって。
「本当に私バカ」
女神の手助けをするなんて約束するんじゃなかった。と思いながら私は、それから意識が遠退いてしまった。
「誰か!」
「モナが!」
一旦胸を押さえてうずくまったテュルフィングはモナが倒れたあと落ち着いたのかゆっくり立ち上がって現在の状況を見渡した。
モナは目の前で倒れている。ナゼかロホとアマリリョの蜘蛛2匹がいて、涙を流してモナの顔を抱きしめている。
白いイノシシのサイショウはモナが倒れたことが恐ろしくなったのかその場でうずくまって震えている。
そのサイショウの周りをぐるぐるぐるぐる忙しなく円を描くように走り回っているグレムリン2匹。
スズはモナが倒れた瞬間に消えてしまった。
「みんなは感じなかったか」
テュルフィングが見渡しながら聞くが、テュルフィングが何を言っているのかわかっていないようだった。テュルフィングは、感じたからだ。仲間の痛みを。モナが感じたソレの1部を。
モナが女神を殺したいと願っているのは知っていた。テュルフィングも同じだから。
「モナは痛みで気絶したに違いない。部屋に運ぶんで安静にさせないと」
グレムリン達が大騒ぎしたせいで人が集まってきていたけれど、その人間のチカラを借りようともせず、テュルフィングはモナを浮かせた。
「ゴーレムに比べたら容易い」
手を出してこようとする人間がいたけれど、サイショウが小ぶりながら『神気』を出して周りの人間の心を1時的に怯ませた。
「ふぬー」
「おおっなるほど!」
「フンスフンス!」
「出すな出すな、手を出すな」
「俺たちゃグレムリン、噛みつくぞ」
「くすぐるぞ?」
「ひっぱるぞ?」
「イタズラしたいぞ」
「手を出すならな」
「ひどい目見たきゃ寄っといで」
「けけけけけ」
「あひゃひゃひゃひゃ」
この数日、王城で働いている者や客人として来城して部屋に案内されている者は、モナとモンスター達の事を少なからず知っていた。
変わった集団だと目立つのだ。しかし、醸し出していた雰囲気はどことなく長閑で平凡で田舎臭い感じの少し懐かしさもある、アットホームとでも言えばいい雰囲気でモンスターというものを少し敬遠しても、悪いものではないように見えていた。
しかし今はどうだろう。
モンスター達の主たる人間が倒れただけでモンスター達からは異様だとも言える空気が漂っていた。別段魔法をかけられているわけではないのに喉が閉まってしまう感じがして出ない声。明らかに近づかせないようにとの意思をひしひしと感じる。
「助けなんて呼ぶからだ」
テュルフィングはグレムリン達に吐き捨てた。
「モナならそうかなって」
「モナはそうだもんな」
「「でもいらないなら、いーらない」」
「・・・待って、ひとつだけいるよ。欲しいもの。お医者さんいたら来てほしい」
モンスター達では出来ないがある事を元々神の使いの子だったサイショウはよく知っていた。
「わかった。俺が連れて行く!」
人だかりのかなり後ろの方から声が聞こえた。モンスター達が見覚えのある男性、アンドーレリユースが声をあげた。彼の周りにいた人間はアンドーレリユースがその場にいることに今更ながら気付き、少し距離を取った。
「不遇の王子」
「呪われの子」
「王家にすがりつく卑しい男」
人間達の小さな小さな呟きは本当にごく僅かな声だったけれど、モンスターにとってはよぅく聞こえた。
「よろしく頼む」
テュルフィングはアンドレに敬意を払った。なんだかんだと同じ場所で過ごした仲だ。それにアンドレにはモンスター達がどうしても嫌いになれない理由があった。好きではないけれど、とてもとても懐かしい匂い。
雨が降った後の土の匂いのようにも感じるし、つむじ風が葉っぱを揺らしている匂いのようにも感じるし、太陽が体を温めた時の匂いにも感じるし、夜の寒さに冷たくなった岩の匂いにも感じる。
モンスター達は本能で知っている。
アレは女神の言うモナにさせたい“魔王”なんかではない。アレは我々と同じ“モンスター”でもない。アレは“人間”だけれどそれはアンドレが“アンドレ”であるから人間なのだと。
部屋で待っているぞと、モナを浮かせたモンスター達は戸惑っている人間達を置き去りにして去っていった。
「アンドレより、ディオに頼むように言ったほうが良かったんじゃない?ツガイでしょ?」
サイショウが疑問を投げかけた。
「いいんだ。アイツが丁度いい。」
「どして?」
「なんで?」
「私達やモナにとって都合の良い素材だからだ。フフッ、人間で言う所の打算ってやつだよ」
「そーだね、アイツ使えるもんね」
「そーだね、きっと代わりになるよね」
「「だっさんさん〜!」」
意味がわかっていっているのかどうなのか、グレムリン達はダサンダサンと口に出した。
「それより、ロホ、アマリリョ、報告を聞きたい」
いつのまにかサイショウの背中に乗っていた2匹は手を挙げて声を出した。蜘蛛にしては大きい声だが常人にはなかなか聞こえない声だ。
「「イエッサー」」
部屋に戻ると部屋の周りに辺りを警戒している護衛といつも部屋を担当しているメイドがいた。そういえばモンスターに配慮して少し離れて護衛してくれていた人間も、あの集まった人間達と同様に置き去りにしてしまっていたなとテュルフィングは気づいたけれど、付いてこれない精神力の弱い人間など意味がないので、居なくてもいいかなと心のなかで毒づいていた。
メイドはモナをみると少し青ざめたけれど医者を頼んであると伝えると、モナをベッドに寝かせている間に、清潔な水やタオルなどを用意してくると言って出ていった。丁度良くいなくなったので、報告の続きを聞いた。
「・・・そうか、多分その人間達がディオの館に行ったのだろう。そして、あの小屋の中のモンスターに気付いて、戦ったはずだ。」
そして仲間がまた死んだ。だからモナは倒れたのだ。
もう一つのなろう小説のほうも再開したいのですが1年以上空いてて少し内容忘れてそうで今更書くのためらっています。
シエラちゃんが舌っ足らずが終わる回と他国へみんなで旅立ちだったよな、ということだけは覚えているんですが、曖昧なまま再開しちゃおうかな。へへへ。(苦笑)
1日2回投稿目指してたけど、無理だった、テヘペロ!
明日も更新予定です(コレしか言えない!!)